【不法投棄に】家の至る所に刀が落ちているんだが【家宅侵入?】
550 姐さん
人間以上に残酷な生き物はいないと私は確信した
551 名無しの家主
姐さん!しょっぱなから不穏すぎる!!!
552 姐さん
二だけを聞くはずが一も聞く羽目になってしまった
まァ、最終的には良い方向に進んだので良しとする
553 名無しの家主
ファッ!?
554 名無しの家主
マジか・・・・・
555 姐さん
温かい飲み物を用意するにあたって選択肢は三つあった
お茶、ココア、ホットミルクだ
最初は見慣れていそうなお茶にしようと思ったんだが、あいにくと一人分しかなくてな
残る選択肢は二つとなったが、後者は私の中では論外
必然的にココアを作ることになった
そして手早くココアを作って居間に持って行ったんだ
鶴丸国永「それは?」
「ココアという飲み物だ。甘みの強い飲み物で、甘味に近いな」
山姥切国広「ここあ……」
「入れたてだから熱い。気をつけて飲んでくれ」
鶴丸国永「……何から何まですまない」
「私が好きでやっていることだ。都合のいいお人よしと思って、存分に利用してくれ」
大倶利伽羅「……自分のことをそんなふうに言うもんじゃない」
「自分でもあんまりな物言いだとは思うが、そういう存在として認識してくれてかまわない。君たちはどうやら人間を警戒しているようだから『信頼しろ』『信用しろ』というのは酷だろう。私は君たちに強制したいわけでも、無理を強いたいわけでもない。だから、それくらいで丁度良いんだ」
そう言ってココアを差し出すと、大倶利伽羅は素直に受け取ってくれた
私としては自分の出したものを何の疑いもなく受け取ってくれるだけで十分だったのだが、本当に小さな声で「あったかいな」と二度言ってくれたんだ
一度は受け取ったココアを見て、もう一度は私の目を見て
「あったかい」と言われて、私の方が「あったかい」気持ちになったよ
556 名無しの家主
ぐううううううううううううう(悶)
557 名無しの家主
俺もあったかくなったよ
ちなみに厚きゅんも同意だそうです
もちろん、後ろに控える他の粟田口もね!
558 名無しの家主
倶利伽羅マジいい子
559 名無しの家主
まんばの「ここあ」の時点で悶えていた俺は最早瀕死である
560 名無しの家主
>>559おまおれ
561 名無しの家主
俺、ココア淹れてくる
562 姐さん
彼らは温かいものに飢えているのか、三人とも両手でマグカップを包んでいてかわいらしかった
正直に言うなら安価などせずにこのままにしておきたかったが、現実問題としてそうもいかないんだ
祖父母の遺産は私も相続していて好きに使っていいことになっているが、使い込むわけにはいかない
けれど私は学生の身で、彼らを養えるだけの経済力はない
そもそも彼らにはやるべきことやいるべき場所がある
いつまでもここに置いておくわけにはいかない
彼らは今の主ではなく、彼らのことを大切にしてくれる審神者の元に送るべきだ
そう考えて私は安価を達成すべく口を開いた
「聞きたいことがある」
大倶利伽羅「……何だ」
「無理に答える必要はないが、ずっと気になっていたんだ。君たちがいきなりここに現れたことを」
私がそう尋ねると、空気が固まった
563 名無しの家主
そっか・・・
姐さんって大人っぽいから忘れがちだけど、俺らより年下だった・・・
564 名無しの家主
JDだもんな・・・
へたすりゃ未成年だぜ、姐さん
浪人とかじゃなきゃだけど
565 名無しの家主
あんだけ騒いでたのに忘れてる俺らェ……
566 名無しの家主
てかあったかさを求めてるとか・・・
俺三人を抱きしめてくるわ
567 姐さん
>>564今年高校を卒業した
つまりはまだ未成年だ
それよりも、ここからは本気で注意してほしい
刀剣達と見ているようだが、迂闊に見せない方がいいだろう
特にこの三人には
568 名無しの家主
俺も刀剣達も最後まで見届ける覚悟はできてる
いつでも話して良いぞ
569 名無しの家主
マジで未成年かよ・・・
俺?もちろん最後まで見てるつもりだけど?
