映し身が笑う
あとがき
この闇サトシはサトシの心の中とかではなく、反転世界に存在します。
ギラティナのようにいろんなところに移動できるけど、表の世界には出られません。
出られるのはサトシの体を介してのみ。
しかしサトシがそれを許さないので出られないという。
何が書きたかったのかと問われるとうまく答えられませんが、とにかく楽しかったです。
↓以下、おまけです
おまけ
映し身の洞窟から反転世界に戻った”サトシ”とシンジはギラティナの元へと向かって歩を進めた。
シンジは”サトシ”のゆったりとした歩調に合わせて歩いている。
「なぁ、シンジ。どうしていきなりあいつに会いたいなんて言い出したんだよ?」
「会いたいと思ったからだ。何か他に理由が必要か?」
「別にいらないけど・・・」
面白くない。”サトシ”は不機嫌そうに唇を尖らせる。
それと同時におかしいとも思うのだ。
シンジは会いたいと思っても、他人に迷惑をかけるくらいなら我慢してしまうタイプの人間だ。
だから思うのだ、おかしいと。
「(今日って何かあったっけ――――・・・?)」
そうして”サトシ”の足が止まった。
「クリスマス――――・・・」
自然と口から出た言葉にシンジがギクリと体をこわばらせた。
そして”サトシ”は確認した。理由はこれだ、と。
「なぁ、シンジ・・・。まさかとは思うけど『プレゼントは私自身よ!』的なノリであいつに会いに行ったとか・・・ないよな?」
シンジからの返答はない。
シンジを見るが、彼女の斜め後ろのこの位置からでは、シンジの顔をうかがい見ることはできない。
しかし、わずかに見える首やら頬やらが異様なまでに赤いのだ。
「え?・・・ちょ、マジなの?」
「い、いや・・・なにも思いつかなかったというか・・・ひとどころにとどまっていないあいつにプレゼントなど送れないなと思ったというか・・・。私は会えたら嬉しいからあいつにも喜んでもらえないものかと思ってしまったというか・・・」
何このデレ全開なシンジは。あいつはシンジ最大のデレに気付いてんのか?
”サトシ”が目を見開いて硬直した。
それからわなわなと震えだし、あらんかぎりの力で叫んだ。
「リア充爆発しろ!!!何なんだよ、あいつは!畜生、うらやましい!俺の癖に!!俺の癖に!!!」
唐突に荒らぶり出した”サトシ”にシンジが目を瞬かせた。
「お前は嬉しくなかったのか?」
「・・・え?」
「お前も『サトシ』だろ?お前だってあいつの一部だ。私はあいつを構成しているお前のことも・・・好ましいと、思っている・・・」
「え、・・・え!?」
「・・・っ!じ、じゃあな!」
シンジが全力で走りだす。手を伸ばすが、彼女の背中はすでに小さくなっており、あっという間に見えなくなった。
取り残された”サトシ”はしばし呆然としたのち、頭を抱えて思わずうずくまった。
「シンジが可愛すぎて、生きるのが辛い・・・っ!」
とりあえず、俺もリア充だったことが嬉しいです。
「(デレ全開のシンジを拝めるとか、俺、へたすりゃ本体より得してね?)」
((イラッ))
(ど、どうしたの、サトシ。顔が怖いよ?)
(あ、ごめん。今、ちょっと殺意がわいちゃって・・・)
(洞窟内で一体何があったんですか!?)
((闇サトシにからかわれたのかなぁ・・・))
((次にあったらあいつは潰そう・・・))