恋は戦争






 サトシ達は今、10番道路にいた。
 移動販売のホットドッグを買い、景色のいい草原で昼食を取っていた。


「今日はいい天気ね! 景色もいいし、さいっこう!」


 セレナが嬉しそうに笑ってホットドッグにかぶりつく。おいしいと頬を緩ませ、再度ホットドッグを口に運んだ。


「たまにはこういうのもいいですね!」
「そうだな!」


 シトロンの言葉にサトシが楽しそうに笑う。一気にホットドッグを口に含み、頬を膨らませた。


「楽しいね、シンジ!」
「そうだな」


 口の端にケチャップをつけたまま笑うユリーカに、シンジが頬を緩ませる。
 ハンカチで口の周りを拭いてやると、ユリーカは照れたのか俯いた。
 それにシンジが目を細めると、ユリーカは照れを隠そうとがつがつとホットドッグを口に運んだ。


「シンジのうまそう! シンジ、一口ちょうだい!」
「え? あ、ああ……」


 シンジのホットドッグはサトシのものとは違う、女性向けの小さな種類のもので、野菜が多めだ。サトシはオーソドックスなものを頼んだから、変わったものに惹かれたのだろう。
 サトシがシンジの手の上からホットドッグを握り、シンジのホットドッグにかぶりついた。


「うん、うまい! サンキュー、シンジ!」
「ああ……」


 嬉しそうに笑うサトシに曖昧にうなずいて、シンジは視線をそらした。
 一連の光景を近くで眺めていたユリーカが、眉を寄せた。


「もう、サトシったら自分の食べなよー!」
「だって、人が食べてるものっておいしそうに見えるじゃん」
「確かにそうだけど……」


 ユリーカのとがめるような声に、サトシが笑う。
 サトシの言葉にセレナが苦笑しながら、自分にも声をかけてくれないかな、と期待しながらちらちらとサトシを見やった。
 けれどもサトシはピカチュウの頭をなでながら自分のホットドッグを咀嚼している。自分に声をかけることは無さそうだ、と肩を落としながら、自分の分をもそもそと消費した。


(人が食べてるものって言うか、シンジが食べてるものが、おいしそうに見えたんだよな・・・)


 シンジを見れば、シンジは小さい口でゆっくりとホットドッグを咀嚼していた。
 形のいい唇が食べ物を食んでいる。
 唇は赤い舌でなめられて、なまめかしく光っている。
 その唇がとても――


(あれ?)


 俺がおいしそうに思ってるのって――、





「ぴかっ!?」
「何の音だ?」


 昼食を食べていたシンジが手を止めて、あたりを見回す。
 ピカチュウも何かを探っているようだった。
 警戒するように寄せられた眉に、セレナたちも不安げな顔でシンジに注目した。
 サトシもシンジの言葉に思考を打ち切り、ピカチュウとともに周りを見渡した。
 しかし、音が鳴ったような気配はない。


「気のせい、か……?」
「ぴぃーか……」


 シンジとピカチュウが顔を見合わせて眉を下げる。
 気のせいならばいいのだけれど、と不安の残る顔で、シトロンたちは昼食に戻った。
 サトシもあたりを気にしつつ、ホットドッグを口に運んだ。


(あれ? 俺、今、何か大事なことに気づいたような……。まぁ、いっか)


 ぱくり、と最後の一口を口に運び、サトシは食事を終わらせた。
 セレナたちも、丁度終ったようだった。



――ガサッ



「「「!?」」」
「今の音は……っ!?」
「今度は私にも聞こえた……」


 唐突に聞こえてきた子の波が揺れる音に、セレナたちも警戒をあらわにする。
 とっさにサトシがシンジを後ろにかばい、シトロンがユリーカを引き寄せた。



――ガサガサガサッガサガサッ



「「「!!?」」」


 現れたのは2匹のイーブイだった。1匹はごく普通の茶色。もう1匹は普通とは異なる灰色。
色違いだ。
 2匹はお互いに寄り添って何とか立っている状態だった。
 2匹は何かの事件に巻き込まれたのかぼろぼろで、可愛らしい声を上げるはずの口からは、うめき声が漏れている。
 サトシ達人間を視界にとらえ、牙をむくも、2匹は力尽きたようにその場に倒れてしまった。


