2年オバブロ組がループしている話
リドル「そう言えば君たちは、自分が何回目のループか覚えている? ちなみに僕は12回目だよ」
アズール「僕は10回目ですかね」
ジャミル「さぁ、とりあえず30回を超えた辺りで数えるのを辞めたな」
リドル「」
アズール「」
☆
アズール「もう一度繰り返したくないループってあります?」
リドル「オーバーブロットした後にお母様と相互理解を深めようとしたら、監禁されてしまった時のループかな」
リドル「監禁後にもう一度オーバーブロットしてしまって、お母様を巻き込んで死んでしまってね……」
アズール「うわぁ……。僕も似たような物で、オーバーブロットを起こして双子を殺してしまった事ですかね……」
リドル「オーバーブロットはやっぱり危険なものなのだと改めて理解出来る話だね……」
ジャミル「俺はその時のアジーム家とバイパー家によって全て左右されるな……」
ジャミル「奴隷と処刑はどっちが酷いと思う?」
リドル「」
アズール「」
リドル「ジャミル、一人で寝られなくなった責任を取って欲しい」
アズール「モストロ・ラウンジのVIPルームに来てください。今日は僕たち三人で寝ます」
ジャミル「えっ」
☆
ジャミル「あれはないなと思った監督生の言動あげてけ」
ジャミル「ちなみに俺はガチ全国配信。あれで火消しの為に処刑された」
リドル「待って、重い」
アズール「僕らのハッタリをガチでやったんですか??? 馬鹿なんです???」
ジャミル「馬鹿なんだろ」
リドル「それにしても、監督生はループの度に別の子になるのだけれど、いい子と悪い子の落差が激しくないかい?」
アズール「そうですね。それに、やたらと僕たちの行動に詳しい人もいませんか?」
ジャミル「ああ、たまにいるな」
リドル「やたらとオーバーブロットさせようとする子もいるよね。あれは何なんだろう?」
ジャミル「逆に阻止しようとする奴もな」
アズール「監督生の他にもいませんか? そう言う人」
ジャミル「覚えがあるな。やたらとこちらを気にかける素振りを見せてきたり。正直ちょっと気持ちが悪い」
アズール「理解者面されるの腹立ちません?」
リドル「分かる」
ジャミル「分かる」
☆
リドル「"誰だお前は"と思った時の変化をあげていってくれ」
リドル「僕はケイトがイデアさんのような性格だった時だね」
アズール「誰ですか、それは」
アズール「僕は農作業をするヴィル・シェーンハイトを見たときですかね」
リドル「誰だい、それは」
ジャミル「カリムが俺を自由にしてやると言った時だな」
ジャミル「俺がオーバーブロットしても尚、離そうとしなかった奴が、だぞ?」
アズール「あの執着は側から見ても相当なものでしたからね。それを手放すなんて有り得ませんよ」
リドル「まさに"誰だお前は"だね」
☆
ジャミル「嘘だろって思った変化あげてけ」
ジャミル「俺はカリムがアルビノだった時のループは絶望した」
アズール「ただでさえ狙われているのにアルビノですか……。それは辛い……」
アズール「僕は双子が女性だった時ですかね」
リドル「想像出来ない……」
リドル「僕はトレイが居なかった時だね」
ジャミル「うわ……」
アズール「存在ごと居ないなんてこともあるんですね……」
☆
リドル「ねぇ、ジャミル。君、本気を出す気はないかい? 僕たち三人でトップ3を飾りたいんだけど」
アズール「それはいいですね! 是非やりましょう!」
リドル「1位は僕が貰うけどね」
ジャミル「了承してないんだが?」
結果
総合1位 ジャミル・バイパー
リドル「」
アズール「」
ジャミル「まぁ、やるからには徹底的に、な?」
ジャミル「というか俺のループ数を見てよく勝負を挑めたな。すでに妖精族レベルなんだが?」
アズール「そう言えばそうでしたね……」
リドル「僕から言い出しておいてなんだけど、本気を出してよかったのかい? 今は猫被り期間のはずだろう?」
ジャミル「いいよ。色々面倒になってきたし、自分を偽るのは疲れるんだ」
アズール「…………」
リドル「…………」
アズール「ジャミルさん。今日はうちの寮に泊まりましょう。夕飯は僕がお作りします」
ジャミル「は? 断る。対価を要求されたらたまらないからな」
リドル「僕は薔薇の国流の紅茶を淹れてあげよう。僕のとっておきの紅茶を飲ませてあげる」
ジャミル「いや、いらないんだが???」
アズール「ウツボが邪魔だというのなら追い出しますし」
リドル「カリムの面倒があるというなら、追い出されたウツボに面倒を見させれば良い」
アズール「と言うわけで、ジャミルさんは身一つで来て下さい」
リドル「幸いにも明日は休みだし、三人で自堕落に過ごすのも良いかもね」
アズール「今夜が楽しみですね」
ジャミル「……はぁ。分かったよ。色々と準備があるから、少し遅れるかもしれないが」
アズール「ええ。お待ちしております」
リドル「こちらの準備は僕達に任せておくれ」
ジャミル「ああ。またあとで」
リドル「…………」
アズール「…………」
リドル「ジャミルって、あんなに流されやすい性格をしていたっけ」
アズール「いいえ。おそらく、本当に疲れているのでしょうね。この終わらないループに」
リドル「どうやったら、終わるのかなぁ……」