幸せの捜索願
宿儺は父を探す傍ら、家事の手伝いや集まってきた人に害を為すものを祓ってくれた。私が“私達家族を助けて欲しい”と願ったから、私達を害する可能性の芽を摘んでくれているらしい。
また、人に害を為すもの―――――呪霊や、それを祓うことを生業にした呪術師などについても教えてくれた。私と恵には呪力というものがあり、呪霊を祓う力があると言うことも。
「……あんた、あれを倒せるのか?」
幼いながらも呪霊が危険なものだと本能で察していた恵が、呪霊を祓う宿儺を見て彼に声を掛けた。
恵は警戒心が強い子だから、なかなか宿儺に心を開かなかったが、彼が私達を守ってくれている姿を見て、少しずつ心を溶かしているようだった。
「あれ? ああ、呪霊のことか」
「……あいつらのこと、知ってんのか。なら、俺の影に住んでる奴についても分かるか?」
「影……?」
宿儺が、恵の影に目をやった。そしてわずかに目を瞠り、楽しげに笑う。
「ほう。血に根付いた術式か」
「じゅつ……?」
あどけない表情で宿儺を見上げる小さな存在に、宿儺は今までで一番機嫌良く笑った。