刀剣達と一緒にさ
570 姐さん
分かった
その覚悟、しかと受け取る
では話していく
私の疑問に一番最初に反応したのは鶴丸国永だった
鶴丸国永「……君にはいろいろと世話になったし、質問に答えよう。でも、その前に聞かせてくれ。君は審神者なのか?君は俺たちについて何をどこまで知っている?」
そう尋ね返してきた鶴丸国永は人間とは異なる目をしていた
それから、何だかこの場から逃げたいような心地がした
今思えば、あれは殺気という奴なんだろう
「……最初、君たちは刀の状態でここに来ただろう。対処に困って、とある掲示板に相談を持ちかけたんだ」
山姥切国広「けいじばん……?」
「携帯端末は知っているか?」
大倶利伽羅「……ああ」
「そうか。その中には悩み相談スレという名の掲示板がある。色々な人が一緒に悩んでくれて、答えを導き出してくれるんだ。その中に審神者に従事している人がいて、君たちが刀剣男士という付喪神であることを知った」
彼らは審神者という単語にひどく動揺を示した
彼らにとって審神者は恐怖の対象であるらしい
それで審神者にも色々な人間がいるということを示すために写真投下を要求したんだ
協力感謝する、ありがとう
571 名無しの家主
いいってことよ!
でも、あんだけ和やかに過ごしてた鶴丸も、やっぱ内心では警戒してたんだな・・・
572 名無しの家主
どういたしまして!
酷い人間ばかりじゃないって分かってくれたなら良いんだけど
573 名無しの家主
殺気ぶつけられて怖かっただろ?よく頑張ったな、姐さん
574 姐さん
君たちが投下した写真を見せると彼らは酷く驚いていた
山姥切国広「きょうだい……」
大倶利伽羅「みつただ……」
鶴丸国永「笑ってる……」
「審神者にもいろんな人がいる。こうやって刀剣達と笑いあえる奴もいる。全ての審神者がすべての刀剣にとって恐怖の対象というわけではないんだ。だから、「審神者」という名前におびえなくてもいいんだよ」
私に言葉が届いたかどうかは分からないが、三人とも声もなくぼろぼろと泣き出した
山姥切国広は何度かそういう素振りがあったから何となく予想はついていたし、何度か声を震わせていた鶴丸国永も気丈に振舞っていただけだとわかっていたが、二人を守るように常に冷静でいた大倶利伽羅まで泣くとは思わなかったから驚いた
三人とも泣きたいのを我慢していたんだろうな
鶴丸国永「笑ってる……皆笑ってる……。彼らは良い主に恵まれたんだな……」
大倶利伽羅「……こんな顔、出来たんだな……」
山姥切国広「兄弟は、こんな風に笑うのか……」
鶴丸国永「初めてみたな、こんな顔。あいつのもとでは、見れない顔だ……」
山姥切国広と大倶利伽羅は呆然とした風だったが、鶴丸国永は嬉しそうに笑ってくれた
君たちの写真のおかげだな
ただ、私の手元にあったマグカップから、とても不吉な音がしたが
575 名無しの家主
鶴じい笑ってくれたか・・・!
576 名無しの家主
よかったあああああああああああああああああ
って、マグカップから不吉な音……?gkbr
577 名無しの家主
てか、プライド高いまんばとかくりちゃんまで泣いちゃうとか・・・!
どんなことにも喜ぶとか楽しみを見つける鶴まで泣いちゃうとか・・・!
それ相当な奴うううううううううううううううううううううううううううう!!!!
578 名無しの家主
こいつらの審神者どうなってんの!!!??
頭大丈夫!!?病院行く!!!??
579 名無しの家主
>>578大丈夫じゃないからこんなことになってんだろ
580 姐さん
彼らが審神者の元に戻っても幸せになれないことは確かだな
続き
鶴丸国永「すまない……。情けないところを見せた……」
「別に涙を情けないとは思わない。自分の心に嘘をつくより、ずっと素直で格好いいと思う」
鶴丸国永「はは……っ。泣き顔を格好いいというのか、君は」
山姥切国広「……あんた、変わってるな」
「人には個性というものがあるな。自分以外はみんな変わって見えるものさ」
鶴丸国永「君みたいな面白い人間もいるんだな。……人もなかなか捨てたもんじゃない」
「そう思ってくれたなら僥倖だな」
君たちの写真のおかげで少しだけ場が和み、私が知っていることはすべて話した
と言っても、君たちに教えてもらったことをそのまま話しただけなんだが
・審神者とは物に眠る想いや心を目覚めさせる力を持つ者のことであること
・刀剣達とともに「歴史修正主義者」「検非違使」と戦っていること
・本丸という特殊な空間を拠点としていること
・だからここに鶴丸国永達がいるのは異例であるということ
うん、改めて言葉にして、私は彼らについて何も知らないことが分かった
彼らもそう思ったようで、少しだけ驚いていたな
ただ、山姥切国広だけは、また表情を曇らせてしまったが
581 名無しの家主
役に立てたならよかったです! が、
582 名無しの家主
まんばあああああああああああああああああああああ!!!
