そして噛み付いた花びらは、酷く苦い味がした






花に嫉妬するフロイドの話。
フロジャミです。いわゆる両片思い。

注意
・腐向け
・フロ→←ジャミ
・捏造過多
・キャラ崩壊



***



 恋は無益なものだ。得られるものなんてほとんど無い。
 恋は薬物のようなものだ。依存性が高く、時には心身に異常をきたす。
 恋は悍ましいものだ。手ぶらで出来るほど簡単なのに、一生の傷として残り続ける事もあるのだから。
 恋は人を狂わせる。その人らしくない行動だって取らせてしまうほどに。

 フロイドがその光景を見たのは、日差しが眩しい夏のことだった。
 校庭の近くにある花壇の前で、咲き誇る向日葵を見上げるジャミルを見かけたのだ。
 何をしているのか気になって、声をかけようと足を向ける。けれど、ジャミルの元につく前に足を止めてしまった。
 ジャミルが向日葵に手を伸ばして、そっと花びらを撫でたのだ。まるで愛しい相手の頬を撫でるように。
 そしてその向日葵に、愛しい相手にするように口づけたのだ。
 その光景を見て酷く動揺したフロイドは、ジャミルがその場を立ち去るまでの間、呼吸すら忘れて立ち尽くしていた。

 ジャミルの姿が見えなくなって、ようやく金縛りが解けたフロイドはジャミルがしていたように向日葵の前に立った。
 どこか遠くを見るような眼差しと彼らしくない行動は、きっとその向日葵に誰かを重ねていた。


(向日葵の高さは、オレと同じくらい………)


 きっと、彼は誰か想う相手が居るのだろう。どこか熱を帯びた視線と、誰かに想いを馳せる姿は、そうとしか思えないものだった。
 彼は誰かに想いを寄せている。彼は誰かに恋をしている。自分と同じような背丈の誰かに。
 そう思うと、顔も知らない誰かが、酷く憎らしかった。




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