設定集
・南泉×切国♀(ひろと呼ばれている)
政府に足を怪我した審神者に代わって書類提出(その後買い出し)に来た山姥切と山鳥毛。
提出が終わって万屋に向かう途中、南泉色の髪に切国色の瞳をした女の子が助けを求めてくる。
しかも頬が赤く腫れ上がっているし、体にも傷がある。
「パパとママをたすけてぇぇぇ!」
後方には必死の形相の男達。
しかし山姥切達の姿を見て逃亡。
「頬が腫れているな……。あの者達にされたのか?」
「……ぐーされたの」
「ぐー? まさか、拳のことか?」
つまりその子、顔を殴られたの? 平手とかじゃなく、拳で???
女の子の顔を拳で殴りつけるとかふざけんな???
「ああ、可哀想に……。何があったか話せるか?」
支離滅裂だったけど、取り敢えず分かった事。
本丸に知らない人間(おそらく役人)が来る。
みんなが怖い顔して慌ててた。
その人間と会わないようにパパとママ(おそらく猫殺しくんと偽物くん)の三振りで本丸を出る。
人がいっぱいいるところに行くと話していた。
その途中でいきなりパパとママにギュッとされた(抱きしめられた?)と思ったら痛い目に遭った。
パパとママが「逃げろ」と言って倒れた。
パパとママを助けてくれる人を探すために二振りから離れた。
すると人間が追いかけて来て、この人間達は怖い人だと思って逃げた。
捕まりそうになって暴れたら殴られた。
それでも暴れて逃げ出して、俺達を見つけた。
という事らしい。
嫌な想像しか出来ないね。
倒れた!?
刀剣男士が!?
何があったの、ほんとに……
取り敢えずその子の発言から、状況を推理してみよう
そうだな
慌ててたってことは、連絡無しに役人が来たんかな?
みんな怖い顔してたってことは、その暫定役人は本丸にとって良くない奴ってことか?
でも、何で本丸を出たんだ?
小さい女の子を顔が腫れ上がるくらいの力で殴り付けるような奴だぞ?
何してくるか分かったもんじゃねぇ
少しでも遠ざけたかったんだろ
成る程?
人がいっぱいいるとこに行くっていうのも、何かあった時に目撃者を作るためかな?
それかも
人目があったら手を出して来ない可能性もあるし
痛い目に遭って、刀剣男士が倒れたっていうのが分からん
罠が仕掛けられてた?
もしそうだったら用意周到過ぎるだろ!
追いかけられたとか、捕まりそうになったってことは、本丸に来た奴らの狙いはその子……?
その子が本当に刀剣男士の子なら、政府としては色々と興味深いんだろ
山鳥毛がこの子のことを雛鳥って呼んでるから、ここでは「ひな」と呼ぼう
「ああ、布が欲しいな……。今、この子に見せられない顔をしている自覚がある」
ガチで子供に見せられない顔してたよ。
流石の俺もドン引きするくらいの形相だった。
こいつ本当に俺の写し???
俺ここまで過激じゃないよ???
嘘つけ
安心して! 過激さはそっくりだよ!
☆
「にゃー!」
「にゃーは真似しなくていい、にゃ」
「んふふ。でもパパ、にゃーっていうわたし、かわいいよ?」
「んぐぅ……、確かに可愛い……」
「でしょー?」
「やべぇ、すでに自分の可愛さを分かってやがる……」
「だって、ママかわいいでしょ?」
「ん? そうだな?」
「だからわたしもかわいいの!」
「ああ、なるほど。ひなはママ似だもんにゃー」
ひろは可愛い→ひなはひろに似てる→ひろに似てるひなは可愛い
って事らしいよ
確かにどっちも可愛いけどね
てか、南泉よく分かったな???
☆
「わたしのママだからだめ!」
☆
「
「おかちあしゃんともあしょびたいんだもん……」
「
☆
包丁が反応しそうな案件だけど?
あ、そっか、人妻じゃん
堀川派と一文字一家の圧力に屈した
あ、一文字一家も参戦したんだ?