583 名無しの家主
人嫌いにならないで良かった・・・!と思ってたら最後!!!
584 名無しの家主
何でいいことと悪いことが交互に起こるの!!!
585 名無しの家主
もうみんな泣き疲れて焦燥してる
短刀ちゃんなんか泣き疲れて寝ちゃったんだけど
586 名無しの家主
俺んとこの刀剣さ、俺に影響されてか涙もろいんだけど、三日月とか小狐丸とかバスタオル持ってきて泣いてんぞ
もうすでにぐっしょりしてんだけど
え?俺?
もうバスタオル3枚目ですが何か?
587 名無しの家主
>>586爺と狐裏山、と思ったけどまんばたちを想ってバスタオル濡らしてるいい奴ということで見逃してやんよ
つ【水分】
588 姐さん
ぬくもりに溢れてるなこのスレは……
表情の曇った山姥切国広に思わず目が行ってしまい、彼と目があったんだ
すぐにそらされてしまったが
山姥切国広「……審神者は、刀として必要だから、刀剣男士を降ろすわけじゃない」
そう呟いて、彼は黙り込んでしまったよ
彼の境遇と言葉を聞くと嫌な予感しかしないな
私の上着で完全に顔を隠した山姥切国広の頭を大倶利伽羅がぎこちなく撫でて、代わりに彼が言葉を紡いだ
大倶利伽羅「俺達は逃がされたんだ」
と
589 名無しの家主
ほんっっっとに嫌な予感しかしないな!!?
590 名無しの家主
刀剣男士は”刀剣”ですけど!!?
それ以外で降ろしたりしないよおおおおおおおおおおおおおお!!?!?
591 名無しの家主
ブラックならではの発想だよ!!!
592 名無しの家主
もうブラック審神者にはなにも言うまい・・・
クリちゃんまじい子!!!
本日のMVP:大倶利伽羅
誉れあげちゃう!!!
593 名無しの家主
>>592それな
でも、くりちゃんの発言の・・・
594 姐さん
「逃がされた?」
私が眉を寄せると、大倶利伽羅に続き、山姥切国広がまた口を開いた
山姥切国広「……折れて、しまいたかったんだ……。出来ることなら、戦場で……」
消え入りそうなほど弱々しい声で山姥切国広は言って、先程とは違う涙を流した
そんな山姥切国広は話せそうになく、今度は鶴丸国永と大倶利伽羅が言葉を受け継いだ
鶴丸国永「俺達は審神者に虐げられてきたんだ。特に俺達三人の扱いは酷くてな。見るに見かねた仲間達がげぇととやらを適当なところにつなげて逃がしてくれたんだ。刀として見られることのなかった俺達を、刀として終われるように」
大倶利伽羅「だが、誤算があった。繋がった先はここで、審神者とあまりに離れ過ぎて霊力の供給が行えず、刀に戻ってしまったんだ」
鶴丸国永「審神者の霊力があまり強くなかったというのもあるだろう。あいつは俺以外にれあと言われる刀剣を降ろせなかったからな」
そう言って鶴丸国永は乾いた笑みを漏らした
ざまぁみろと、そう言っているような笑みだった
595 名無しの家主
596 名無しの家主
もうやだ、これ・・・
597 名無しの家主
逃がされるほど酷い扱い受けてたとか・・・
俺、今日で涙枯れそう・・・
598 名無しの家主
刀として終われるようにって・・・!
折れたかったとか・・・っ!!
