設定集






・南泉×切国♀(ひろと呼ばれている)
南泉と切国の娘。
人間で言うなら3歳児くらい。
名前:
見た目:顔は山姥切国広をそのまま幼くしたのではないか、と言われるくらいそっくり。
切国色の瞳。しかし、瞳の形?模様?は南泉似。
髪は南泉色。
短い時はストレートで切国似かと思われたが、伸ばしていくと毛先に癖があり、髪も南泉似と判明。
伸ばすとウェーブがかかる。
手触りも南泉譲り。


山姥切国広をそのまま幼くしたような顔の女の子に覚えのある者はいるかな?
瞳の色は偽物くん
髪の色は少し淡くて、猫殺しくんに近いね
全身傷だらけの状態で、役人と思わしき人間達に追いかけられていてね
彼女が逃げた先にいた俺と山鳥毛が助けを求められたんだ

はっ!?
口調的にちょぎさんだよね?
どう言う事?
長義がそんな冗談言うとは思えないんだけど、本当だとも信じられない……

経緯は今から書く
申し訳ないけれど、主や本丸との連絡にも使わせて貰う
ここなら、この子の親や主が見つけてくれるかもしれないし、証拠にもなるしね
流石に顔は載せられないけど、怪我の写真を載せておくよ
つ【切り傷や擦り傷がついた細い腕の写真】

マジか
いやこれ、意図的な傷だろ
転んでついたような傷じゃない
マジっぽいな……
てか、火傷っぽい痕もあるんだが???
虐待とかでは???
通報する???
いや、通報はやめとけ
役人っぽい奴に追いかけられてたって言ってたし、それが本当に役人なら、この傷は政府の連中に付けられたもののはずだ
通報は一旦ストップな
下手すりゃ、この傷をつけた奴の手に渡っちまうかもしれん

さて、経緯を書こう
政府に足を怪我した主に代わって書類提出に来ていたんだ
ついでに買い出しもしてしまおうと言う事で、山鳥毛と二振りでね
提出が終わって万屋に向かう途中、「たすけて!」という幼い声が聞こえんだ
辺りを見回すと、幼い女の子がこちらに駆けてくるのが見えたんだ
頬は赤く腫れ上がっていて、体にも傷があるようだった
女の子の後方には必死の形相の男達
不穏なものを感じた俺達はとっさに「こっちだ!」と叫んで女の子を保護した
男達は俺達の姿を見て逃亡
それにほっとして、女の子は俺達を見上げた
顔が偽物くんそっくりで驚いたりしたけど

「あの、たしゅけてくえて、ありあとうごじゃいましゅ……」

舌足らずな言葉でお礼を言われて、けれどすぐに、その子は必死に叫んだ

「パパとママをたすけて!」



パパとママも危険な目に遭ってるの!?
見た目的にパパって切国だよな?
つまり審神者と切国がやばいってこと!?

おそらくは
ただ事では無いと察した俺達は主に連絡
証拠作りと情報交換を同時に行うためにこのスレを立てた
今にも泣いてしまいそうなのに、決して涙を流さない女の子を宥めて落ち着かせたところだよ

「頬が腫れているな……。君を追いかけていた者達にされたのか?」
「……ぐーされたの」
「ぐー? まさか、拳のことか?」

そう山鳥毛が尋ねると、女の子は小さく頷いた
ちょっと殺意が湧いたよね

つまりその子、顔を殴られたの? 平手とかじゃなく、拳で???
女の子の顔を拳で殴りつけるとかふざけんな???
殺意しか湧かねぇな!!!
こんな傷だらけでも泣かないのは偉いね!
絶対泣かないところ、凄く国広っぽい……

「ああ、可哀想に……。何があったか話せるか?」
「……たすけてくれる?」
「ああ、勿論だ」
「主達も協力してくれる。そのために、何があったか話せるかな?」
「うん」

支離滅裂だったけど、取り敢えず分かった事
本丸に知らない人間(おそらく役人)が来る
みんなが怖い顔をして慌てていた
その人間と会わないようにパパとママ(おそらく審神者と偽物くん)の三人で本丸を出る
人がいっぱいいるところに行くと話していた
その途中でいきなりパパとママにギュッとされた(抱きしめられた?)と思ったら痛い目に遭った
パパとママが「逃げろ」と言って倒れた
パパとママを助けてくれる人を探すために二振りから離れた
すると人間が追いかけて来て、この人間達は怖い人だと思って逃げた
捕まりそうになって暴れたら殴られた
それでも暴れて逃げ出して、俺達を見つけた
という事らしい
嫌な想像しか出来ないね