「!? イーブイ!?」
「おいっ!?」


 慌ててサトシとシンジがイーブイに駆け寄る。
 駆け寄って抱えてみると、イーブイの目は固く閉じられたままだった。
 擦り向けた皮膚には血がにじんでいる。サトシの抱える色違いのイーブイは、特に傷が酷い。


「まずいな……。ポケモンセンターに行くぞ」
「おう!」
「ポケモンセンターならセキタイタウンまでの道のりの途中にあるよ!」
「セレナ、案内してくれ!」
「うん!」


 セレナを先頭に、イーブイを抱えたサトシとシンジが、そのあとを追う。
 サトシとシンジの荷物を抱えたシトロンがユリーカとともに、その後ろを走った。


(――!?)


 チリッと、痛いほどの視線を感じ、シンジが思わず足を止めた。さっと周りを見渡すが、人影は見えない。ポケモンの影も。


「シンジ?」


 ユリーカが心配そうにシンジを見上げる。何でもない、というふうに首を振って、シンジはまた走り出した。


(気のせい、だよな……?)


 シンジがぬぐいきれない不安を抱えながら、サトシ達の後を追う。
 「ブイ……?」という弱弱しい声が聞こえ、シンジが腕の中を見た。
 腕の中ではイーブイがうっすらと目を開けていた。
 気がついたことにほっとして、けれども眠っていた方が楽だろう、と努めて優しい声をかけた。


「すぐに手当てをしてやるから、今は眠っていろ。お前の仲間も、一緒に手当てしてやるから」
「ブイィ……」


 警戒するのも億劫なのか、それとも仲間も一緒にいることに安心したのか、イーブイは言われるがままに目を閉じた。
 シンジはイーブイを抱きなおし、速度を上げて地を蹴った。

 ポケモンセンターは、もうすぐそこだ。





+ + +





「ジョーイさん!」
「!?」


 ポケモンセンターに駆け込むと、ジョーイは驚いたようにデスクから顔を上げた。
 ロビーには人気はなく、おそらくあまり人の来ないポケモンセンターであろうことがうかがえた。


「どうしたの? そんなに慌てて」
「あ、あのね! ご飯食べてたらイーブイたちが現れて、そのイーブイたちがボロボロで、いきなり倒れちゃったの!」
「イーブイ?」
「こいつらです!」


 ユリーカの要領を得ない説明に困惑しながらもジョーイがカウンターから飛び出した。
 ”ぼろぼろのイーブイ”と聞いて、慌てたのだろう。
 サトシとシンジが腕の中のイーブイを見せると、ジョーイの顔色が変わった。「プクリン!」とプクリンに鋭く指示を出し、自身はイーブイたちを真剣なまなざしで見つめた。


「噂は本当だったのね……」
「噂?」
「ええ……。1年ほど前から、このあたりで色違いのポケモンが発見されたという噂があったの。まさか、本当だったなんて……」


 ジョーイが顔をしかめて、サトシとシンジの腕からイーブイを引き取った。
 丁度プクリンが担架を運んできたので、ジョーイはそれらにイーブイたちを乗せた。


「私はこれからイーブイの治療に入ります。心配ならロビーで待っていてください」
「分かりました」
「お願いします、ジョーイさん」


 ジョーイが診察室へと消えていく姿を見送って、サトシ達は顔を見合わせた。それから、誰ともなくロビーに備え付けられたソファに向かった。
 ソファの間にテーブルが置かれ、向かい合わせになったソファに腰をおろし、サトシ達は俯いた。しっかりしろ、という意味を込めて、隣に座るサトシの肩に手を置くと、サトシは肩に置かれたシンジの手を握ってうっすらとほほ笑んだ。