599 名無しの家主
三日月が泣きながら鶴丸を抱きしめに行った
小狐丸が山姥切行ったから俺は大倶利伽羅抱きしめてくるわ
600 名無しの家主
ゲートって適当につなぐと現世にもつながるんやな・・・
てか、決められた場所以外に刀剣だけで行くと霊力供給途切れてまうって本当やったんや・・・
601 名無しの家主
>>600途切れるんじゃなくてつながりが薄くなってうまく行えなくなるだけ
だから新しく戦場が増えるときに政府がメンテすんの
602 姐さん
>>600、601そんなこともあるのか……
聞きたいことは聞けたし、これ以上は酷だろうと話を切り上げようとした時、鶴丸国永が言ったんだ
鶴丸国永「なぁ、」
「……何だ」
鶴丸国永「……全部、聞いてほしい」
「……は?」
他の二人は少し驚いていたものの、すぐに鶴丸国永と同じような真剣な顔をしてうなずいた
「……分かった。全て聞こう」
603 姐さん
鶴丸国永「すまない。君には随分と酷な話を聞かせることになる」
「構わない。ここまで来たら戻ることは出来ない」
鶴丸国永「……すまない」
彼は頭を下げ、それから姿勢を正した
鶴丸国永「俺たちの本丸は他の本丸を知らないから分からないが、酷いものだと思う。空気は穢れを孕んでいて、息さえ詰まりそうな場所だ。鬱々として笑い声なぞ聞いたことすらない。俺にとって、俺たちにとって、あそこは地獄のような場所なんだ」
そう言った鶴丸国永は端正な顔を固く強張らせていた
大倶利伽羅や山姥切国広も顔を曇らせていたな
正直私も顔を引きつらせていたと思う
というか絶対ひきつっていた
鶴丸国永「短刀達は幼い見た目をしていてな、彼らはその見た目でないがしろにされ、れんけつ(?)やとうかい(?)に回されることが多かった。本丸に残された短刀達は主に審神者の身の回りの世話や、本丸の清掃何かがもっぱらの仕事で、出陣はおろか、遠征もほとんど行ったことなどない。あいつは刀としての矜持を折るのに非常に長けた男でな、短刀達はいつも悔しさに涙を流していた」
彼は私から視線を逸らして、かすれた声で言った
人の形をしているから忘れがちだが、彼らは刀だということを再確認させられた
やはり、刀として扱われることが、彼らにとってこれ以上ない喜びなのだろうな
604 名無しの家主
穢れとかうわああああああああああああああ!!!
605 名無しの家主
地獄とか・・・!
どんな時でも全力で楽しむ鶴丸が地獄とか・・・!
606 名無しの家主
短刀ちゃん泣かせるとか絶許
607 名無しの家主
俺としてはまんばたち泣かせた時点ですでに男審神者の処刑が決定されていた
608 名無しの家主
>>607おまおれ
あと、れんけつは錬結な
他の刀剣に力を吸収?させること、かな
とうかいは刀解な
刀を溶かして資材に戻すこと
この二つは刀を折ることと違って、本霊に戻ることが出来る
折れたら戻れないから、実質死ぬことと同義
609 名無しの家主
短刀ちゃん達の頼もしさを知らないからそんな扱いが出来んだよおおおおおおおおおお!!!
610 名無しの家主
うちの厚きゅんが「そりゃねぇよ!」って怒りだした
てか、粟田口がブチ切れた
611 名無しの家主
確かに短刀ちゃん達が心配であんまり戦場に行かせたくないって気持ちはわからんでもないが、見た目で判断して出陣させないのは違うと思う
612 名無しの家主
うちのパッパが「いつも先陣を切って道を開いてくれる彼らに対しての扱いではないね」って静かにブチ切れてる
そろそろマジで呪詛を唱えだしそうなんだけど・・・
613 姐さん
>>608ありがとう
口をはさんで申し訳ないが、と断って刀剣達の名前を聞いておいた
彼らの本丸にいた刀剣達は最高で27人だそうだ
名前が間違っていたら指摘してくれ
漢字が分からなかったので平仮名表記も混じるが、勘弁してくれ
逃される直前まで本丸で確認出来た刀剣
・山姥切国広(1)
・大倶利伽羅(1)
・鶴丸国永(1)
・いまのつるぎ(11)
・泣き狐(2)
・ごこたい(14)
・小夜左文字(13)
・夜弦藤四郎(11)
・へしきり長谷部(1)
・燭台切光忠(7)
刀帳に記載されたことのある刀剣
・秋田藤四郎(×)
・乱藤四郎(×)
・にっかり青江(×)
・鯰尾藤四郎(×)
・骨ばみ藤四郎(×)
・歌集清光(×)
・大和守安定(×)
・歌仙兼定(×)
・前田藤四郎(×)
・愛染国俊(×)
・宗三左文字(×)
・和泉守兼定(×)
・堀川国広(×)
・山伏国広(×)
・陸奥守吉行(×)
・蜂須賀虎徹(×)
・同田貫正国(×)
ちなみに()に書かれている数字は○人目、という意味だ
×は……察しろ
614 名無しの家主
615 名無しの家主
616 名無しの家主
半分以上折れてんじゃねぇかあああああああああああああああああああああああああ!!!
617 名無しの家主
数がおかしいよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
618 名無しの家主
錬結に回されてたって言う短刀ちゃん以外でママンだけ数が異常に多いんだけど
さっきのクリちゃんの様子からして本当に嫌な予感しかしないんだけどおおおおおおおおおおおおおおお!!?!?
