致死量は口付け一回分
「ウミヘビくーん!」
「ん? ああ、フロイドか。何かよ、う、んむっ」
「あはっ。ごちそうさまー」
「……はぁ、君は一体何がしたいんだ」
「特に意味なんてないよー。強いて言うならきもちーから?」
「…………俺で無くても良いだろうに」
「えー、ウミヘビくんが良いー。…………あれ?」
「ん? どうした?」
「ねぇ、ウミヘビくん、唇になんか塗ってきた?」
「は?」
「何か唇が痺れてきた気がする……」
「痺れ? いや、何も……」
「ウミヘビくん?」
「……実は、唇に毒を塗ってきたんだ」
「……何の毒?」
「さてな。ああ、でも効果くらいは教えてやる。動悸、息切れ、発汗、発熱、そして……。俺のことしか考えられなくなる」
「……やべぇ毒じゃん」
「そうだな。まぁでも、死にはしないさ」
「……俺には効果抜群だったみたい」
「え? そんなはずは……。もしかしてプラシーボ効果か……?」
「しにそう……」
「すまん、嘘だ、冗談だ。毒なんて塗ってない。だから大丈夫だぞ? おい?」
「もう一回してくれたら治るかも」
「………………は?」
ちょっとした冗談で眠れるウツボの恋心を起こしちゃったウミヘビくん。