「あ、あの……」
「ん?」
「私、色違いってよくわからなくて……」


 おずおずと片手をあげたセレナは不安げにサトシ達の顔を見やった。
 新人トレーナーのセレナは、トレーナーとしての知識も浅い。色違いという概念に触れたのも、おそらく初めてなのだろう。
 ことを理解していない自分を恥じているのか、セレナは目元を赤くしてうつむいた。


「色違いというのは、先程見たように、通常のポケモンとは色の異なった体をしているポケモンのことです」


 シトロンが丁寧にゆっくりと言葉を紡ぐ。セレナはそれを噛み砕こうと、真剣な瞳でシトロンを見つめた。


「一種の突然変異のようなもので、その確率は極めて低く、とても希少なんです。だから、たくさんのトレーナーやダズのようなハンターやブローカーなどの密漁者に狙われることもあるんです」
「そんな……」


 密猟者という言葉に、セレナが顔から血の気を引かせた。
 セレナは新人であるが、トラブルに巻き込まれ、悪の組織たるロケット団や、ダズのような密猟者とはすでに遭遇している。そのため、その行いの非道さは身にしみて知っているのだ。


「それだけじゃない」
「え?」
「色違いのイーブイが、少しだけ小さいことに気づいたか?」
「あ! 確かにちょっと小さかった!」


 シンジがシトロンの言葉に続く。
 シンジの問いに答えたのはユリーカで、ユリーカがシンジの顔をうかがうと、シンジは深くうなずいた。


「色違いのポケモンは大抵が通常の個体よりも小さく生まれるんだ」
「どうして?」
「ポケモンの色は、生まれた場所に最も適した色を持つ場合が多い。もちろん例外もいるが、その色には何かしらの意味を持つ場合が多い。だから色違いのポケモンは、外敵に見つからないように小さく生まれるんだ」


 幼いユリーカや、知識の乏しいセレナには、それがどういった意味を持つのかわからない。多方面に博学なシトロンや、身をもって色違いという存在を知るサトシは、静かに話を聞いていた。


「つまり、森なら森で、海なら海で生活しやすい色をしているということだ。だから、その色から大きく外れた色違いは外敵から見つかりやすく、一匹ならまだしも、群れで生活するポケモンは色違いがいることで仲間を危険にさらしてしまう。そのため色違いは仲間からの迫害にも遭いやすいんだ」
「……っ!!?」
「でも、さっきのイーブイは仲間と一緒にいたから、その心配はないよ。それに、全部の色違いが迫害されているわけじゃないしさ」


 サトシが安心させるように微笑むと、セレナたちがほっとしたように胸をなでおろした。それを確認して、サトシがすいっとシンジに顔を向けた。その顔には一切笑顔はなく、とても静かで冷たかった。


「……どう思う?」
「……私の意見としては、噂を聞きつけたトレーナーの仕業だと思うが、お前は?」
「俺もそう思う」
「え? どうしてですか?」


 サトシとシンジにやり取りに、シトロンが目を瞬かせる。
 セレナたちも、てっきり密漁者の仕業だろうと踏んでいたから、訝しげに眉を寄せている。
 自分がゲットしようとしているポケモンをあんなに手ひどく痛めつけるものなのだろうか、と。


「……残酷なことだけど、密漁者に取ってポケモンは商品なんだ。だから傷がつかないよう、丁寧に捕まえる場合が多いんだ。あいつらはボールでポケモンをゲットしないから、バトルする必要もない。でも、トレーナーはそうじゃない」


 ポケモンは体力が減っていたり、状態異常を起こしているときの方がゲットしやすい。そのため野生のポケモンをゲットするために、バトルを行うことが多い。
 普通のポケモンならポケモンセンターに運び込まれなければならないような怪我を負わないだろう。
 けれど今回は違う。相手は色違いのイーブイだ。
 ただでさえ希少なイーブイの、更に希少な色違い。
 この機を逃せば次はいつ会えるか。もう二度と会えないかもしれない。それくらいには希少な存在だ。
 それを逃す手はないと、トレーナーたちは躍起になったのだろう。
 結果として、イーブイたちは深い傷を負った。


