幸せの捜索願
「なぁ、硝子。椿って、子供だったんだな」
「何を今更。あの子はずっと子供だったろ。確かに、大人びては居たけどさ」
「そうじゃなくて、何て言うか、誰かが守ってやらないと駄目なんだって、気付いたって言うか……」
「庇護欲が沸いたの? あんたに?」
「うっせ。でも、そうかも。熱出してぐったりしてるの見て、簡単に死んじゃいそうだなって思ってさ……」
「風邪でも死ぬときは死ぬからね。ま、そういう気持ちを持つことは悪いことじゃないし、守りたいって思ったんなら、大事にしてやんな」
「……そうだな。とりあえず、薄っぺらすぎて心配だし、何か食わせてやったりするのが良いかな……」
「いいんじゃない? 確かにちょっとどころじゃなく軽いし」
「だよな!? 抱えたときぬいぐるみでも抱えたのかと思ったわ! あのおっさん、しっかり食わせてんのか!?」
「急に庇護欲沸きすぎだろ」
(五条に子供を慈しむ心を芽生えさせたのか……。すごいな、あの子)
(まぁ確かに、見てるこっちがハラハラするくらいに危なっかしい子だし、見守ってあげる大人は多い方が良い)
(良い子だし、長生きして欲しいもんだな……)