619 名無しの家主
ちな、誤字修正
いまのつるぎ→今剣
泣き狐→鳴狐
ごこたい→五虎退
夜弦藤四郎→薬研藤四郎
へしきり長谷部→へし切長谷部
骨ばみ藤四郎→骨喰藤四郎
歌集清光→加州清光
620 姐さん
>>619ありがとう
鶴丸国永「出陣や遠征は主に脇差以上の刀剣達で行われた。もっとも、俺と長谷部はそのどちらにも出たことがなかったが」
「……何故だ。君は太刀以上の刀のはずだ。刀に明るいわけではないが、刀身を見れば君が大きい部類の刀であることは分かる」
鶴丸国永「さっき言っただろう?俺は唯一のれあと呼ばれる刀剣だったからだ。だから俺が折れたら困るんだよ。折れたら鑑賞することも出来ないし、見せびらかすことも出来ないだろう?」
「見せびらかす?」
鶴丸国永「えんれん(?)というものがあるんだ。他の審神者の刀剣達との模擬戦のことを指す。俺はその時のみ刀を振るえた。……長谷部はもっと酷い。あいつは審神者の仕事をすべて任されていて、えんれんにすら出られなかったのだから」
鶴丸国永は視線を逸らしたまま言った
思わず大倶利伽羅達を見ると、二人は静かに頷いた
本当に彼らの審神者は彼らの矜持をくじくのがうまい奴だと思ったよ
彼らは確かに芸術品としての価値も高いのだろうが、刀は切るための存在だろう
それに、彼らは戦うために呼び出された存在で、こんな扱いを受けるのはおかしいだろう
間違っているのは私の方か?
621 名無しの家主
いや、姐さんは間違ってない
622 名無しの家主
可笑しいのは審神者の方だ
姐さんの認識は正しいと思う
623 名無しの家主
たまにいるんだよな、見目麗しい神様たちにかしずかれて勘違いする奴
あ、ちなみにえんれんは演練な
624 姐さん
>>621、622そうか、よかった
>>623ありがとう
私が呆然としていると、鶴丸国永が笑った
鶴丸国永「審神者でない君でも可笑しいと思うか。じゃあやっぱり俺たちの審神者はおかしいんだろうな……」
「私の感覚が正常ならばおかしいだろう。刀として扱って欲しい君達をないがしろにするのも、傷ついた君達を放置しておくのも、何もかも」
鶴丸国永「あいつは俺以外のれあろ出そうと躍起になっていたからな……。手入れに資材を消費するのを嫌がっていた」
山姥切国広「人間は勝手だ。態度が悪いと、反抗的だと難癖をつけては暴力をふるい、れんど(?)に見合わない戦場に行かせては傷つく姿を見て笑うんだ。あいつのせいで、一体どれだけの刀剣が折れたことか……!」
鶴丸国永「それだけじゃない。あいつの最も残忍なところは気に食わない刀剣の最も近しい刀剣を目の前で折るところだ。そうやってあいつは気に食わない刀剣を逆らえないようにして自分に従わせる。そうして自分の城を築くのに必死なんだ、あいつは」
全てにおいて残忍だと思うのは私だけだろうか
625 名無しの家主
俺もそう思う
626 名無しの家主
>>625おまおれ
627 名無しの家主
>>625おまおれ
ちな、れんどは錬度な
レベルみたいなもん
628 名無しの家主
てか、これくりちゃんとママンのことだよな・・・
ママンだけ折られた数おかしいし・・・
629 名無しの家主
ずっと思ってたんだけどさ・・・
倶梨伽羅めっちゃ素直じゃん?めっちゃ慣れ合ってるじゃん?
倶利伽羅が素直で慣れ合い上等なのってこのせいじゃね?
630 名無しの家主
>>629
631 名無しの家主
>>629
632 名無しの家主
>>629
633 名無しの家主
やめろおおおおおおおおおおおおおおお!!!
そういうこと言うのやめろおおおおおおおおおおおおおおお!!!
634 名無しの家主
もう、もう・・・!
涙で溺れそうなんだよ・・・っ!!
635 名無しの家主
本当にそうだったらどうすんだよおおおおおおおおお!!!
このスレ燭台切にも見せらんねぇじゃねぇかあああああああああああああ!!!
636 姐さん
>>629その考えはなかった
もし彼らの審神者に出会うことがあったら必ず顔面をぶん殴ってやることにした
続き
私は言葉が見つからず「そうか」としか言えなかった
それから「よく折れなかったな」と言ってしまったんだ
637 名無しの家主
ん?
638 名無しの家主
何か問題あったの?
