歴史修正主義者になりたくない
東京都立呪術高等専門学校。通称に高専に入学した青年は、同級生として紹介された面々を見て顔を引きつらせた。
彼は転生者であった。前世で「呪術廻戦」という作品を愛読していた一人であり、ミーハーなファン心理で高専からのスカウトを受諾したのだ。
―――――問題児二人。ただし最強。そんな煽り文句が付く二人と、彼等と同期の美少女とまみえることを楽しみに、呪術師として生きていくことを決めた彼は、あり得ないことが起こっている現実に、気を失ってしまいそうだった。
後の現代最強、五条悟。反転術式のエキスパート、家入硝子。イレギュラーな己と、同じくイレギュラーな少女が二人。以上5名が、今年入学した呪術師の卵だった。
「こ、これだけ……? す、少なくないですか……?」
「むしろ今年は多い方だぞ。豊作と言って良い」
そう言って、担任の夜蛾正道は肩を竦めた。
あり得ない、と青年は戦慄いた。もう一人の最強―――――夏油傑がいないのだ。
(一体何が起こっているんだ……?)
自分の知らないところで、何か事が起こっている。それを察せられる現実に、青年の顔から血の気が引いた。