恋は戦争とはよく言ったもの






サトシは今、カロスにいた。
そして周りには今まで一緒に旅をしてきた少女たちが集まっていた。
そしてもう1人、ライバルのシンジがいた。
何故彼女たちがいるのかというと、サトシに会いたかったからだ。
シンジは例外で、メガ進化やフェアリータイプに興味を示したからである。
久々に再会したカスミたちとともに歩いていたら、丁度シンジが昼食を作っているところに出くわしたのだ。
折角だから一緒に昼食を食べようということになったのだが、サトシとともに旅をしてきた少女たちは料理を作れるものがいなかった。
そのためシンジとシトロン、手伝いのユリーカの3人で作ることになったのだ。
そして料理を作る3人を余所にハルカたちはサトシとともに談笑していた。
そんな中でアイリスが爆弾を落とした。


「6月と言えば、ジューンブライドよね~」
「ジューンブライド?」
「6月に結婚する花嫁のことよ。6月に結婚すると幸せになれるんだって~」
「そうなんだ」
「そう言えばサトシって恋愛とか興味なさそうね。理想とかないの?どんな女の子と結婚したい、とか」
「理想かぁ・・・」


アイリスの言葉にサトシが腕を組んで考え込む。
アイリスの言葉に硬直していたヒカリたちが我に帰る。
興味なさそうなふりをして、耳だけは真剣にサトシの言葉を待っていた。


「う~ん・・・。やっぱりバトルが強い人がいいな!あ、あと旅が好きな人かな!」
「ど、どうして?」
「やっぱり好きな人とのバトルって楽しそうだし、一緒にポケモンを鍛えたりしたいじゃん。それに好きな人とはずっと一緒にいたいだろ?だから俺も旅についてきてくれる人がいいな!」


サトシの言葉にセレナが落ち込み、カスミたちが顔を輝かせた。
セレナはまだ旅に出たばかりの新人で、バトルなどほとんどしたことがない。
それに比べ、カスミたちはジムリーダーであったり、その候補であったり、コーディネーターとしてコンテストバトルを繰り返している猛者たちだ。
旅にも慣れており、一人旅もなんのその。


「あ、でも、それなら料理上手な人がいいなー。俺、料理苦手だし、やっぱりうまいもの食べたいしな!」


その言葉に今度はセレナが喜び、ヒカリたちが沈んだ。
セレナはお菓子作りを趣味にするほど料理が得意である。
その他の4人は正直それは食べられるのかと尋ねたくなるほどの出来の料理しか作れなかった。


「サトシ、」
「ん?どうした?」
「味見してくれ」
「わかったー」


シンジがサトシを呼ぶ。
シトロンとユリーカはサラダを、シンジはシチューを作っていた。
小皿に取り分けられたシチューを一口飲み、サトシの顔が輝いた。


「うまい!シンジ、料理うまいな!」
「普通だろ」
「俺、この味好きだな~」


サトシがシンジのそばにたち、シチューの完成を待つ。
その途中、お腹が鳴ったのをシンジに聞かれ、呆れたように見られ、サトシが目をそらした。
仕方ないな、というように溜息をつき、もう一度小皿にシチューをよそい、サトシに差し出す。
嬉しそうにサトシが小皿を受け取り、シチューを飲み干した。
それからじっとシンジを見つめた。


「・・・」
「何だ、」
「いや、俺の理想の女の子って、シンジかもな~って思って」
「・・・何の話だ?」


サトシとシンジの会話に聞き耳を立てていたセレナたちがぎくりと肩をはねさせる。
サトシはそう言えばシンジは聞いていなかったな、とうなずいた。


「いや、実はさっき、カスミたちと話してたんだけど、その時にアイリスにどんな女の子とけっk「あああ~!何でもない、何でもないのよ、シンジ!」


サトシの言葉を遮り、ヒカリが叫ぶ。
ハルカが白々しく「お腹すいたな~」と言えば、サトシがそれに同調し「そろそろ皿用意しようか?」とシンジに尋ねた。
話題が変わったことにほっとして、カスミたちが脱力した。
それと同時に予想外のライバルに内心焦った。
シンジはライバルとしか思われていないし、シンジ自身もサトシをライバルとしか見ていない。
正直ノーマークだった。
サトシはシンジに好意的だし、シンジもサトシを嫌っていない。
お互いを異性として認識されたら・・・。
サトシに恋する少女たちが顔を青くした。
強敵とは、予想外のところにいるものである。




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