鬼
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※非常に女々しい炭治郎の為、ご注意ください。
─
今、俺はあかねと2人での任務で目的地に向かっている最中。
今回の鬼はそんなに強い鬼では無いと聞いている為か、あかねはどことなく散歩気分のようだ。
そんな様子を見ていると、思わずこっちまで気分が上がってしまう。これから鬼狩りだというのに。
そんな彼女もれっきとした鬼殺隊の一員だ。だとしてもあかねにはあまり無茶をさせたくない。そこは俺が鬼の頸を切れば済む話だ。
「任務が炭治郎と一緒だと安心感が半端ないんだよね〜」
「そうか、それは俺としても嬉しいよ!」
「あっでも1人で全部やっつけようとか思わないでね?」
つい先程考えていたことを見抜かれた様に「いつもそうやって守ろうとするんだから」と釘を刺されてしまった。
「俺が勝手に守りたいって思ってしまうだけだから、気にしないで欲しいんだ」
「えー?じゃこれは何のための刀なの」
カチャリと音を鳴らしながら柄頭を握るあかねはケラケラと笑った。
ほら、その笑顔の為に俺は守りたいって思うんだ。
本人にはハッキリと伝えたことが無いから、俺の気持ちは気付いていないと思う。
伝えたところでその先がどうなるのかなんて、もう既にわかっている事だから、この胸の内は恐らく一生明かさない。
「今日は早く終われそうだし、ちゃちゃっとやっつけてゆっくり休も!」
「じゃあ早く終わらせられたら、少し寄り道しないか?」
「寄り道?」
「うん、甘いものが食べたい気分なんだ」
「いいよ!ご褒美だね!」
────……
目的地に着くとあからさまに雰囲気が変わり、微かに鬼の匂いがする。
チラリとあかねを見ると、流石に先程までの上機嫌な顔ではなくなっていた。
「万が一があっても可笑しくは無い、俺の側から離れないでくれ」
「ほらまたそうやって──」
その時、鬼が既にあかねの後ろまで迫っていた。
状況を把握すると、俺は考えるよりも先に体が動きだし、鬼に向かって刀を振り下ろしていた。
惜しくも落としたのは腕だけだった。
ギャアギャアと喚き叫ぶ鬼に呼吸を使い一気に仕留る。
頸を落とした鬼はすぐに消えていった。
───……
「ごめん炭治郎、」
「なんで謝るんだ、怪我は無いか?」
「え、うん全然平気」
数体の鬼を切ったところで匂いが消えた。倒しきったようだ。
全部俺一人で切ったわけではなかったが、どこか申し訳なさそうな、不満げな様子のあかね。
「やっぱり炭治郎強いね、お手上げ!」
「そんな事ないよ、あかねのおかげで俺は別の鬼に集中できたし」
「あたしも役に立てた?立ってたよね!?」
「勿論!助かったよ、ありがとう!」
今度は嬉しそうな満更でもなさそうな顔。表情がコロコロ変わるところが見ていて飽きない。
「じゃー帰って甘いもの食べますかっ!」
「あははっ賛成だ!」
お互い怪我もなく終われてよかった。
戦いで乱れた身なりを整え帰路に着く。
歩きながら何を食べようか等他愛も無い会話が続く。あかねに以前好きな物は何だと聞いたことがある。その時に最中だと聞いた。今日はそれをご馳走しようか。
上機嫌で歩いている彼女を見ながら考えていると、驚いた表情に変わる。
そしてあかねから漂ってくる匂いが変わった。
「善逸ーーーっ!」
近くの里に近づいた頃だった。
前方には善逸がそわそわして待っていて、あかねの声に気付くと持ち前の脚力で走ってきた。
「あかねちゃぁぁあんおかえり!心配したよぉおお!」
「今日炭治郎いたしあたしほとんど何もしてないの」
「炭治郎、あかねちゃんにかっこいいとこ見せつけたりしてないよね!?」
「えっ!そ、そんなことは…」
「炭治郎は強いし優しいし頼りになるしかっこいいよ!」
「!!」
「あかねちゃん!?!?」
あかねからの褒め言葉はいつもなら素直に受け取り素直に嬉しいはずなのに、今はちっとも嬉しくない。
この2人が同じ場にいる時は、2人とも同じ匂いがする。
さっきまで俺と2人でいた時はしなかった匂い。
俺は痛む胸に気付かないふりをした。
「あかね、甘味処はまた今度にしようか」
「えっ行こうよ!せっかくだし善逸と3人で!」
「邪魔しちゃ悪いし、2人で行ってくるといい。俺は宿を探して休むよ」
「えー邪魔なわけないのに…、じゃ今度行こうね!」
恋仲にこそなっていないが、周りから見れば恋仲そのもの。
善逸はというと物凄い形相をしてあかねから見えない角度で、手で俺を追い払っていた。その様子を見て俺は苦笑いしか返せなかった。
本当なら2人にさせたくなくて行きたい所だが、これ以上この2人といると平然を装えなくなる。
一刻も早く逃げ出したかった。
こんなに余裕のない心持ちでは今後の任務にも支障が出る。休むと伝えたが、何か打ち込める事をと考え人気のない森に戻り鍛錬することにした。
余計なことを考えず、鬼を倒す事だけを考えて。
───
続きます。
イメージソング:ら、のはなし(あいみょん)
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