倒れた!?
刀剣男士が!?
何があったの、ほんとに……
取り敢えずその子の発言から、状況を推理してみよう
そうだな
慌ててたってことは、連絡無しに役人が来たんかな?
みんな怖い顔してたってことは、その暫定役人は本丸にとって良くない奴ってことか?
でも、何で本丸を出たんだ?
小さい女の子を顔が腫れ上がるくらいの力で殴り付けるような奴だぞ?
何してくるか分かったもんじゃねぇ
少しでも遠ざけたかったんだろ
成る程?
人がいっぱいいるとこに行くっていうのも、何かあった時に目撃者を作るためかな?
それかも
人目があったら手を出して来ない可能性もあるし
痛い目に遭って、刀剣男士が倒れたっていうのが分からん
罠が仕掛けられてた?
もしそうだったら用意周到過ぎるだろ!
追いかけられたとか、捕まりそうになったってことは、本丸に来た奴らの狙いはその子……?
その子が本当に刀剣男士の子なら、政府としては色々と興味深いんだろ

まぁ、そうだろうね
女の子、では分かりにくいな
山鳥毛がこの子のことを雛鳥と呼んでいるから、ここでは「ひな」と呼ぼう
さて、気になることはあるかな?

ひなちゃんね、了解
痛い目に遭った時のことを詳しく聞きたい
刀剣男士が倒れるほどのことだ
何かしらの仕掛けがあったんだろう
長義くん、俺です
主です
俺から質問
どこに行こうとしていたか分かるか聞いてみて
もしかしたら別の本丸とか、助けになってくれる人がいたのかもしれない
本丸に来た人達はどんな人達だった?
役人?それとも神職の人?
何で神職?
刀剣男士の血を引いてるってことは半神ってことだろ
神職の人間が興味を持ってもおかしくは無い
成る程な

・痛い目に遭った時のことを具体的に
・本丸を出て、どこに行こうとしていたのか
・本丸に来た人間はどんな人物だったか
でいいかな?
とりあえず聞いてみるよ




・痛い目に遭った時のことを具体的に
「うんとね、ピリッてしたと思ったら、バチバチってなったの」
「その時、誰か周りにいたかな?」
「いなかったとおもう……」

「パパとママがギュッてしてくれたからわたしはだいじょぶだったの。でも、でもね、パパとママはね、すごくいたそうでね……。ぱぱ、ままぁ……」
「それは心配だね。パパとママを助けるために、もう少し話してくれるかな?」
「うん……」

・本丸を出て、どこに行こうとしていたのか
「分かんない……。ごめんにゃしゃい……」
「謝らなくていい。分からない事をきちんと伝えられて偉いな」

・本丸に来た人間はどんな人物だったか
「みちゅたらしゃんとにてるおようふくだったよ」
「祖のことかな? 祖と似てる服ということはスーツか……。政府の人間か……?」
「でもみちゅたらしゃんとちがくて、こわかったの……」
「どう怖かったのかな?」
「んと、えと、とにかくこわくてね、えと、あの……」
「ああ、難しかったね。とにかく怖かったっていうのが分かったから、それで十分だよ」

取り敢えずわかったのは、おそらく罠が仕掛けられていたということ
スーツ姿の人間であること
その人間は何か不穏なものを隠し持っていたということ
以上、3点だね

ちっちゃい子に状況説明は難しいか……
誰かひなちゃんの本丸の奴がこのスレを見つけてくれたら良いんだけど……


自分の発言が伏線になってるとは思わなかった……
こちらに向かってくる足音が聞こえてきて、警戒してたんだけど、その足音にひなが反応を示してね
それが悪いものでは無さそうだったから、もしかしたら彼女の本丸の者たちの足音かなって思ったんだ
そうしたら、ひなの名前を必死に叫ぶ男女の声が聞こえてきてね
そして……

「ひな! どこだ! ひな!!!」
「ひな! どこにいる!? 声が聞こえたら返事をしてくれ!!」
「!! パパ! ママ!!」
「「ひな!!!」」

現れたのは猫殺しくんと、女士の偽物くんでした……



は?
はあああああ!?
切国と審神者の子じゃないの!?
刀剣同士の子ぉ!!?!?
長義くん、それ本当!?
マジで南泉くんと国広くんの子供なの!?

