氷の伯爵の依頼

クロサキ家の夜会を抜け出し、探偵事務所へ戻ったのは深夜を過ぎた頃だった。
窓の外は霧に閉ざされ、静けさの中に遠い鐘の音が響いている。

ランマルは机に腰を下ろしたレイジを見つめ、震える声で吐き出した。
「……無茶しやがって」

「でも、君が守ってくれたから」
レイジはかすかに微笑む。

その言葉が胸に突き刺さり、ランマルは堪えきれず彼を強く抱きしめた。
「おれは……おまえを失いたくねぇ」

「……ランマル」
レイジの声が震え、ふたりの唇が触れ合った。
最初は確かめるように、やがて深く重なり合い、吐息と鼓動が混じっていく。

コートが床に滑り落ち、椅子が小さく軋む。
ランマルは迷いなく彼を抱き上げ、奥の部屋へと運んだ。

「……っ」
レイジの指がシャツの裾を掴み、ためらいがちに引き寄せる。
赤い瞳と琥珀色の瞳が絡み合い、言葉にならない熱が流れ込む。

ベッドに沈んだシーツが淡い月明かりを受けて揺れた。
胸の蕾が触れ合い、体温と体温が境を失っていく。
そのレイジの胸の蕾をランマルが優しく愛撫をする。

「ん…っ」
レイジの顔が快楽で赤くなってゆく。


「レイジ……」
「ランマル……」

名前を呼び合う声が次第に掠れ、甘く震える。
重なった影はやがてひとつになり、深い夜へと溶けていった。
12/16ページ