かつて審神者だった少女
おまけ1
虎杖「椿先輩、マジすげぇんだよ。ご飯めっちゃ美味いし、すげぇモテるの」
釘崎「宿儺の反応からして料理上手なのはうかがえるけど、モテるってどういうこと?」
伏黒「そう言えば、あの人にまとわりついてた呪霊、好きとか何とか言ってたな」
虎杖「前にさぁ、体育の授業でソフトボールがあったんだけど、そんときに一人の女子の方にボールが飛んでっちゃったんだよね。そんで先輩がその子を抱き寄せて庇いつつ、片手でボールを受け止めたんだよ」
釘崎「何その少女漫画展開」
虎杖「それね。そんで「怪我は無いか?」って笑いかけられて、その女子は先輩に惚れちゃったわけよ。周りに居た他の女子もほっぺた赤くして先輩に見惚れてたよ。正直俺もかっけぇと思ったわ」
伏黒「それ、吊り橋効果入ってねぇか?」
虎杖「他にも黒板の上の方の文字を消すのに苦労してる女子を手伝ったり、重いもの持ってる女子の荷物を持ってあげたり。捻挫した子をお姫様抱っこで保健室に運んであげてるのも見たよ」
釘崎「まるっきり少女漫画の王道じゃない。女の子がときめく展開を網羅するんじゃないわよ。そんなの惚れるに決まってるでしょ」
伏黒「……狙ってやってるわけじゃねぇんだろ?」
虎杖「うん」
釘崎「罪深すぎる上にタチが悪いわ」
宿儺「………………貴様、本当に刺されたことはないのか?」
椿「ああ、ないよ」
宿儺「あれだけの情念を纏わり付かせておいてか? むしろ刺されていて然るべきだろう」
椿「失礼だな、君は」
おまけ2
釘崎「そう言えば、椿さんってめちゃくちゃモテるのよね? バレンタインとか大丈夫なの? 普段であんなデカい呪霊くっつけてたのよ?」
伏黒「……どうなんだ、虎杖」
虎杖「…………正直やばいと思う。紙袋じゃ間に合わなくて段ボールでチョコ持って帰るレベルだし。ファンクラブまであるって噂だし」
釘崎「段ボールで持って帰るとか二次元かよ」
伏黒「ファンクラブは流石に盛りすぎじゃないか?」
虎杖「どうだろ……。たまに他校の女子も待ち伏せしてたし、あるって言われても納得できんだよね」
釘崎「とんでもないわね……」
虎杖「普段で二級レベルなら、イベントのある時期はそれ以上だったんじゃないかな………」
伏黒「今まで一体どうやって生きてきたんだ……」
椿「そう言えば、年に何度か積極的に顔を見せるよう言ってきたな」
宿儺「何かしらの行事があるたびに、夥しい数の情念を纏わり付かせていたからな」
椿「君がその対処をしてくれていたんだろう? そのおかげで私は平穏無事に日常を送ることが出来ていたようだな。感謝する。ありがとう、宿儺」
宿儺「…………供物を捧げられていたからな。その分の働きだ。貸しを作るのは性に合わん」
椿「私が好きでやっていただけだというのに。君、意外と律儀なんだな」
宿儺「意外は余計だ」
おまけ3
五条「呪いについて、どう思う?」
椿「それはどういう意味だろうか? 信じているかどうか、ということだろうか?」
五条「呪いそのものについて、って言いたいところだけど、一般人の椿にそれは難しいよね。信じているかどうかでいいよ」
椿「それならば信じている」
五条「へぇ、意外! そういうの馬鹿馬鹿しいと思ってるタイプだと思ってた!」
椿「そうでもない。けれど、呪われる覚悟もないのに、相手を呪う者は愚かだと思う」
五条「どうしてそう思うの?」
椿「人を呪わば穴二つというけれど、それだけでは済まないこともあるだろう。相手側の墓が一つでは足りないこともあれば、やり返されて、自分たち側の墓が足りなくなることもあるはずだ。でなければ、末代まで祟るなんて言葉は存在しないだろうしな」
五条「日本人ってねちっこいよねぇ。椿もそういうタイプ?」
椿「ああ。仮に私が呪いを使えたとしたら、きっとそうするだろうから」
五条「…………やっぱ椿、才能あるよ、呪術師の。ほーんと、弱っちいのがもったいない!」
椿「世の中ままならないことばかりだよ、先生」
五条「…………嫌になるくらい、その通りだよ」