鬼
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時計の針が2本ともあと少しで上を指す頃。
まだ授業は続く。とは言ってもあと15分程度。
今にも鳴き出しそうな腹の虫を何とか押さえつけていると、右隣の席からむしゃむしゃと音が聞こえてきた。
横目で見やるとやはり。
お昼前の残り時間は自習とのことで、緩い空気感にはなっているが、一応小声で声を掛ける。
「(伊之助…!もーーー少しだけ我慢しなよ!)」
「あ゙ぁ?」
口の周りのご飯粒を付けてギロりとこちらに振り返る。
せっかく気を使って小声で声掛けたのに。
ドスの効いたに大きめの返事により、クラスの皆が「またか」という顔しながら振り返る。
「もうちょっとでお昼なんだから我慢しなよ。」
「うるせえ俺は腹が減ったから食ってんだ。」
「皆減ってるけど我慢してんの!」
「なんで我慢すんだよ!」
この会話も何度目だろう。毎日同じことを繰り返しているような。
言い合ってる間にも食べ続けていたせいで、こちらにまでご飯粒が飛んでくる。きったな。
もうここまで騒ぐと授業中だのなんだのどうでも良くなってきた。椅子をずらし隣に近寄る。
「こんにゃろ!」
お弁当を無理やり取り上げる。ほんのちょっと可哀想かなとも思うが。
「ア!?てめっ返しやがれ!!」
すぐさま取り返そうと向かってくるがひょいっと上手くかわしてやる。
だが椅子に座ってるだけだと避けるにも限度がある。怒りが頂点に達したのか男は飛びかかってきた。
「ウソでしょ」
2人共盛大に椅子から転げ落ちた。
その拍子に食べかけのお弁当は床にバラ撒かれてしまった。
「いっ……たぁ…!ありえないんだけど…!」
「おい!俺のメシ被ってんじゃねえ!」
「は!?てか退いてよ!重い!」
バラ撒いてしまった際に自分にもご飯が飛んできていたようだ。あかねの髪に付いた米を摘んでは食べ始める目の前の男に絶句する。
「え…、…た、食べちゃダメでしょ!汚い!」
「うお…!?」
上に乗っていた伊之助をめいっぱい突き飛ばし何とか離れるとお昼休み開始のチャイムが鳴った。
すぐ体制を整えた伊之助はあかねに向かって叫ぶ。
「おい!昼だ!飯!!」
「ご覧の通りです!」
床をびしっと指差すが伊之助は「まだ頭についてる!」とまた向かってきた。
「だから汚いってば!やめなよ!」
「なんで汚ぇんだよ。汚れてねえ!」
「衛生的に良くない!」
「ッだー!わっかんねえ!!」
ぎゃいぎゃい怒り狂う伊之助に疲れ果てたあかねは、自分のお弁当を差し出した。
「しょうがないから食べていいよ。あたしのせいでぶちまけちゃったようなもんだし…。」
ピタッと動きが止まりあかねからお弁当を受け取ると大急ぎで開けて食べ始めた。髪に付いたギチギチのご飯粒を拭き取りながら半泣きになる。
ああ…あたしもお腹すいてるのに…。
「うめーーー!」
そう叫びながら目をキラキラさせて食べる伊之助を見たら、お昼抜きになった悲しみが吹き飛んだ。
冷食のオンパレードなんだけど。
「お…おいしい?あたしが作ってるんだよ?」
「うめえ!さっき食ってた弁当よりうめえ!」
…冷食のオンパレードなんだけど。
でも自分で用意した物を美味しいと言ってもらえて嫌な気はしない。今度から少しはおかず自分で作ってみようかなとひっそりと考えた。
「ねえ伊之助、明日からあたしがお弁当持ってきてあげよっか?」
「明日も食えんのか!」
またご飯粒飛ばしながらこちらに振り返る。
きったな。
「いいよ、その変わりお昼休みまで食べさせないからね。」
「あかねの飯が食える!」
空になったお弁当箱を雑に突き返される。
本当に一口も残してくれなかったんだね…。
午後は自販機のゼリーでやり過ごすか…。
───翌日、これで早弁はないだろうと思っていたのだが、しっかりとお弁当を買ってきている伊之助がいた。
「これは腹が減ったとき用だ。」
「あたしの用意してきた分は…。」
「昼飯だ!」
「ちょっとよくわかんない!」
