サトシとシンジがフロンティアブレーン






カントー地方、ゼニスシティにて、フロンティアブレーン就任式は行われた。
サトシは慣れない正装に戸惑っているのか、どこかぎこちない。
服に着られている感が否めず、微笑ましいものがある。
シンジもドレスを着ているのだが、スカート自体が慣れていないのだろう。ドレスのすそばかり気にしている。

ちなみにシンジは、どうやら少年であると思われていたため、少女であることが判明し、ブレーンたちを大層驚かせていた。
特にジンダイは「少年」と呼び、少年として接していたため、その驚きは比べ物にならないほどだったらしい。少女であるシンジを「少年」と呼んでいたことを何度も謝罪していた。
こんなグダグダな状況で就任式が始まり、一時はどうなることかと不安に思ったが、無事ブレーンとしてもあざなももらい、就任式を終え、現在は立食パーティが行われている。

そんなとき、バトルフロンティアのオーナー、エニシダがサトシとシンジに声をかけた。


「やぁ、楽しんでるかい?」
「エニシダさん」
「はい!とっても楽しいです!」
「それはよかった」


サトシの言葉にエニシダが嬉しそうにそうかそうかとうなずいた。
エニシダも、この日はいつものアロハシャツではなく、ダブルのスーツを着ている。
ただ、トレードマークのサングラスは健在だ。


「ところで、君たちはイッシュという地方を知っているかい?」
「イッシュ?」
「聞いたことはあります。他地方と通信がつなげないくらいに遠い地方で、情報が入ってきにくいんだとか、」
「さすがはシンジくんだ。詳しいね」


その通りだ、というようにうなずく。
サングラスの、その奥にある目が鋭く光り、2人は居住まいを正した。


「その一種で、2人にはフロンティアブレーンとしての初仕事を任せようと思うんだ」


エニシダの言葉に、2人の目がフィールドに降り立ったときの、獰猛なものに変わる。
それを見て、エニシダも嬉しそうに笑う。
そんなエニシダに、ブレーンたちは嫌な予感を覚えた。


「イッシュはシンジ君の言うように、他の地方からとても離れた場所にあって、すごく閉鎖的な場所なんだけどね?他の地方のことを何も知らない癖に田舎だとか弱いだとか、ののし「「「ちょっと待ったあああああああああああああああ!!!」」」


エニシダの話を遮り叫ぶブレーンたちに、サトシとシンジが驚いたように目を瞬かせる。


「説明の途中なんだけど」
「そんな説明をしては、一種のイメージを下げることになる!すべてのトレーナーがそうではないんだ。もっと、言葉をだな・・・」
「そんなことはわかっているさ。彼らだって承知しているよ。彼らだって4つ以上の地方を回ったベテラントレーナーだよ?」


エニシダの言葉にジンダイが押し黙る。
エニシダはそんなジンダイの肩をたたき、もう一度サトシたちに向き直った。


「まぁ、とにかく、いろいろ問題のある地方でね。本当はブレーン全員でイッシュのトレーナーの根性をたたきなおそうと思ったんだけど、挑戦者もいるし、さすがにそれはレベルの低いイッシュ相手にはかわいそうだなぁと思ったんだ。だから君たちがイッシュに行って、君たちがフロンティアブレーンであることを公表しつつ、イーストイッシュにあるヒガキシティに向かってほしいんだ」


わかった?と尋ねるエニシダに、シンジがうなずく。


「つまり、イッシュのトレーナーを蹂躙しつつ、ヒガキシティに向かえということですね?」
「「「合ってるけど違う!!!」」」


その認識はだめだ。そして、エニシダもうなずくんじゃない。
ジンダイたちブレーンは冷や汗をかいている。
シンジのあの容赦のなさはエニシダに通ずるものがあり、背筋が凍りそうだ。


「ヒガキシティって?」
「イッシュリーグが行われる街だよ」
「リーグですか!?」
「そう。イッシュリーグは半年後に行われるんだけど、そのさらに一週間後に『バトルフェスタ』を催そうと思っているんだ」
「バトルフェスタ、ですか?」


聞き慣れない言葉にサトシが首をかしげる。
シンジを見れば、彼女もしれないというように首を振る。


「君たちには他の地方には、こんなバトル施設がありますよ~。バトルフェスタにて体験できますよ~っていう宣伝をしてほしいんだ。フェスタ当日には、仮のバトルフロンティアを作って、そこで君たちが挑戦者にバトルしてもらう。最後に君たち2人のバトルを見せてフィナーレだ」


他にもスタンプラリーとか、小さい子でも楽しめるようなイベントも考えているんだよ。


「それが君たちの初仕事だ。頼めるかい?」
「「もちろんです」」
「ありがとう2人とも!全力で暴れてきていいからね!」
「「はい!」」

「「「(いや、良くないから!!!)」」」


ブレーンたちは、楽しそうにフェスタについて語らう2人に、その言葉を口に出していうことはできなかった。















「まずは手持ちの制限の解除だな」
「え?何で、手持ちの制限の解除なんかするんだ?」
「お前、話聞いてなかったのか?イッシュは他地方と通信がつながっていない。つまり、預けているポケモンは連れてこれないということだ」
「途中でゲットしたやつじゃ駄目なのか?」
「私たちは完全実力主義であるバトルフロンティアの一角を担うことになったんだ。そう簡単に負けていいトレーナーではなくなった。今まで以上に敗北に責任が課せられるようになったんだ。自分のスタイルはいいが、フロンティアブレーンである自覚を持て」
「・・・そうだな。じゃあ、リザードンたちも呼ぼうかな」



イッシュ終了のお知らせです。







続きません!小話シリーズは別名「1話完結シリーズ」なので!
ただ単に設定を上げたかっただけなので。

あざな被りしてたら申し訳ありません。
テンプルとか普通にありそうで怖い・・・。




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