恋は戦争・番外編






 ぽろぽろぽろぽろ。
 悲しいわけでもないのに胸がきゅうってして。痛いわけでもないのに涙があふれてくる。拭いても擦っても次々と熱い水が頬を伝う。


『ズルッグ? どうしたの?』


 優しいチャオブーが眉を下げておれの顔を覗きこんでくる。
 いつもだったら頭突きをかましてバトルをしてもらうのだけれど、今日はそんな気分にはなれなかった。

 ぽろぽろぽろり。
 どうしても涙が止まらない。


(おれ、どうしちゃったのかなぁ……?)


 首をかしげると、また一つ、違う筋が出来た。
 涙で揺れる視界には、小さな紫の花が映り込んでいた。




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