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時計の針が2本ともあと少しで上を指す頃。
まだ授業は続く。とは言ってもあと15分程度。
今にも鳴き出しそうな腹の虫を何とか押さえつけていると、右隣の席からむしゃむしゃと音が聞こえてきた。
横目で見やるとやはり。
お昼前の残り時間は自習とのことで、緩い空気感にはなっているが、一応小声で声を掛ける。
「(伊之助…!もーーー少しだけ我慢しなよ!)」
「あ゙ぁ?」
口の周りのご飯粒を付けてギロりとこちらに振り返る。
せっかく気を使って小声で声掛けたのに。
ドスの効いたに大きめの返事により、クラスの皆が「またか」という顔しながら振り返る。
「もうちょっとでお昼なんだから我慢しなよ。」
「うるせえ俺は腹が減ったから食ってんだ。」
「皆減ってるけど我慢してんの!」
「なんで我慢すんだよ!」
この会話も何度目だろう。毎日同じことを繰り返しているような。
言い合ってる間にも食べ続けていたせいで、こちらにまでご飯粒が飛んでくる。きったな。
もうここまで騒ぐと授業中だのなんだのどうでも良くなってきた。椅子をずらし隣に近寄る。
「こんにゃろ!」
お弁当を無理やり取り上げる。ほんのちょっと可哀想かなとも思うが。
「ア!?てめっ返しやがれ!!」
すぐさま取り返そうと向かってくるがひょいっと上手くかわしてやる。
だが椅子に座ってるだけだと避けるにも限度がある。怒りが頂点に達したのか男は飛びかかってきた。
「ウソでしょ」
2人共盛大に椅子から転げ落ちた。
その拍子に食べかけのお弁当は床にバラ撒かれてしまった。
「いっ……たぁ…!ありえないんだけど…!」
「おい!俺のメシ被ってんじゃねえ!」
「は!?てか退いてよ!重い!」
バラ撒いてしまった際に自分にもご飯が飛んできていたようだ。あかねの髪に付いた米を摘んでは食べ始める目の前の男に絶句する。
「え…、…た、食べちゃダメでしょ!汚い!」
「うお…!?」
上に乗っていた伊之助をめいっぱい突き飛ばし何とか離れるとお昼休み開始のチャイムが鳴った。
すぐ体制を整えた伊之助はあかねに向かって叫ぶ。
「おい!昼だ!飯!!」
「ご覧の通りです!」
床をびしっと指差すが伊之助は「まだ頭についてる!」とまた向かってきた。
「だから汚いってば!やめなよ!」
「なんで汚ぇんだよ。汚れてねえ!」
「衛生的に良くない!」
「ッだー!わっかんねえ!!」
ぎゃいぎゃい怒り狂う伊之助に疲れ果てたあかねは、自分のお弁当を差し出した。
「しょうがないから食べていいよ。あたしのせいでぶちまけちゃったようなもんだし…。」
ピタッと動きが止まりあかねからお弁当を受け取ると大急ぎで開けて食べ始めた。髪に付いたギチギチのご飯粒を拭き取りながら半泣きになる。
ああ…あたしもお腹すいてるのに…。
「うめーーー!」
そう叫びながら目をキラキラさせて食べる伊之助を見たら、お昼抜きになった悲しみが吹き飛んだ。
冷食のオンパレードなんだけど。
「お…おいしい?あたしが作ってるんだよ?」
「うめえ!さっき食ってた弁当よりうめえ!」
…冷食のオンパレードなんだけど。
でも自分で用意した物を美味しいと言ってもらえて嫌な気はしない。今度から少しはおかず自分で作ってみようかなとひっそりと考えた。
「ねえ伊之助、明日からあたしがお弁当持ってきてあげよっか?」
「明日も食えんのか!」
またご飯粒飛ばしながらこちらに振り返る。
きったな。
「いいよ、その変わりお昼休みまで食べさせないからね。」
「あかねの飯が食える!」
空になったお弁当箱を雑に突き返される。
本当に一口も残してくれなかったんだね…。
午後は自販機のゼリーでやり過ごすか…。
───翌日、これで早弁はないだろうと思っていたのだが、しっかりとお弁当を買ってきている伊之助がいた。
「これは腹が減ったとき用だ。」
「あたしの用意してきた分は…。」
「昼飯だ!」
「ちょっとよくわかんない!」
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