神隠し
『は、博士博士博士!』
『サトシが、サトシが・・・!』
突然かかってきた一本の電話。
電話に出ると、現在のサトシの旅仲間たちが目に涙を浮かべながらオーキドにすがりつくような声を上げた。
「ど、どうしたんじゃ、一体・・・」
『さ、サトシが、サトシが消えちゃったんです・・・!』
そう言ったセレナの絵での中には、サトシの帽子が抱きしめられていた。
それを見て、オーキドが研究所の天井を見上げた。
「心配する必要はない。2,3時間もすれば戻ってくるじゃろう」
『ど、どういうことですか!?』
「あ奴はよく神隠しにあうんじゃ」
『か、神隠し・・・?』
あまりにも突飛な発言に、シトロンの涙が引っ込む。
オーキドは苦笑してうなずいた。
「そうじゃ。神々が突然サトシを連れ去るんじゃよ」
『え!?』
「何度言ってもあ奴らは聞かんのじゃ。気まぐれにサトシを連れ去り、飽きるまで遊び、帰してくれる。しかし、こうも突然連れ去られると不便じゃのう・・・」
だが、あ奴らをしかれるのはあ奴しかおらんし・・・。
オーキドは腕を組み、眉を寄せた。
『あ、あの!じゃあ・・・サトシは・・・帰ってくるの・・・?』
「それは心配いらんよ。安心して待っていなさい」
『はい・・・』
ユリーカの頬に涙が伝う。
安心させるように笑うと、ユリーカは素直にうなずいた。
『突然連絡してすいませんでした』と一言言い置いて、シトロンたちは通話を切った。
「・・・さすがにそろそろ灸をすえてやらねばならんのう・・・」
サトシの仲間を泣かせるのはいただけない。
オーキドは嘆息して、神々をしかれる唯一の人物に電話をかけた。