「全部が全部、そんなふうにはなっていないけど、色違いって言うのはいろんな人に狙われて、心に傷を負っている場合が多いんだ。そこをちゃんと考えて接してやってくれよ?」
「「「…………」」」


 優しい笑みでゆっくりと紡がれた言葉に、シトロンたちは深くうなずいた。
 笑みの優しさに反して、重みを持った言葉だったが、彼らはうなずくことが出来た。
 知ってしまったら、もう引き返すことはできない。知らなかったころには戻れないから。





「みんな」
「「「!!」」」


 ジョーイが治療を終え、ロビーに戻ってきた。
 ぱっとサトシ達が立ち上がると、ジョーイがくすくすと笑った。


「イーブイたちはもう大丈夫よ。見た目ほど深い傷ではなかったし、倒れたのは疲労からだったわ。今日きちんと休めば、明日には森に返せるわ」
「本当ですか!?」
「よかった~……」


 安堵から胸をなでおろし、再度ソファに沈み込む。心から安心した、という顔に、ジョーイは微笑んだ。


「私は念のためイーブイたちについてるわ。皆は気を楽にして待っててね」
「はい、わかりました」
「お願いします」


 ジョーイが再度治療室へと消えると、サトシ達は笑った。


「よかったなぁ、イーブイたち。明日には森に帰れるんだ」
「うん。血が出てたからびっくりしたけど、深い傷じゃなくてよかった」


 先程とは打って変わって穏やかな笑みを浮かべるセレナたちに、シンジもふっと口元を緩めた。





「きゃああああああああああああああ!!!」
「「「!!?」」」


――ガシャーン!!!

 つんざくような悲鳴と、何かが壊れる音がした。和やかな空気が一変し、張り詰めたものになる。


「ジョーイさんの悲鳴だ・・・!」
「何かあったのかも・・・」
「行ってみましょう!」


 声が聞こえた方へと走る。近づくたびに破壊音が聞こえてきた。


「ジョーイさん!」


 ドアを開けると、たくさんの星が飛んでくる。
 スピードスターだ。
 ドアを慌てて閉めると、スピードスターはドアにぶつかり飛散した。


「今の、スピードスターですよね……」
「イーブイが起きたのか……」


 ドアの隙間からなかをのぞくと、色違いのイーブイがジョーイを睨みつけていた。
 通常個体のイーブイは、まだ起き上がれないのか、診察台の上で体を投げ出していた。


「イーブイ、落ち着いて! 今日は安静にしていないと……!」


 ジョーイがなだめるように落ち着くことを促すが、イーブイは警戒をやめない。


「ブイ―!!!」
「きゃあ!?」


 イーブイがスピードスターを放つ。鋭利な星達がジョーイに向かって飛んでいく。


「ピカチュウ! アイアンテールでたたき落とせ!」
「ぴかっぢゅう!」
「ブイッ!?」


 攻撃が防がれたことに、イーブイが驚きの声を上げる。
 警戒対象をピカチュウに変え、イーブイがピカチュウを威嚇した。
 するとサトシがドアを開け放ち、ピカチュウをかばうようにイーブイの前にたった。


「落ち着いてくれ、イーブイ! 俺たちはお前たちの敵じゃない!」
「ブイィ!」
「っ!」


――ガブリ!
 イーブイが鋭い歯でサトシの腕にかみついた。
 サトシが痛みで顔をゆがめたのを見て、セレナたちが驚きに目を見開いた。


「サトシ!」


 駆け寄ろうとしたセレナをサトシが目で制する。セレナたちが立ち止まったのを見て、サトシはイーブイに目を向けた。


「大丈夫だよ」


 安心させるように笑って、サトシがイーブイの頭をなでた。イーブイは警戒して、更に力を込めた。
 けれどもサトシは笑顔を崩さずイーブイの頭をなで続けた。


「俺たちは絶対にお前たちを傷付けたりしないから」


 イーブイの体がぶるりと震えた。眼を見開き、上目でサトシの顔を見た。サトシは暖かい笑みを浮かべて、イーブイを見つめ返した。
 信じられないとその瞳が言っている。サトシはそれを読み取って、少しだけ悲しそうに笑った。