どうやらそうみたいだよ
二振りとも血を流していて、どう見ても中傷以上の怪我をしている
どうやらまじないを掛けられたようだね
そしてそれを無理矢理引っぺがしてきたようだ
そうまでして必死になるのは、やはり彼らが「親」だからではないかな?

「ひな、ひな!」
「無事だったか……。良かった……」
「パパ、ママ……。いたい……?」
「痛くねぇよ」
「ひな、よく泣かなかったな。もう泣いていいぞ。痛かっただろう?」
「怖い思いもさせちまったな。ほら、おいで」
「ぱぱぁ、ままぁ……。うぅ……、うぇ、うぇぇぇぇぇん!」
「よしよし、もう大丈夫だからな」
「ごめんなぁ、ひな。ちゃんと守ってやれなくて……」
「うぁぁぁぁん! こわ、こわかったよぉぉぉ!」




「ああ、布が欲しいな……。今、この子に見せられない顔をしている自覚がある」

本当にな
ガチで子供に見せられない顔してたよ
流石の俺もドン引きするくらいの形相だった




「誰でも良い、何でも良い。今すぐ何か斬り捨てないと、貴様らを根絶やしにしてしまいそうなんだ……!」

こいつ本当に俺の写し???
俺ここまで過激じゃないよ???

嘘つけ
安心して! 過激さはそっくりだよ!


隠すのはやめた
大々的に広めて、周知して、審神者たちの理解を得るの
そうしたら政府も手を出しづらくなるでしょ?
それに、この子もいずれ刀剣女士として戦場に立つ
でも、いきなり戦場に立たせるわけにはいかない
その前に演練で経験を積んでからと言うことになる
遅かれ早かれ演練に出るのには変わらない
だったら、早くたっていいでしょう?

と、演練につれて行く



次の話↓

人の多さに驚いて南泉に抱っこされたまま降りない
顔をあげない

「おや、猫殺しくん。抱えているのは、子供、かな? どうしたんだい、その子」
「俺の娘だ。演練に来たのは初めてでな。人の多さに驚いたみてぇで、顔をあげてくんねぇんだよにゃあ……」
「へぇ、娘……。はぁっ!? 娘!!? 君の!!!??」
「ふぇっ、おこったぁ……」
「怒ってねぇよ。俺に娘がいてびっくりしたんだと」
「……パパの子だもん」
「別に疑ってる訳じゃねぇよ、こいつも。なぁ?」
「えっ、あ、うん、驚いただけだよ」
「ほんと……?」
「本当だよ。大きな声を出してごめんね?」
「うん……」

「で、どういうこと?」
「だから、俺の娘だって。それ以上の説明のしようがねぇ」
「刀剣男士と審神者の間に子を授かる事例は過去にあったそうだけど、極めて珍しい。母体が死んでしまうケースも多い。君の審神者は無事なのか?」
「いや、こいつは主との子じゃねぇよ」
「……は? え、じゃあ、誰との子? まさか処女受胎でもしたのかな???」
「んな訳あるか。ちゃんと母親もいる」
「……まさか、刀剣男士同士で?」
「いや、刀剣女士だ。いくら付喪神でも流石に男同士では無理だろ、多分」
「……ちょっと顔見せてもらってもいい?」
「娘が良いって言ったらな。……ひな、本科さんがお顔見たいって言ってるぞ。顔上げられるか?」
「ほんかしゃん……?」
「   」
「ほんかしゃん? どしたの?」
「えっ、ま、えっ??? えっ!!?!?」
「ママそっくりで驚いたんだと」
「そーなの? んふふ、そーなんだよ! ママそっくりなの!」
「……うん、本当にそっくりだね。ちょっと心臓が止まるかと思うくらい」
「でもね、かみのけはね、パパとおんなじなの! いいでしょー!」
「そっかー……。確かに癖毛だね。……偽物くんの亜種個体とか、そういう救いはないの???」
「ねぇよ。あいつが命懸けで産んだ子を否定すんな。斬るぞてめぇ」
「……すまない。軽率な発言だった。そういうつもりは無かったんだ」
「そう言うつもりで言ってたら、お前は既に真っ二つだ、にゃ」
「パパー? なんのおはなしー?」
「ん? 難しい話だ、にゃ」
「そっかー? むじゅかしいはなしかー」





