ローディング画面のキャラで成り代わり
違和感は前からあった。
けれど、その違和感が明確に形になったのはそのときだ。
「きゃあああっ!」
ジャミルが目の前に飛んできた虫に驚いて悲鳴を上げたのだ。男の子らしくない、まるで女の子のような悲鳴を。
可愛らしい見た目や声変わり前であることも相まって、本当に女の子が悲鳴を上げているようで、助けてあげなければと思わず飛び出してしまいそうになる。
けれど咄嗟に駆け寄る前に、彼の悲鳴を聞いた父親が彼を叱り付けたのだ。
「男が虫くらいで悲鳴を上げるもんじゃない。お前はバイパー家の跡取りで、将来はカリム様の護衛になるんだからな」
そう言って「情けない」と溜息をついた父親を見て、彼は一粒の涙を流した。深く傷ついたような、絶望したような顔をして。
そのときに「もしかして」と思ったのだ。彼の体は男の子だけれど、心は女の子なのではないか、と。