そりゃ、まんばとか折れたいって言ってるやつに言う言葉じゃないかもだけどさ
639 姐さん
>>638それもあるが、大倶利伽羅の方が地雷だったようでな
大倶利伽羅「……そのせいで、光忠が折られた……」
「…………は?」
大倶利伽羅の発言に、私は随分と間抜けた面をさらしたと思う
しかし、それどころではなく私はただ混乱していた
大倶利伽羅「あいつは……俺が一等気に食わなかったらしい……。最初は気に食わない連中を集めては戦場に行かせ、俺達を折ろうとしたんだ。だが俺は生き延び、そのおかげで錬度も上がり、奴は戦場で俺を折ることを諦め趣向を変えた」
「…………つまり君や、そのほかの気に食わない刀剣を殺そうとした、という訳か?」
大倶利伽羅「……俺達を人間に置き換えるならば、そういうことなんだろうな」
あまりのことに私は言葉が出なかった
大倶利伽羅「……戦場で俺を折ることが出来ないと分かったあいつは、俺を服従させることにしたらしい。重傷になるまで俺を嬲り、光忠が来れば目の前で折られた……。さっき、光忠は6振り折られたと答えたが、覚えている限りで、だ。本当はもう少し折られている……」
そう答えた大倶利伽羅はきつく拳を握りしめていた
「あいつは……俺を服従させるために光忠を折ったんだ……!」
そう言って私を見据えた大倶利伽羅の目は人間離れしたものとなっていた
光忠というのは彼の友人だろうか?
最も近しいものが何度も殺されたら、憎んで当然だ
話を聞いていただけの私も険しい顔をしていた自覚がある
よく審神者はこれまで生きてこれたものだ
640 名無しの家主
大丈夫、俺も険しい顔してる
641 名無しの家主
大倶利伽羅と燭台切は昔同じ主の元にいたんだ
鶴丸もそうだな
だから他の刀よりは近しい存在って認識で良い
友人って言ってもいいと思う
ま、本人は認めないだろうけど
642 名無しの家主
>>641たまにオカンと息子だけどなwwwww
643 名無しの家主
てks覚えてるだけで6日理って・・・・・
644 名無しの家主
やばいんくそう
645 名無しの家主
お前らご慈悲で蝦夷
646 名無しの家主
>>645おまえあもなー
647 名無しの家主
見え年だよ画面がにじんで!!!
648 名無しの家主
>>646お前も人のこと言えなぇからな!?
649 姐さん
>>641とりあえず仲がいいということだな?
続き
鶴丸国永「……人が、人に憤るのか……」
私が険しい顔をしていたからだろう
鶴丸国永が少し驚いたような表情をしていた
「人が最も憤りを感じる相手は同じ人間だ。感情があり、思考が異なり、人は人と衝突する。その審神者の考えは私の理解の範疇をはるかに超えている。故に衝突した。私の憤りはその衝突の結果だ」
鶴丸国永「そうか……」
鶴丸国永はそう言って少しだけ嬉しそうに微笑んだ
私は何かそんな顔をさせるようなことを言っただろうか?
650 姐さん
そんな風に思っていると山姥切国広も私を見ていることに気がついた
彼は不思議そうな表情をしていた
山姥切国広「人間とはおかしな生き物だな。人の罪を人が憤る」
「人間なんてみんな勝手なものだ。高慢で自己中心的で、残酷な生き物。私が憤っているのも、人が自分勝手だからだ。君達は別に憤ってほしいわけではないんだろう?」
山姥切国広「……そうだな。そんな暇があるなら、一刻も早くあの審神者をどうにかしてほしい」
「だろうな」
山姥切国広「でも、」
「ん?」
山姥切国広「あんたが話を聞いて憤る姿を見て、何も感じないわけではない。あんたには分からないといら立つと同時に、抱えていたものを吐き出せて楽になっていくのも確かだ。……ここがあの男の存在と、遠く離れた場所だからかもしれないが……」
彼の言う通り、私には彼らの苦しみなんて分からない
辛かったのだろうな、とは思うけれど、それがどんな苦しみなのかはさっぱりだ
だから、楽になったと言われて嬉しかった
私には話を聞くくらいのことしかできないからな
651 名無しの家主
何か、こう言うの聞くと、刀剣男士ってやっぱ神様なんだなーって思う
652 名無しの家主
悩みって聞いてもらうだけでも楽になれるよな
653 名無しの家主
確かにこんなことそうそう起こることじゃないしな
普通は分かってやれないだろ
654 名無しの家主
楽になってるならよかった
でも、姐さんも無理すんなよ?
