牛島若利のいとこな姐さん
清庭椿
中等部から白鳥沢学園に所属している学生。
剣道部に所属しており、中等部では主将も務めていた。
中等部での団体戦での最高成績は全国ベスト8。個人戦では全国優勝を果たしている。ちなみに三連覇。
高等部でも剣道を続けており、六連覇を目指している。
最短で段位を取得しているため、高校一年生の段階で、すでに剣道三段を取得している。
牛島の母方親族。牛島とはいとこの関係に当たる。
小さい頃から牛島のバレーの相手をしてきたため、バレーの基本的な動きは出来る。
牛島のレベルが高いため、それに付き合っていたら自然とハイレベルに。
白鳥沢の女バレに誘われているが、剣道一筋。
***
※牛島達が一年生。
※大平と添川が中等部からの持ち上がり設定。
春が遠ざかり、夏が近づいてくる頃。白鳥沢学園では球技大会が開かれる。種目はサッカー、卓球、バレー、バスケの四種目。その中から自身の所属部を外したものを選び、参加する事になっている。
一番怪我をしにくそうだから、と言う理由で卓球を選んだ大平は、なれない競技に2回戦敗退。大きな隙間時間を得た彼は、同じく卓球を選び、盛大な空振りを披露して早々に敗退した牛島に声をかけた。
「若利、女子の部のバレーが始まるぞ」
「ああ、今行く」
午前中に行われる男子チームの競技は、今行われていたバスケの試合で終わりである。それと入れ替わりに、女子チームの試合が行われるのだ。
何となしに集まっていたバレー部の一年生達が、大平と牛島のやり取りに驚きに目を瞠る。
「え? 若利くん、女子の部見に行くの? もしかして気になる子が出るとか!?」
「いや、いとこが出場するんだ。良かったら来てくれと言われたので、見に行こうかと」
「えっ!? 若利くんのいとこ!? 超気になる! どんな子なの?」
「てか、所属部の球技には参加出来ないんじゃなかったか?」
「いや、いとこは剣道部だ」
「マジで!? 若利くんの親戚っていうから、バレー馬鹿なんだと思ってたヨ」
「若利のいとこ……椿って言うんだけど、凄いぞ。流石若利の血縁って感じで」
「やべぇ、めっちゃ楽しみなんだけど!」
中等部からの持ち上がりである大平と添川は、牛島のいとことも知り合いらしい。同じ学園に牛島のいとこが通っていることも初めて知った天童達は、それがどのような人物であるのか興味津々だ。6人という大所帯で女子バレーボールが行われる体育館に向かう。
牛島達が体育館のギャラリーに到着したときには、すでに試合が始まっていた。
一目見て分かった。その女子生徒が牛島の血縁者である、と。
他の女子生徒より頭一つ分高い、切れ長の目元が涼しげな美形。バレー部に所属していると言われても信じてしまうほど、無駄のない動き。配置されているのは、牛島と同じセッターの対角の位置。
セッターのポジションについた生徒が、高いトスを上げる。件の少女が、それに合わせて床を蹴る。高く飛んだ姿が、牛島のそれと重なった。ドン! と大きな音を立てて、スパイクが決まる。相手チームは反応することすら出来なかった。
コートとギャラリーから、黄色い悲鳴が上がる。彼女のクラスメイトらしき少女達が、頬を薔薇色に染めて熱い視線を送っていた。
コート内で点を取った喜びを分かち合っていた少女が、ふと顔を上げる。牛島達の存在に気付いた少女がひらりと手を振った。それを見て、牛島が片手を挙げて応えた。
「……紹介されなくても分かっちゃったねぇ」
「分かっちまったな」
「本当にバレー未経験者なの?」
「クラブや部活動に参加したことはない。休みの日に、俺の自主練に付き合ってくれる程度だ」
「そりゃ上手くなるわ」
「背も高ぇし、ちゃんと練習すればレギュラー取れそうだよな。もったいねぇ……」
「いや、あいつは剣道の才能がある。そちらの才能を腐らせるのは惜しい」
「へぇ~、そんな凄いんだ?」
「凄いなんてもんじゃないぞ。椿は個人戦で全国優勝もしてる」
「マジで!?」
ちなみに段持ち、と言われ、その才覚に戦慄く。牛島一族は、みんな何かしらの才能を持って生まれてくるのだろうか。
試合は牛島のいとこ―――――椿のクラスの勝利で終わった。一通り喜びを分かち合い、椿がギャラリーの牛島達と合流した。
「若利、見に来てくれたんだな。大平達もありがとう」
「ああ。お疲れ」
「お疲れ様、椿。スパイク見たぞ。相変わらず凄いな」
「ありがとう」
遠目から見ても、その背の高さは分かった。しかし、近くで見ると、思った以上に背が高い。瀬見や山形などは見下ろされる形となる。バレー選手としては低身長の部類に入る二人は、ほんの少しショックを受けた。ショックを受けている二人を視界に収めた椿が、牛島達に尋ねる。
「彼等はバレー部の仲間だろうか?」
「そうダヨ~。俺、天童覚! よろしくネ」
「瀬見英太だ。よろしく」
「俺は山形隼人だ。若利のいとこなんだってな。よろしく!」
「私は清庭椿だ。こちらこそよろしく」
ふわり、と綻んだ顔は何だか幼くて、家庭科部や華道部の方が似合いそうだな、と思ってしまう。
後日、剣道部の部活を目撃した瀬見達が、その気迫に認識を改めることになるのは、また別のお話。
***
椿「天童くんの髪は地毛か?」
天童「呼び捨てでいーよ。俺のこれは地毛だよん」
椿「綺麗な赤だな。つい、手を伸ばしたくなる」
天童「ひぇっ」
大平「誰彼構わず口説くんじゃないよ」
椿「事実を述べただけだ。紅く色づいた紅葉の色だ。美しいと思わないか?」
山形「率直な物言いは流石牛島の血筋って感じだな……」
瀬見「若利と違って、口ぶりはたらしのそれだけどな」
***
最初に考えていた邂逅ネタ。
牛島「む、」
天童「どうしたの、若利くん。忘れ物でもした?」
牛島「いや、いとこの持ち物を間違えて持ってきてしまったようだ」
天童「あちゃあ。何持ってきちゃったの?」
牛島「いとこが購読している雑誌だ」
天童「へぇ、何の雑誌?」
牛島「刀剣についての特集だ。いとこは刀が好きで、よく博物館や美術館に行く」
天童「若利くんのいとこって言うから、バレー馬鹿なんだと思ってた! 全然系統が違うネ?」
牛島「ああ。あいつは刀剣馬鹿だ」
椿「若利、いるか?」
牛島「ああ。丁度よかった。お前に用事があった」
椿「要件は同じだな。すまない、君の雑誌を持ち帰ってしまったようだ」
牛島「いや、俺が取り違えたのかもしれない。汚していないと良いのだが……」
椿「ありがとう。大丈夫だから、気にしないでくれ」
天童「この子がいとこちゃん? 若利くん、紹介してヨ!」
牛島「ああ。牛島椿、俺のいとこで、剣道部に所属している」
天童「初めましてー! 俺は天童覚! 若利くんと同じバレー部だよ!」
椿「初めまして。よろしく」