過去の話↓



「本体見せたら喜んでたな」

「本体を見せたら大体泣き止む」

「でも、テンションが爆上がりするので寝かしつける時には見せてはいけない」



縁側で手入れしてる奴がいて
「しゅごーい! きりゃきあー! きえー!」
すごい、きらきら、きれい
「おはにゃみたい!」
お花みたい




「にゃー!」
「にゃーは真似しなくていい、にゃ」
「んふふ。でもパパ、にゃーっていうわたし、かわいいよ?」
「んぐぅ……、確かに可愛い……」
「でしょー?」
「やべぇ、すでに自分の可愛さを分かってやがる……」
「だって、ママかわいいでしょ?」
「ん? そうだな?」
「だからわたしもかわいいの!」
「ああ、なるほど。ひなはママ似だもんにゃー」
ひろは可愛い→ひなはひろに似てる→ひろに似てるひなは可愛い
って事らしいよ
確かにどっちも可愛いけどね
てか、南泉よく分かったな???




「わたしのママだからだめ!」




かくれんぼして遊んでたとき、山鳥毛の上着の中に隠れてた事があってさ
赤ん坊の時は意識というか、自我があんまり無い時だから怖がられたりとかなかったけど、自我が芽生え始めたらそうはいかない
好きなもの、嫌いなもの、楽しいもの、怖いもの
そういったものに対する意識が芽生えてくる
だから怖がられたりするかもしれないって、どう接していいか良く分かってない時だったから、ちょっと緊張してるっていうか、困ってる感じだったんだよね

「こら、お頭が困ってるだろ?」
「だって、おかちあしゃんともあしょびたいんだもん……」
「だってじゃねぇだろ? 遊びたいのは分かるが、困らせていい事にはならねぇ、分かるか?」
「……ごめんなしゃい」
「いや、構わんよ。……しかし、肝の座った子だ。私は刺青もあるし、怖がるかと思ったのだが」
「……? おかちあしゃんはかっくい、だよ?」
「かっくい……?」
「お頭さんはかっこいい、って言ってるにゃ」
「そ、そうか……」
「おかちあしゃん、こんどいっしょにあしょんでくれる?」
「ああ、もちろんだ」
「えへへ、やったぁ!」








包丁が反応しそうな案件だけど?
あ、そっか、人妻じゃん

堀川派と一文字一家の圧力に屈した

あ、一文字一家も参戦したんだ?

一家に属する奴の嫁は自動的に庇護対象に入るらしい
南泉の嫁って分かった時から積極的にセコムしてくれるようになった
演練とかでひろに声掛けてくる奴って結構多いんだけど、ナンパ目的の奴が近寄ってきたらガチの殺気向けて追っ払ってくれる



☆★

うちの本丸の堀川派は本丸一の過激派集団だから



☆★

「まだ小さいけど、戦場で戦う事への憧れっていうのかな? 刀剣女士としての意識の発露は既にあるんだよね」
「それで人間の子供でいうヒーローごっこ? みたいなのが好きで、堀川経由で仲良くなった新撰組のメンツがよく相手を頼まれるんだよね」
「やるのは竹刀を使ったチャンバラなんだけど、結構いい太刀筋なんだ。大人気ないんだけど、もうちょっとがんばれ!って思って、わざといつもより竹刀を強めに弾いたりしちゃってさ」
「でも、相手は遊びだと思ってるし、勝たせてくれると思ってる訳じゃん? 半泣きで「きよちゃんはまけるのぉ」って言われて、もう可愛くて可愛くて。速攻ぶっ倒れたよね」




二振りの馴れ初めとかってないの?

ないんだなぁ、これが
成り行き? かなぁ?
うちはちょっとって言うか、発足当時、かなりアレな感じだったから

私ね、今でこそ普通の審神者やれてるけど、最初は底辺も底辺で、短刀以外呼べなかったの
資材999に富士札ぶち込んでも短刀しか呼べなかったときは泣いたよね

ひぃっ
富士札は塵紙と一緒だから、元気出して!

