永遠のハーモニー

舞台裏の暗がり。ランマルは血の気の引いた奏者たちを見つめながら、拳をぎゅっと握った。
「……馬鹿なことをする奴だ」
今回の“呪い騒動”は、幽霊の仕業でもなければ外部の陰謀でもない。
舞台に関わる者の嫉妬と妬みが生み出した、計算された不協和音だったのだ。

ランマルの赤い瞳が、微かに光を帯びる。
「守るべきもの……愛する者……座を奪われた恨み……」
彼の胸に、複雑な感情が渦巻いた。目の前の混乱は単なる事故ではなく、人の心の歪みそのものだった。

「……おれが止めなきゃ」
拳の力を内にこめ、ランマルは決意を固める。しかし、赤い瞳の奥で何かが疼いた。
力を使えば瞬時に危険を制することもできる。だが、それは代償を伴う――
心の中で未来の自分に課せられる試練の重みを感じていた。

舞台の奏者たちが恐怖で身をすくめる中、ランマルはそっと声をかけた。
「怯えるな。おまえたちの音は美しいんだ。
だが、妬みに染まった音は間違いなく歪む」
その言葉に奏者たちは徐々に落ち着きを取り戻す。

ランマル自身もまた、理性で力を制御し、赤い瞳の輝きを抑え込んだ。
――これが、力を使う者としての最初の小さな戦いだった。

そして、心の奥で確かに芽生えたものがある。
力の共鳴――赤い瞳を持つ者にしか宿らぬ感覚。
喜びや怒り、妬みや嫉妬――人の感情に触れることで、自らの力も少しずつ覚醒していく。

「……おれは誰のために戦う?」
ランマルは呟き、拳を握り直した。
心に刻まれた答えはただ一つ――
「守るべきものを、絶対に守る」
霧に満ちたロンドンの夜、妬みに染まった旋律は静かに収まり、赤い瞳の青年は次なる試練に備えた。
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