氷の伯爵の依頼

ロンドンの空が淡く白み始め、霧の街にも静かな光が差し込んでいた。
探偵事務所のカーテンの隙間から、柔らかな朝陽がベッドを照らす。

乱れたシーツの中、肌を露わにしたレイジはまどろみながら目を開けた。
栗色の髪が枕に広がり、頬にはかすかな赤みが残っている。

傍らでは、上半身裸のランマルが静かに座り、赤い瞳で彼を見下ろしていた。
「……寝顔まで油断しやがって」
呟きは低く、だが優しさに満ちていた。

レイジは薄く笑みを浮かべ、掠れ声で囁く。
「……おはよう、ランマル」

「無茶ばっかしやがって……ほんと、手がかかる相棒だ」
照れ隠しのように顔を背けながら、ランマルは彼の髪を撫でる。

レイジは胸に手を添え、瞳を細めた。
「昨夜、ずっと抱きしめてくれたね。
その温もりで、どんな悪夢も消えたよ」

赤い瞳が揺れ、ランマルの喉が詰まる。
「……おれはもう二度と離さねぇ」
低く、誓うように言葉を重ねた。

「ふふ……ぼくもだよ」
レイジは照れたように笑い、その胸に身を寄せる。
ふたりの体温が重なり、鼓動がひとつのリズムを刻む。

窓の外で鐘の音が鳴り響き、霧が晴れていく。
探偵と助手――そして恋人として。
ふたりは新しい一日を、共に迎えていた。
13/16ページ