655 姐さん
>>654聞くだけなら平気だ
「……私は君達について何も知らない。本丸という場所も、審神者という人間も、想像すらできない。だから私は君たちに共感できないし、共有することも出来ない。吐き出して楽になるのなら、話くらいは聞こう」
山姥切国広「……話を聞いて、あんたに利益はないだろう」
「ないな。けれど、私が話を聞くことによって君が楽になれるなら聞きたい。そう言う自己満足的な感情は満たされる。それに、すべて話すといったのは君達で、全て聞こうといったのは私だ」
鶴丸国永「それを言ったのは俺だろう。それに、君にも、山姥切にも負担が……」
「今更だと思うが?」
山姥切国広「汚れた姿を見られているし、俺は負担だとは思わない」
このやり取りで察した者は察しただろう
彼らが周りにいないことをしっかりと確認したうえで続きを見てくれ
656 名無しの家主
おk
657 名無しの家主
卑屈だけど負けず嫌いなまんばが泣いたりするくらいだからなぁ・・・
絶対三人には見せないようにするわ
658 名無しの家主
てか鶴が夜伽について話さないなーと思ったら、姐さん達を気遣ってたのか・・・
まんばといい鶴といい、自分のこと顧みろし
659 名無しの家主
>>658それな
てか、こんだけ酷いことされたのに人を気遣うとか・・・っ!!!
660 名無しの家主
もうだめ・・・
涙で前差見えない
661 名無しの家主
>>660五時くらい直せよ
662 名無しの家主
>>661オマエモナー
663 姐さん
>>659それが彼らの本質なんだろう
人のために作られ、人の想いに答えて、人のために為った付喪神
だから彼らはいついかなる時も誰かのためにあろうとするんだろうな
さて、そろそろいいだろうか?
続き
山姥切国広「さっき俺は”審神者は刀として必要だから刀剣男士を降ろすわけじゃない”といった。それは俺がそうであったからだ」
「……予想は、ついていた」
山姥切国広「だろうな。あんな姿を見せたのだから」
そう言って頭からかぶっていた私の上着を強く握りしめた
いつもと違う感触に、私の上着だということを思い出したのか、すぐに手を離したけれど
664 姐さん
山姥切国広「俺はあいつの初期刀だった。虎徹の真作や、そのほか名だたる名刀の中から写しの俺を選んでくれたことは、純粋に嬉しかった。けれど、あいつが俺に求めたものは、刀としての性能ではなく、俺を通してみた本科山姥切だった」
彼は淡々と事実を述べているようだった
そこに彼の感情はなかったように思う
初めて聞く話なのか、大倶利伽羅と鶴丸国永も話に聞き入っていた
山姥切国広「「写しに刀としての価値はない」と、「本科山姥切が現れるまでの代わりだ」と、そう言って顕現されてすぐ、俺はその場に引き倒されたんだ」
「「「はぁ?」」」
あまりのことに思わず低い声が出た
他の二人も私と同じように低い声を出して、山姥切国広を見た
見た、というよりも、いっそ睨みつけるような眼光で
665 名無しの家主
666 名無しの家主
667 名無しの家主
668 名無しの家主
669 名無しの家主
670 名無しの家主
671 名無しの家主
672 名無しの家主
673 名無しの家主
おま、おまええええええええええええええええええええええ!!!
674 名無しの家主
ふざけんなああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!
675 名無しの家主
こいつ何考えてんだ!!?
まんばにとって本科はコンプレックス通してトラウマレベルの個体もいるなんだぞ!!!??
何積極的にえぐりに行ってんだよおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!
676 名無しの家主
てか、まんば
人の姿になったとたんに押し倒されたのかよ・・・
顕現されてすぐとか、人の体に慣れてねえから怖いなんてもんじゃないだろ・・・
677 名無しの家主
>>676それな
人の体に慣れた私らでさえ追いかけられるくらいでも怖いのに、無体を強いられたとなったら家から出られなくなりそう
678 名無しの家主
>>677そんなもんで済むかな・・・
679 姐さん
>>676だろうな
彼の顔を見たら感情が抜け落ちたような顔をしていた
睨みつけた私たちが思わず怯むくらいに
大倶利伽羅「おい……そんな話、一言も聞いていないぞ……」
山姥切国広「話す必要性を感じなかった。それに、俺自身もあまり覚えていないからな」
鶴丸国永「覚えていないって……、まさか!!」
山姥切国広「覚えていないのはその時のことだけだ。しかし、人間とは本当に都合の良い造りをしているな。記憶を消し去ることも出来るなんて」
鶴丸国永「そんな……記憶が消えるほどのことだったということじゃないか!!!」