ありがとう

そんな底辺だったし、降ろした刀剣が女士だった事もあって、担当さんにめちゃくちゃ責められてさ
私だけなら許せたんだけど、ひろちゃんのことまで責め出して……
それで私が自分を責めに責めて、ひろちゃんより卑屈になってたの
そしたらひろちゃんが気を遣ってくれて「気にするな」って言って慰めてくれたんだ
本当は男士として降りたかっただろうに
もっと優秀な審神者の元に降りたかっただろうに
それで、優しいひろちゃんのためにも頑張ろうって思って、戦場でのドロップに賭けたんだけど、それでもドロップするのは短刀ばかり
脇差もいないから遠征も解放されなくて、このままじゃ詰むって焦ってた時に、イベントのお知らせが来たの
それが連隊戦
確定報酬は謙信くん、南泉くん、山鳥毛さんだった

確定で打刀と太刀が手に入る事を知って、ひろちゃんが言ったんだ
「主、この連隊戦の間だけ、全て私に指揮を任せてくれないか」
って
「多少強行軍になるが、疲労が溜まったらしっかり休むし、無茶な戦闘は避ける」
「だから頼む」
って深々と頭を下げられて、私は慌てちゃって、つい許可を出しちゃったんだよね
「ありがとう、主」
って、微笑んでくれて、でも直ぐに布を深く被っちゃったんだ
それを残念に思ってたら、ぼそりと呟いたの
「……私だけでなく主までも侮ったこと、後悔させてやる」
って
深く被った布のせいで顔は見えなかったけど、確実にトラウマになるような顔してたってことだけはわかったよ

そこからが凄かった
もう本当に凄かった
だって私、本丸を走り回ってた記憶しか無いもん
戦のことは刀剣たち、本丸のことは私、っていう分担だったからね

ひろちゃんと当時顕現してた七振りの短刀で交代して戦場を駆け回ったよ
新しい短刀も手に入ったんだけど、下手に顕現させるより、今いる短刀のレベルを上げて上位の戦場に出るべきっていう判断でね
育成に手を回してる余裕もなかったし
そして南泉くんを入手する頃には全員カンストしてたよね

お、おう……
ねぇ、ひろって実は修行済んでない???
それともガチ切れして写しうんぬんどっかやっちゃったの???

ガチ切れ+そんな暇が無かったってところかな
で、南泉くんを入手して、早速顕現
南泉くんには私の補佐に入って貰いつつ、第二部隊として新しく顕現した短刀達と連隊戦に出てもらった
と言っても、第一部隊とは練度差があり過ぎるから、第一部隊の休憩中に一番弱いところを第二部隊だけで回って貰ってたんだけどね
でも、かなり無茶なスケジュールを組んでし、その無茶を強行しようとしてるのが自分だからっていう理由で、ひろちゃんはずっと部隊から外れないで、ずっと戦場に出ずっぱりだったんだ
誉桜が消えるようなことはなかったんだけど、ずっと気を張っている状態が続いて、精神的に磨耗し始めてたみたいなんだよね
それに気づいたのが南泉くん
ひろちゃんを無理矢理布団に押し込めて、ひろちゃんに代わって第一部隊の隊長として出陣
君、練度表記間違ってない??? というくらい目覚ましい活躍を見せてあっという間にカンスト
丁度ひろちゃんも回復
「よし、もう大丈夫そうだな。これからは俺と交代で戦場に出るぞ」
と言って、正しく連"隊"戦を開始してくれました
そんな姿を見せつけてくれたもんだから、短刀達の好感度は爆上がりだよね

南泉くんってばかっこ良すぎない???

かっこいいよ!
そして二振りを中心に周回に周回を重ねて、山鳥毛さんを入手
ほんっっっとにギリギリで間に合ったの
南泉くんとひろちゃんの無言のガッツポーズと、顕現した山鳥毛さんの「え? 自分が古参? マジで?」って顔は今でも忘れられない