一家に属する奴の嫁は自動的に庇護対象に入るらしい
南泉の嫁って分かった時から積極的にセコムしてくれるようになった
演練とかでひろに声掛けてくる奴って結構多いんだけど、ナンパ目的の奴が近寄ってきたらガチの殺気向けて追っ払ってくれる
☆
うちの本丸の堀川派は本丸一の過激派集団だから
☆
「まだ小さいけど、戦場で戦う事への憧れっていうのかな? 刀剣女士としての意識の発露は既にあるんだよね」
「それで人間の子供でいうヒーローごっこ? みたいなのが好きで、堀川経由で仲良くなった新撰組のメンツがよく頼まれるんだよね」
「やるのは竹刀を使ったチャンバラなんだけど、結構いい太刀筋なんだよね。大人気ないんだけど、もうちょっとがんばれ!って思って、わざといつもより竹刀を強めに弾いたりしちゃってさ」
「でも、相手は遊びだと思ってるし、勝たせてくれると思ってる訳じゃん? 半泣きで「きよちゃんはまけるのぉ」って言われて、もう可愛くて可愛くて。速攻ぶっ倒れたよね」
☆
山姥切とひろのやり取りは小さいながらも自分が口を挟んじゃいけないっていうのが分かってるみたいで、いつも心配そうにしつつもそっとその場を離れるんだよね。
でも、その日はいつもと違ってて、両手を広げてひろを守るようにして山姥切の前に立ちはだかったんだ。
ぼろぼろ泣きながら山姥切をぽこぽこ叩き出したんだよね。
「ちがうもん! ママほんものだもん! ちがうのぉ!」
「こら、ひな、叩いちゃ駄目だ」
「ママまもるの!」
「本科は敵じゃないだろ。今日はどうしたんだ、いつもはパパのところに……。ああ、いや、遠征に行ってたな……」
ここら辺で「あれ?」とは思ったんだよね。
みんなのスケジュールは完璧に把握する癖が付いてる奴だし。
「ママけっさくだもん。ママはやまんばぎりくにひろだもん。すごいんだもん。にしぇものなんかじゃないもん……!」
「うん、そうだな。山姥切の写しで、国広の傑作で、主の刀だ。ママは凄い刀だぞ」
「……ほんとにちゃんとわかってる?」
「それはどういう……?」
「じぶんでじぶんを、にせものだなんておもってなぁい?」
「……っ!」
「ママはいらない子なんかじゃないんだよ?」
ここで思い出した。
そう言えばこいつ、自分が女士であることに劣等感を持ってる個体だった、って。
そして問い詰めたら白状したよ
役人に女士であることを責められてるって
はぁ!?
女士だっていいじゃん! 女審神者にはマジで心のオアシスだよ!?
男審神者にとってもオアシスです!
てか、亜種個体なんて本霊の気まぐれか審神者の霊力に左右されるもんで、自分じゃどうにも出来ないやつじゃん
それで責めるっておかしいだろ
それな
しかもひろはかなり本丸に貢献してるっぽいし、責められる謂れがない
第一、役人なんて部外者じゃん
ひろ、女士であること気にしてたんだ……
女士だから何?って感じの個体っぽいけど……
極める前は男士でも拗らせてるし、女士だと尚更拗らせてたってことか?
「女士だからなんだ、自分は傑作だ」っていう思いと「正しく刀剣男士として顕現も出来ないのか自分は」っていう考えに板挟みにされてたんだ
それで、本丸発足仕立ての頃の話したんだけど、その時の担当役人が最悪でさ。
女士は役に立たないから刀解しろとか、色々うるさい奴だったんだよね。
挙げ句の果てに「女士のお前は山姥切国広の偽物」とまで言いやがったんだ。
それでひろが「正しくその通りなんじゃないか?」って、一時期情緒不安定になったことがあって……。
その役人はとっくの昔に交代してて、そのことは覚えてはいたんだけど、頭の隅に追いやられちゃっててさ。
今の役人もその頃の役人を彷彿とさせる奴なんだけど、今では本刃が「だからなんだ、それがどうした」くらい言えるくらいに強くなったし、娘を産んだ事でむしろ女士であることを誇ってるくらいだし。
今更そのことでダメージ受けるとは思ってなくて。
でも、疲れが溜まって心が弱ってる時に、自分が一番言われたくない類のことをちくちく言われたら、やっぱり傷は付くんだよね。
しかも、話を聞くとひなの事まで持ち出されて責められてたみたいで……。
内容としては
・女士は役立たず
・山姥切国広の偽物
・子供まで産んで、本丸の負担になってる
・お前は居ない方がいい
ふざけるなって話だよね。