「信じられないなら何度噛んだっていい。それでお前が俺を信じてくれるなら」
「ブ、ブイ!!!」


 イーブイが牙を離し、再度サトシを威嚇する。それでもサトシはイーブイの柔らかい毛並みをなで続ける。
 イーブイが怖気づいたのか、イーブイが腰を引く。けれど、視界の端に自分の仲間を見つけて、イーブイは逃げるのをやめた。


「ブイィ!」


――ガブッ!
 イーブイがサトシの腕にかみついた。何度も何度も、血が出るまで。
 けれどもサトシは耐えた。彼が自分のことを信じてくれると心の底から思っているから。
 サトシの真摯なまなざしに、シンジは顔をしかめた。
 サトシの手は血で染まっている。愛しい人の血を流す姿など見たくはない。
 けれど、サトシが耐えているから、シンジも唇をかみしめて耐えた。


「ブイ……ブイィ……!」


 ガブ、ガブ。
 イーブイがサトシの腕にかみつきながら泣いた。
 噛みつく口に力が入っていないのか「くすぐったいよ」とサトシが困ったように笑った。
 もう大丈夫だ、とシンジは体の力を抜いた。


「ブイィ……! ブイィ……!」


 イーブイが耳をたらしてぼろぼろと涙を流す。サトシが目じりをぬぐってやるが、止まる気配はない。


「ブイィ……」
「!」


 茶色のイーブイが色違いのイーブイの泣き声に身を起こす。それに気づいたシンジが慌ててその体を支えた。


「ぴゃあ……」


 イーブイはシンジにすがるように立ち上がり、泣いているイーブイを見つめた。
 仲間が心配なのだろう。こちらも泣き出しそうに顔をゆがめている。


「イーブイ。連れて行ってやるから、少し大人しくしていられるか?」
「ブイ、」


 イーブイがうなずいたのを確認して、シンジがイーブイを抱き上げた。
 泣いているイーブイの横にそっとイーブイを降ろすと、色違いのイーブイは仲間を後ろにかばい、シンジを威嚇した。


「大丈夫だよ、イーブイ。シンジは俺の仲間だから」
「ブイ」


 サトシと仲間のイーブイに諭され、色違いのイーブイはしぶしぶと頷いた。
 大人しくなったことを確認して、仲間のイーブイはぺろぺろと涙をなめた。


「仲いいのね!」
「兄弟でしょうか?」
「! ブイィ!!」
「わあっ!?」


 ユリーカとシトロンが2匹のやり取りを微笑ましく見つめる。
 兄弟、とシトロンが言った瞬間、今度はメスのイーブイが牙をむいた。


「あら」
「? ジョーイさん?」
「ふふ、そういうことなのね」
「何かわかったんですか?」


 少し離れた位置で一連の光景を眺めていたジョーイが、何かの事実に思い当たり、くすくすと笑った。


「ヒント。色違いの子はオスで、もう1匹の普通の子はメスよ」
「え……? あ!」
「え? セレナもわかったのか?」
「うん! 2匹は恋人同士なのね!」


 ジョーイのヒントを受けて、答えがわかったセレナは、頬を上気させて答えを告げた。するとイーブイたちは嬉しそうに何度も深くうなずく。
 そのことにシトロンたちはきょとんと眼を丸くさせ、それから苦笑した。


「恋人なのに兄弟だと勘違いされたら嫌ですよね。すいません、イーブイ」
「ブイ!」


 まったくだ!というように鼻を鳴らしたイーブイに、一同は笑った。




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