確かにちょもさんが古参っていうのは珍しいかもな……
お疲れ様!!!
よく、新人本丸あの鬼畜な連隊戦で確定報酬を手に出来たよな

これは本当に二振りのお陰としか言えない
そして、ようやく平和な本丸運営を開始出来ると思ったんだけど、ひろちゃんが思い出したように卑屈になっちゃって……
いや、それが正しい?姿なんだけどさ
久しぶりに見る姿だったし、初めて見る短刀達や山鳥毛さんなんかはオロオロしちゃって
私もどうしようって混乱しちゃって「南泉くんどうにかして!」って南泉くんにぶん投げちゃったんだ
そうしたら南泉くん、
「うじうじすんにゃ。その呪いより厄介なもん、どうにかして来い」
ってひろちゃんを修行に蹴り出したんだよね
「えええ!? ちょっと南泉くん!?」
「どうせ行かせるつもりだったんだろ?」
「いや、練度もカンストしたし、行って貰うつもりではあったけども!!」
「なら、とっとと行かせちまえばいい、にゃ」



「戻ったぞ」
「おう」
「あんたのいう呪いより厄介なものが何なのかは分からんが、取り敢えずあんたの修行が解禁されたら覚悟しておけ。極の打撃で蹴り出してやる」
「じゃあ、見送りはお前に任せる、にゃ」

ってさ
今思うと、この辺りから既に下地が出来上がってたと思うんだよね

この後は二振りを中心に、山鳥毛さんが意見を出したり、短刀達が補佐をしたりして本丸を運営していったのね
だから自然と南泉くんとひろちゃんはセットっていう形になってて
馴れ初めとか無いんだよねぇ……



山姥切とひろのやり取りは小さいながらも自分が口を挟んじゃいけないっていうのが分かってるみたいで、いつも心配そうにしつつもそっとその場を離れるんだよね。
でも、その日はいつもと違ってて、両手を広げてひろを守るようにして山姥切の前に立ちはだかったんだ。
ぼろぼろ泣きながら山姥切をぽこぽこ叩き出したんだよね。
「ちがうもん! ママほんものだもん! ちがうのぉ!」
「こら、ひな、叩いちゃ駄目だ」
「ママまもるの!」
「本科は敵じゃないだろ。今日はどうしたんだ、いつもはパパのところに……。ああ、いや、遠征に行ってたな……」
ここら辺で「あれ?」とは思ったんだよね。
みんなのスケジュールは完璧に把握する癖が付いてる奴だし。
「ママけっさくだもん。ママはやまんばぎりくにひろだもん。すごいんだもん。にしぇものなんかじゃないもん……!」
「うん、そうだな。山姥切の写しで、国広の傑作で、主の刀だ。ママは凄い刀だぞ」
「……ほんとにちゃんとわかってる?」
「それはどういう……?」
「じぶんでじぶんを、にせものだなんておもってなぁい?」
「……っ!」
「ママはいらない子なんかじゃないんだよ?」
ここで思い出した。
そう言えばこいつ、自分が女士であることに劣等感を持ってる個体だった、って。
そして問い詰めたら白状したよ
役人に女士であることを責められてるって

はぁ!?
女士だっていいじゃん! 女審神者にはマジで心のオアシスだよ!?
男審神者にとってもオアシスです!
てか、亜種個体なんて本霊の気まぐれか審神者の霊力に左右されるもんで、自分じゃどうにも出来ないやつじゃん
それで責めるっておかしいだろ
それな
しかもひろはかなり本丸に貢献してるっぽいし、責められる謂れがない
第一、役人なんて部外者じゃん
ひろ、女士であること気にしてたんだ……
女士だから何?って感じの個体っぽいけど……
極める前は男士でも拗らせてるし、女士だと尚更拗らせてたってことか?

