under world
清々しい朝。雲一つない晴天の中でチュンチュンと楽しそうに歌う小鳥に子供の無邪気な声が重なり合い大人達はそれを優しく微笑みながら見守っている。
なんて世界は平和なんだろう!
そして、こんな世界に僕を産み落とした神様はなんて残酷な心の持ち主なんだろう!!
周りの穏やかな雰囲気とは対照的に近藤閑雅はどんよりとした空気を背負いながらトボトボと歩いていた。
「いいな。みんな幸せそうで。あの子も、あの子もみんな遊び疲れたら暖かい家に当たり前に帰れるんだ」
羨ましい。僕にはもうそんな場所なんてないのに。
目頭がじんわりと熱くなっていく。駄目だ。泣いちゃ駄目だ。
閑雅は立ち止まり、空を見上げた。
「これから、僕は何処へ行けばいいんだろう」
ぐぅ〜...。不意にお腹のなる音がした。
「あはは、こんなにも悩んで苦しんでるのにお腹は空くか」
思えば今朝は朝ご飯を食べずに来たのだからお腹が空くのは当たり前であった。閑雅は一旦考えるのをやめプラプラと歩き始めた。
「お腹空いてたら悩み事は解決できないよね。よし!朝ごはんたーべよ!ポジティブにいこう僕!」
閑雅は自分を元気づけるために言葉を口に出してみた。そうすれば気のせいかもしれないが心が少し軽くなるのだ。
「どこか食べれるところないかな」
どれ位歩いたのだろうか、いつの間にか人通りは少なくなりひっそりとした道を1人歩いていた。
「やばいな。ここ何処なのか分からないのに変な所来ちゃった...。来た道戻った方がお店あるよね。引き返そ。」
閑雅は引き返そうとしたが初めて来る土地に翻弄され大通りへ戻れなくなってしまった。いわゆる完全な迷子である。しかし適当に歩いていれば大通りに出られるだろうと考えているうちに運良く目の前に一軒店が立っているのを見つけた。
「あ、お店だ。ご飯食べられるところだったら良いな。もうお腹も足も限界...」
縋る思いで店に近づいてみると『Cafe tuberose』と書いてある看板が出されていた。
「やったぁ!カフェだ!カフェ ツベロセ?」
ツベロセって何だろうと考えながら閑雅はopenの文字が書かれたプレートを下げたドアをそっと押した。
チリンチリン。ドアベルが鳴り店員に来客の知らせを告げる。
「いらっしゃいませ。」
店の中に入るとコーヒーの香りが体を包んだ。
少し暗めだが温かみのあるライトが店内を照らし落ち着いた雰囲気が漂っていた。
閑雅は何処に座ればいいかとオロオロとしていたがカウンターの奥にいた店員にお好きな席にどうぞと促され少し迷ったがカウンター席に座った。
カウンター席に座ったものの店員さんとの距離が近くてちょっと気まずかったなと思ったが今から別の席へ移動するのも変だよねと店員をチラッとみると何故か店員は僕を見て一瞬驚いた顔をした。何だろう。僕の顔になにか付いてるのかと思ったが店員は何事も無かったかのようにメニュー表を渡してくれた。店員の態度に少しもやもやしたが気のせいだろうと適当に注文を済ませ店の中を見渡した。
閑雅の他にお客さんが四人ほど優雅に朝のモーニングを楽しんでいる。
「お待たせいたしました。ご注文の当店オリジナルサンドイッチとコーヒーでございます。」
少したった頃目の前に美味しそうなサンドイッチが出された。
「わー!美味しそうですね!頂きます」
サンドイッチを手に取り1口食べてみる。...美味しい!!
「凄い美味しいですね!こんなに美味しい朝ご飯今まで食べたことないです!今までの人生の中で一番美味しいもの今食べました!」
閑雅は目をキラキラさせサンドイッチをパクパクと食べながら絶賛した。
クスクスと笑いながら店員は「お褒めいただき嬉しいですが少々大袈裟ではないですか」と言う。
「いや本当ですよ!それに僕、親が作ってくれたごはんあまり食べたことなくて、こんなにも美味しいご飯が食べられるなんて思ってませんでした!」
はっ...。無意識に出た言葉に閑雅は静かに口を閉じた。
暗いことを忘れようと思っても、やはり未練があるのかつい口に出てしまった。
店員は怪訝そうな顔で僕を見つめている。
「な、なんて、冗談ですよ!!?」閑雅はぎこちない笑顔をみせ過去を全て流し込むかのように残りのコーヒーを慌てて飲み込んだ。
やってしまった。あんな他人にとって意味深な言葉がちゃうなんて...ここはさっさと店を出た方がいいか。
「ご、ごちそうさまでした。」レジに向かおうと閑雅は立ち上がったが不意に壁がぐにゃりと歪んだ感覚に陥った。「うっ...」体をうまく支えられずカウンターに手をついた。しかしだんだんと体が鉛のように重くなり瞼も開けてるのが困難になると閑雅は倒れてしまった。
「お客様!お客様大丈夫ですか?!」
意識が遠のく中、店員の声が僅かに聞こえた。
なんて世界は平和なんだろう!