山姥切国広「あんたも同じような目に遭ってきただろう。あんたがそんな顔をする必要はない。大倶利伽羅もだ。あんたも自分のために泣け。俺なんかのために涙を流す必要はない」
彼らはきっと、同じような境遇にあったから、仲間意識が強いんだろう
皆がみんな、苦しみの中にあったから、彼の苦しみを容易に想像できるんだ
鶴丸国永達は泣いて、私は顔を覆った
680 名無しの家主
もう・・・もうやめて・・・・・
681 名無しの家主
記憶が消えるほどのことって・・・
682 名無しの家主
>>681そんだけ辛かったんだろうな
刀剣男士にとって審神者ってのは守るべき対象だ
それがどんな外道でも
そんな奴に傷つけられたんだ
辛くて苦しくて、悲しいに決まってる
683 名無しの家主
>>682守りたい対象に傷つけられたらなぁ・・・
684 名無しの家主
>>683俺だったら何のため、誰のために戦ってんだろうな、ってなるわ
685 名無しの家主
>>684それな
686 姐さん
泣いている二人の髪をぎこちなく撫でて、山姥切国広は小さく呟いた
山姥切国広「確かに夜伽の任は、痛くて辛くて、これ以上ないほど屈辱的だった。けれど、一番悲しくて辛かったのは、写しどころか、刀として認められなかったことだ……」
そう言って山姥切国広は涙を流した
己を必要とされない「刀」として自覚して、その身を犯され、ふいに涙を流すほどに傷つけられた
そんな彼の心を、私はきっとどれだけ彼と寝食を共にしても知ることは出来ない
だから私は泣けなかった
それなのに、そんな私の、たった一食の恩のために私に誠実であろうとする姿勢が美しくも痛々しかった
彼らは、どんな思いで私に語り、涙を流しているのだろうか
687 名無しの家主
ねぇ、これ本当にいい方向に持っていけたの?
688 名無しの家主
>>687そうだった!これハッピーエンドだった!!
689 名無しの家主
>>688エンドではねぇよ、むしろスタートラインだよ
690 名無しの家主
とにかく!良い方向に行くんだろ?
なら安心してみられ・・・・・るわけねぇだろ(;∀;)
691 姐さん
>>687持って行ったというより、彼らの強さのおかげだな
山姥切国広「俺から話すことは以上だ」
「そうか……」
山姥切国広「他に何か聞きたいことは?」
「一つだけ」
大倶利伽羅「……何だ」
これ以上何を聞くのか、というような訝しげな表情で大倶利伽羅が私を見た
これ以上辛い話をしたくないし、させたくないのだろう
私が聞きたいのは過去のことではなく、これからのことだった
「君たちの望みはなんだ」
692 名無しの家主
そら、嫌だわな
辛いことを根掘り葉掘り聞かれるんだから
693 名無しの家主
聞いとかなきゃ地雷踏んじまうようなこともあるだろうけど、もうちょっとそこ考えるべきだったな・・・
口にするってことは思い出すってことだし・・・
反省します・・・
694 姐さん
>>693そうだな
ちょっと深いところまで聞きすぎた感は否めない
けれど、聞いておかなくては余計に彼らを傷付けてしまう場合もあるだろう
これ以上彼らを傷つけたくはない
続き
私の問いに、山姥切国広と大倶利伽羅は眉を寄せたが、鶴丸国永は驚いたように呆けた
鶴丸国永「気付いていたのか……」
「あまりにも唐突だったからな。不自然すぎると思っていたんだ」
鶴丸国永「うーむ、思慮深いように見えて存外無謀で、けれどやっぱり強かなんだなぁ」
「君に言われたくはないな。自分の不幸をも利用するのだから」
鶴丸国永「年の功だ。まぁ、山姥切たちにまで話させる気はなかったんだがなぁ……」
「それについては私が悪かったと思っているよ」
大倶利伽羅「おい、お前達は一体何の話をしている」
オロオロと私と鶴丸国永の顔を交互に見つめる大倶利伽羅と山姥切国広はとても純粋な奴らなんだな、と思った
なんだか自分がとても汚い存在の様に思えてくるから、そんな不安げな顔で見ないでほしい
695 名無しの家主
え?
え?
696 名無しの家主
え?俺らも分かんない
697 名無しの家主
何が不自然なの?
698 名無しの家主
あ、俺わかったかも
何が望みかまでは分かんないけど
699 名無しの家主
説明して!
700 姐さん
>>699鶴丸国永からだろう?全て話すから聞いてほしいといったのは
その時にわざわざ自分から辛い過去を話すのか、と疑問を持たなかったか?
そしてそれを言うタイミングが不自然かつ唐突ではなかったか?
それをどうとらえるかは君達次第だが、私には怪しく映ったんだ
何か企んでいるのでは、と
そしてその結果、鶴丸国永には企みがあった
鶴丸国永「俺としては君が俺たちに同情して戦場に送りだしてくれないものか、と考えていたんだが、そううまくはいかないか」
そう言って苦笑した鶴丸国永に、大倶利伽羅達は驚いたように目を見開いていた