「女士だからなんだ、自分は傑作だ」っていう思いと「正しく刀剣男士として顕現も出来ないのか自分は」っていう考えに板挟みにされてたんだ

それで、本丸発足仕立ての頃の話したんだけど、その時の担当役人が最悪でさ。
女士は役に立たないから刀解しろとか、色々うるさい奴だったんだよね。
挙げ句の果てに「女士のお前は山姥切国広の偽物」とまで言いやがったんだって
それでひろが「正しくその通りなんじゃないか?」っていう素振りを見せたことがあるらしい
その役人はとっくの昔に交代してて、俺は当時顕現してなかったから、話だけ聞いてる状態で、頭の隅に追いやられちゃっててさ。
今の役人もその頃の役人を彷彿とさせる奴なんだけど、今では本刃が「だからなんだ、それがどうした」って言えるくらいに強くなったし、娘を産んだ事でむしろ女士であることを誇ってるくらいだし。
今更そのことでダメージ受けるとは思ってなくて。
でも、疲れが溜まって心が弱ってる時に、自分が一番言われたくない類のことをちくちく言われたら、やっぱり傷は付くんだよね。
しかも、話を聞くとひなの事まで持ち出されて責められてたみたいで……。
内容としては
・女士は役立たず
・山姥切国広の偽物
・子供まで産んで、本丸の負担になってる
・お前は居ない方がいい
ふざけるなって話だよね。
疲れて心が弱ってるときに言われたもんだから、「本丸の奴らには確かに迷惑かけてるよな」「自分は良いとしても、南泉まで悪く思われたり、ひなの事を邪魔だと思われないように頑張らないと」って思っちゃったらしくて。
それで出陣とか遠征とかも今まで以上に頑張って、更に疲れが溜まって、心が疲弊して……。
そこに山姥切との言い争い。
役人の言っている意味とは違うと分かっていても、「偽物」と呼ばれて傷付いちゃったみたい。
それをひなが敏感に察知して、山姥切に立ち向かうことになったっていうのが事の顛末。
いやぁ、子供ってすごいね!(やけくそ)

その頃、イベント続きで本丸全体が慌しくて、ひろが仕事詰め込んでるのに気付いてやれなかったんだよね……
だからひろがいつも以上に仕事してることに気付く奴も、ひろが苦しんでる事を察してあげられる奴も居なくてさ……。
その上、主も仕事に追われてたし、南泉とか堀川派も長時間遠征に行ってたもんだから、癒しもなくて……
ひろには辛い思いさせちゃったし、ひなも泣かせちゃったし。
ちっさいおててでぽこぽこされて、山姥切も心を死なせちゃったし……。
この件が明るみになって本丸がお通夜状態になったよね……

疲れてると心も弱っちゃうもんな……
しっかり休ませてあげて
出陣に遠征に子供のお世話
どれか一つでも大変なのに、心無い悪意にまで晒されるとか……
ごめん、不謹慎なんだけど、最後に笑ってしまった

いや、笑っていいよ
むしろ格好悪い山姥切で和んで
あいつ、ひろとひなを部屋に戻らせた後、廊下でぶっ倒れてたんだから
「どうしよう、泣かせたてしまった……。嫌われた。絶対嫌われた……。もう駄目だ、折れるしかない……」
って言って、後藤が回収するまでピクリとも動かなかったから

「ママを守ってくれてありがとな。でも、叩くのは駄目だな?」
「でも……」
「ママが叩かれたら嫌だろ?」
「いや!」
「じゃあ叩くのが悪い事ってのは分かるな?」
「うん……」
「じゃあ、本科さんになんて言う?」
「ごめんなさい……」
「ん、行ってこい」
「うん……」


「ほ、ほんかしゃん」
「うん、なぁに?」
「あぅ、あんね? あの……た、たたいちゃってごめんにゃさいぃ……!」
「あああああ泣かないで! 俺も悪かったから! 俺もあの子が辛い思いしてるの見抜けなかったから! 俺もごめんね!!!」
「きらいににゃらないでぇぇぇ!」
「嫌いになんてならないから! 大丈夫だから! ほら、いい子いい子!」
「あぅぅ……」
「仲直りしよう、ね?」
「ぐすっ……、なかなおりする……」

「よし、ちゃんと謝れて偉かったな」
「うん」
「パパはちょっと用事あるから、そのまま本科さんと遊んでてくれるか?」
「おしごと?」
「うーん、ある意味では?」
「ふーん?」
「って訳だから、ひなを頼むな」
「いや、それは良いけど。何かあるの?」
「ちょっとあいつ説教してくる」
ガチ切れしてた。

ガチ切れって、どれくらい?
どれくらいって言われて分かるもんか?

ひろガチ勢の主とか本丸一過激かつ物騒な堀川派の連中が「私達の説教は必要ない」「僕達まで説教したら兄妹が死にます」って、ちょっと顔色悪くする程度

堀川派が顔色悪くするとかガチ過ぎるんだが???
まぁ、隠し事されてた訳だし、切れても仕方ないのでは?