疲れて心が弱ってるときに言われたもんだから、「本丸の奴らには確かに迷惑かけてるよな」「自分は良いとしても、南泉まで悪く思われたり、ひなの事を邪魔だと思われないように頑張らないと」って思っちゃったらしくて。
それで出陣とか遠征とかも今まで以上に頑張って、更に疲れが溜まって、心が疲弊して……。
そこに山姥切との言い争い。
役人の言っている意味とは違うと分かっていても、「偽物」と呼ばれて傷付いちゃったみたい。
それをひなが敏感に察知して、山姥切に立ち向かうことになったっていうのが事の顛末。
いやぁ、子供ってすごいね!(やけくそ)
最近イベント続きで本丸全体が慌しくて、ひろが仕事詰め込んでるのに気付いてやれなかったんだよね……
だからひろがいつも以上に仕事してることに気付く奴も、ひろが苦しんでる事を察してあげられる奴も居なくてさ……。
その上、主も仕事に追われてたし、南泉とか堀川派も長時間遠征に行ってたもんだから、癒しもなくて……
ひろには辛い思いさせちゃったし、ひなも泣かせちゃったし。
ちっさいおててでぽこぽこされて、山姥切も心を死なせちゃったし……。
この件が明るみになって本丸がお通夜状態になったよね……
疲れてると心も弱っちゃうもんな……
しっかり休ませてあげて
出陣に遠征に子供のお世話
どれか一つでも大変なのに、心無い悪意にまで晒されるとか……
ごめん、不謹慎なんだけど、最後に笑ってしまった
いや、笑っていいよ
むしろ格好悪い山姥切で和んで
あいつ、ひろとひなを部屋に戻らせた後、廊下でぶっ倒れてたんだから
「どうしよう、泣かせたてしまった……。嫌われた。絶対嫌われた……。もう駄目だ、折れるしかない……」
後藤が回収するまでピクリとも動かなかったから
「ママを守ってくれてありがとな。でも、叩くのは駄目だな?」
「でも……」
「ママが叩かれたら嫌だろ?」
「いや!」
「じゃあ叩くのが悪い事ってのは分かるな?」
「うん……」
「じゃあ、本科さんになんて言う?」
「ごめんなさい……」
「ん、行ってこい」
「うん……」
「ほ、ほんかしゃん」
「うん、なぁに?」
「あぅ、あんね? あの……た、たたいちゃってごめんにゃさいぃ……!」
「あああああ泣かないで! 俺も悪かったから! 俺もあの子が辛い思いしてるの見抜けなかったから! 俺もごめんね!!!」
「きらいににゃらないでぇぇぇ!」
「嫌いになんてならないから! 大丈夫だから! ほら、いい子いい子!」
「あぅぅ……」
「仲直りしよう、ね?」
「ぐすっ……、なかなおりする……」
「よし、ちゃんと謝れて偉かったな」
「うん」
「パパはちょっと用事あるから、本科さんと遊んでてくれるか?」
「おしごと?」
「うーん、ある意味では?」
「ふーん?」
「って訳だから、ひなを頼むな」
「いや、それは良いけど。何かあるの?」
「ちょっとあいつ説教してくる」
ガチ切れしてた。
ガチ切れって、どれくらい?
どれくらいって言われて分かるもんか?
ひろガチ勢の主とか本丸一過激かつ物騒な堀川派の連中が「私達の説教は必要ない」「僕達まで説教したら兄妹が死にます」って、ちょっと顔色悪くする程度
堀川派が顔色悪くするとかガチ過ぎるんだが???
まぁ、隠し事されてた訳だし、切れても仕方ないのでは?
☆
隠すのはやめた
大々的に広めて、周知して、審神者たちの理解を得るの
そうしたら政府も手を出しづらくなるでしょ?
それに、この子もいずれ刀剣女士として戦場に立つ
でも、いきなり戦場に立たせるわけにはいかない
その前に演練で経験を積んでからと言うことになる
遅かれ早かれ演練に出るのには変わらない
だったら、早くたっていいでしょう?
と、演練につれて行く
人の多さに驚いて南泉に抱っこされたまま降りない
顔をあげない
「おや、猫殺しくん。抱えているのは、子供、かな? どうしたんだい、その子」
「俺の娘だ。演練に来たのは初めてでな。人の多さに驚いたみてぇで、顔をあげてくんねぇんだよにゃあ……」
「へぇ、娘……。はぁっ!? 娘!!? 君の!!!??」
「ふぇっ、おこったぁ……」
「怒ってねぇよ。俺に娘がいてびっくりしたんだと」
「……パパの子だもん」
「別に疑ってる訳じゃねぇよ、こいつも。なぁ?」
「えっ、あ、うん、驚いただけだよ」
「ほんと……?」
「本当だよ。大きな声を出してごめんね?」
「うん……」
「で、どういうこと?」