そして、こんな世界に僕を産み落とした神様はなんて残酷な心の持ち主なんだろう!!
周りの穏やかな雰囲気とは対照的に近藤閑雅はどんよりとした空気を背負いながらトボトボと歩いていた。
「いいな。みんな幸せそうで。あの子も、あの子もみんな遊び疲れたら暖かい家に当たり前に帰れるんだ」
羨ましい。僕にはもうそんな場所なんてないのに。
目頭がじんわりと熱くなっていく。駄目だ。泣いちゃ駄目だ。
閑雅は立ち止まり、空を見上げた。
「これから、僕は何処へ行けばいいんだろう」
ぐぅ〜...。不意にお腹のなる音がした。
「あはは、こんなにも悩んで苦しんでるのにお腹は空くか」
思えば今朝は朝ご飯を食べずに来たのだからお腹が空くのは当たり前であった。閑雅は一旦考えるのをやめプラプラと歩き始めた。
「お腹空いてたら悩み事は解決できないよね。よし!朝ごはんたーべよ!ポジティブにいこう僕!」
閑雅は自分を元気づけるために言葉を口に出してみた。そうすれば気のせいかもしれないが心が少し軽くなるのだ。
「どこか食べれるところないかな」
どれ位歩いたのだろうか、いつの間にか人通りは少なくなりひっそりとした道を1人歩いていた。
「やばいな。ここ何処なのか分からないのに変な所来ちゃった...。来た道戻った方がお店あるよね。引き返そ。」
閑雅は引き返そうとしたが初めて来る土地に翻弄され大通りへ戻れなくなってしまった。いわゆる完全な迷子である。しかし適当に歩いていれば大通りに出られるだろうと考えているうちに運良く目の前に一軒店が立っているのを見つけた。
「あ、お店だ。ご飯食べられるところだったら良いな。もうお腹も足も限界...」
縋る思いで店に近づいてみると『Cafe tuberose』と書いてある看板が出されていた。
「やったぁ!カフェだ!カフェ ツベロセ?」
ツベロセって何だろうと考えながら閑雅はopenの文字が書かれたプレートを下げたドアをそっと押した。
チリンチリン。ドアベルが鳴り店員に来客の知らせを告げる。
「いらっしゃいませ。」
店の中に入るとコーヒーの香りが体を包んだ。
少し暗めだが温かみのあるライトが店内を照らし落ち着いた雰囲気が漂っていた。
閑雅は何処に座ればいいかとオロオロとしていたがカウンターの奥にいた店員にお好きな席にどうぞと促され少し迷ったがカウンター席に座った。
カウンター席に座ったものの店員さんとの距離が近くてちょっと気まずかったなと思ったが今から別の席へ移動するのも変だよねと店員をチラッとみると何故か店員は僕を見て一瞬驚いた顔をした。何だろう。僕の顔になにか付いてるのかと思ったが店員は何事も無かったかのようにメニュー表を渡してくれた。店員の態度に少しもやもやしたが気のせいだろうと適当に注文を済ませ店の中を見渡した。
閑雅の他にお客さんが四人ほど優雅に朝のモーニングを楽しんでいる。
「お待たせいたしました。ご注文の当店オリジナルサンドイッチとコーヒーでございます。」
少したった頃目の前に美味しそうなサンドイッチが出された。
「わー!美味しそうですね!頂きます」
サンドイッチを手に取り1口食べてみる。...美味しい!!
「凄い美味しいですね!こんなに美味しい朝ご飯今まで食べたことないです!今までの人生の中で一番美味しいもの今食べました!」
閑雅は目をキラキラさせサンドイッチをパクパクと食べながら絶賛した。
クスクスと笑いながら店員は「お褒めいただき嬉しいですが少々大袈裟ではないですか」と言う。
「いや本当ですよ!それに僕、親が作ってくれたごはんあまり食べたことなくて、こんなにも美味しいご飯が食べられるなんて思ってませんでした!」
はっ...。無意識に出た言葉に閑雅は静かに口を閉じた。
暗いことを忘れようと思っても、やはり未練があるのかつい口に出てしまった。
店員は怪訝そうな顔で僕を見つめている。
「な、なんて、冗談ですよ!!?」閑雅はぎこちない笑顔をみせ過去を全て流し込むかのように残りのコーヒーを慌てて飲み込んだ。
やってしまった。あんな他人にとって意味深な言葉がちゃうなんて...ここはさっさと店を出た方がいいか。
「ご、ごちそうさまでした。」レジに向かおうと閑雅は立ち上がったが不意に壁がぐにゃりと歪んだ感覚に陥った。「うっ...」体をうまく支えられずカウンターに手をついた。しかしだんだんと体が鉛のように重くなり瞼も開けてるのが困難になると閑雅は倒れてしまった。
「お客様!お客様大丈夫ですか?!」
意識が遠のく中、店員の声が僅かに聞こえた。
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