小竜視点
前に主が悪ふざけしてさ
演練にひろとひなを護衛として、俺、南泉、獅子王、ソハヤ、明石、鶯丸っていう、金髪or緑目のメンツで挑んだ事があるんだけど
その時の相手は本当に可哀想だったなぁ
考えてる事が手に取るように分かったもん

「え、刀剣女士? てか、子供抱いてる??? 審神者の子供か???」
「いや、審神者若いな。子持ちの年齢じゃなさそうだ。なら誰の子だ? 審神者の姉妹か?」
「え、ママ? ママって言った? 山姥切国広をママって言った!!?!?」
「え、待って!? 刀剣女士って子供産めるの!!?!?」
「なら相手は一体誰だ!!?!?」
「髪は金髪……。部隊のほとんど金髪じゃねぇか!!!」
「いや待て、ちょっと薄めの金だな??? じゃあ、獅子王は除外か? いや、子供だから色素薄いっていう可能性も……」
「分かんねぇ〜! 頼むから顔見せてくれ〜!」
「あ、あ〜! 顔は山姥切国広顔〜! 顔じゃ相手の判別付かねぇ〜!」
「なら目の色は何だ!? あ、緑? え、緑!? 明石と鶯丸も選択肢に入った!!!」

しかも相手のメンツに同位体と明石が居たもんだから、もう二振りの反応がおかしくておかしくて
演練始まる直前にひなが「頑張って〜!」って応援してくれたんだけど、「パパ」って呼称付けない時はみんなに言ってる時だから、みんなが手を振り返したりするんだよね
俺もいつも手を振り返したりするんだけど、今日は主が悪ふざけしてるから、それに乗っかって「頑張るよ! 誉取るから見ててね!」ってそれっぽいこと言っておいたよ
明石も「自分もたまにはやる気見せなあきまへんなぁ」とかそれっぽいこと言ってた
この時の同位体と明石の顔はヤバかった
「オレか!? オレなのか!!?!?」
「自分がやる気出すとかあり得へん!! 自分の同位体が父親なんか!!?!?」って感じで
南泉が「お前らなぁ……」って呆れ気味だったけど、南泉も悪ノリに乗ってくれたよ
「ひろ! お前も応援しろよにゃ!」って言ってさ
「いや、もう誰か分かんねぇ〜!!!」って戦う前からお疲れだったよ




「パパかっくい〜!」
「そうだな、かっこいいな」
とか、平和なやり取りが聞こえてくるんだよね
相手が
「「「いやだから、パパ誰だよ!!!??」」」
って、心の中で叫んでるのが分かった
俺は笑いを堪えるのに必死だったよね

もちろん結果はオレたちの大勝利
主とひろたちがオレたちのところに来て労ってくれたんだけど、相手方が誰がパパか気になって仕方ないみたいで、ずっと聞き耳立ててるんだよね
流石にそろそろかわいそうになって来たからネタばらし








ラ行とサ行、あとタ行も発音が怪しい時があるな

こりゅしゃん
はにゃしゃん
みちゅたりゃしゃん、たまにみちゅたらさん
あじゅきしゃん
けんしんくん


おかちあしゃん
最近はちょっと成長しておかしあしゃん、おかしりゃしゃん





「おかしあしゃん! きいてきいて!」
「ああ、雛鳥。嬉しそうだな。良い事でもあったのか?」
「あのね、今日ね、えんれんでね、よそのおうちのおかしあしゃんにだっこしてもらったの!」
「そ、そうか……。それは、うん、良かったな……」
「でもね、でもね、やっぱりおかしあしゃんのだっこのほうがうれしいね!」
「そうか……!」
「いっぱいぎゅってしてね!」
「勿論だとも……!」

「小悪魔か???」
「山鳥毛を手玉に取ってるぞ」
「やべぇ……。娘がどこに向かって成長していくのかわからねぇ……!」
「可愛いんだが、心配だ……」
「一体誰に似たんだ……?」
「あれかな、俺たちの認識が固定化されたのかな?」
「……その認識って?」
「「「可愛いもの。または愛でなきゃいけないもの」」」
「つまり、"愛されるもの"、"可愛さを振りまくもの"として、そう在るように成長してる、ってことか?」
「無いと言い切れないのが恐ろしい……」
「加州タイプに行き着くのか、乱タイプに行き着くのか……」
「江の奴らみたいにアイドルになるかもよ?」
「とりあえず、変な奴を引っ掛けてこなけりゃそれで良いかな……」
「南泉、どこ見てるんだ? 視線が合わないぞ???」
「そっとしておこう? すぐ立ち直ると思うから」




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