2週目バスケ部と監督生が疑似家族になる話
その光景を見たのは偶然だった。
腐れ縁の幼馴染みと、優秀なクラスメイト。何かと話題に上る監督生とその友人。
どこでどう知り合ったのだろうかと首を傾げるような4人組が寄り添っている姿が目について、アズールは思わず足を止めた。
フロイドに寄りかかりながらユウに膝枕をしているジャミル。エースはジャミル達の前に座り、ユウの頬をつついている。
「こら、エース。ちょっかいを掛けるんじゃない」
「そうだよ、エース。寝たいよ」
「お前は寝るんじゃない。夜眠れなくなっても知らないぞ」
「やです~」
ユウがぐりぐりとジャミルの膝に頬や額をすり寄せる。ジャミルは「くすぐったい」と言いつつも、やめさせようとはしない。
駄々をこねる幼い子供を相手に、しょうがないなぁと譲歩する母親のような顔をしていた。
「寝れない~って電話してきても、相手してやんねぇよ?」
「え~!」
「夜更かしは体に悪いんだから、夜にきちんと寝な?」
ジャミルの体を支えてやりながら、フロイドがユウの髪を梳いてやる。不満を宥めるような優しい手つきは父親のそれで、ユウは拗ねたように頬を膨らませながらもどこか嬉しそうにしている。
見た目も何もかもちぐはぐで、似ても似つかない4人。けれど、それはどこまでもあたたかく、優しい家族の情景だった。
「………………フロイド」
「なぁに、アズール。どうしたの?」
「………お前はいつ結婚してジャミルさんとの間に子供を設けたんだ???」
「ごめん、何の話???」