そんなのは建前で
「それで、ここで手持ちポケモンの制限の解除はできますか?」
「できるぞ。それはわしがやっておこう。カスミはどうする?」
「私のも一応お願いします」
「わかった。2人はポケモンを選んできなさい」
「ありがとうございます」
オーキドの言葉に2人が頭を下げ、庭に向かう。
午後の日差しが眩しく、2人は眼を細めた。
「どの子を連れていくか、決めてあるの?」
「一応な」
「どの子?」
「ゴウカザルとジュカインとピカチュウだ」
「その心は?」
「ゴウカザルはどれくらい強くなったのか実力を見たいから。ジュカインはシンオウリーグを見て戦ってみたいと思ったからだ」
「ピカチュウは?」
「ピカチュウにも喝を入れる必要があるだろう」
「あー・・・」
カスミとシンジが研究所の裏手へと回る途中、頭上に影がかかる。
上を見上げると、そこには紺色の翼をはばたかせるポケモンがいた。
「・・・オオスバメか」
「スバッ!?」
驚いたような表情を浮かべるオオスバメ。
そんなオオスバメを手招きすると、彼は嬉しそうにシンジのそばに降り立った。
見た目の割に、人懐っこいのだ、このポケモンは。
「この子、サトシのオオスバメ?」
「ああ」
「スバ?」
「あ、私はカスミ。昔、サトシと旅してたの、よろしくね」
「スバー!」
見慣れないカスミの顔に、オオスバメが首をかしげる。
しかし、サトシの名を出せば、すぐにうれしそうい翼をはためかせる。
まるで、よろしくと言っているようだ。
「オオスバメ」
「スバ?」
「サトシのポケモンを、ここに集めてくれるか?」
シンジの真剣な眼差しに、オオスバメは大きくうなずいた。
(みんなぁぁぁ!)
(どうしたオオスバメ)
(シンジが研究所に遊びに来てるよー!なんか、カスミって人と一緒に!)
(まじか!)
(うわー、カスミなんて懐かしい!)
(シンジイイイイイイイイイイ!!!)
(ちょ、ゴウカザル速ぇ!)
(場所わかんないでしょ、ゴウカザル!)
(ハッ!)
(ハッ!じゃねぇよ!!)
(どこ!?どこにいるの!!?)
(なんか、俺たちに用があるみたい、とりあえずみんなを集めて!研究所の裏手にいるから!)