別れたのに
夢女子主人公
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「……もう終わりにしない?」
そう言ったのは、一週間前だった。
「重い」って、彼に言った。
「苦しい」って、言いかけた。
「私、もう無理かも」って、そう言って、連絡を断った。
でも────
夜の玄関のドアが開いた音に気づいた時、背筋が凍った。
「やっほ〜。○○ちゃん、元気してた?」
彼が部屋の中に入って来た彼がいた。
いつもの明るい声。
だけど、その笑顔は目だけが笑っていなかった。
「……どうやって入ったの?」
「んー? カギ、前と変わってなかったから」
当然のように上がり込んでいて、隣に腰を下ろす。
何をしても怒らない。
何を言っても無視されない。
その優しさが怖かった。
「……○○ちゃんさ〜、俺のこと"重い"って言ったよね。
うん、たしかにそうかもね〜。
でもさ──好きな人が逃げたら、追いかけたくなるのは、当たり前じゃない?」
唇が触れるか触れないかの距離。
熱を帯びた声が耳をくすぐる。
「俺、今めちゃくちゃ笑ってるけどね、内心、心臓握りつぶされてる気分だったんだよ」
その瞬間、キスは優しかった。
けれど、逃げられない深さで。
「……やっぱり、○○ちゃんの全部がほしな〜。
考えてることも、触れる場所も、他の誰にも渡したくない。
他の男の視線さえ、許せない。
俺ね、○○ちゃんに好かれてるって思うことよりさ。
もしかしたら誰かの方を見てたかもしれないって想像する方が……ずっと怖かったんだよ〜」
背中を撫でる手が、そっとシャツの裾に触れる。
「"俺のこと、忘れようとしたんでしょ?"でも、忘れられなかったよね。」
その言葉に、思わず肩が揺れた。
私が返事を探す沈黙の中で、彼の指先が背中に触れたまま、ゆっくりと呼吸を合わせてくる。
「……ほら、だって、今、震えてる」
心を読んでくるような声。
甘いのに、冷たさを孕んでいる。
「ねぇ、○○ちゃん──
ここまで来たら、俺から逃げるのは、もう無理だよね。
どんなに拒んでも、どんなに嫌がっても、……君の心の奥の、"俺じゃなきゃダメな場所"、わかってるから」
腕の中に閉じ込められた身体が、彼の熱でとろけていく。
「俺を嫌いになってもいいよ。でも、俺が君を好きなことは、やめられないから」
言葉を返せないまま、胸の奥で小さく脈打つ音だけが、彼の言葉に答えていた。
〈終〉
そう言ったのは、一週間前だった。
「重い」って、彼に言った。
「苦しい」って、言いかけた。
「私、もう無理かも」って、そう言って、連絡を断った。
でも────
夜の玄関のドアが開いた音に気づいた時、背筋が凍った。
「やっほ〜。○○ちゃん、元気してた?」
彼が部屋の中に入って来た彼がいた。
いつもの明るい声。
だけど、その笑顔は目だけが笑っていなかった。
「……どうやって入ったの?」
「んー? カギ、前と変わってなかったから」
当然のように上がり込んでいて、隣に腰を下ろす。
何をしても怒らない。
何を言っても無視されない。
その優しさが怖かった。
「……○○ちゃんさ〜、俺のこと"重い"って言ったよね。
うん、たしかにそうかもね〜。
でもさ──好きな人が逃げたら、追いかけたくなるのは、当たり前じゃない?」
唇が触れるか触れないかの距離。
熱を帯びた声が耳をくすぐる。
「俺、今めちゃくちゃ笑ってるけどね、内心、心臓握りつぶされてる気分だったんだよ」
その瞬間、キスは優しかった。
けれど、逃げられない深さで。
「……やっぱり、○○ちゃんの全部がほしな〜。
考えてることも、触れる場所も、他の誰にも渡したくない。
他の男の視線さえ、許せない。
俺ね、○○ちゃんに好かれてるって思うことよりさ。
もしかしたら誰かの方を見てたかもしれないって想像する方が……ずっと怖かったんだよ〜」
背中を撫でる手が、そっとシャツの裾に触れる。
「"俺のこと、忘れようとしたんでしょ?"でも、忘れられなかったよね。」
その言葉に、思わず肩が揺れた。
私が返事を探す沈黙の中で、彼の指先が背中に触れたまま、ゆっくりと呼吸を合わせてくる。
「……ほら、だって、今、震えてる」
心を読んでくるような声。
甘いのに、冷たさを孕んでいる。
「ねぇ、○○ちゃん──
ここまで来たら、俺から逃げるのは、もう無理だよね。
どんなに拒んでも、どんなに嫌がっても、……君の心の奥の、"俺じゃなきゃダメな場所"、わかってるから」
腕の中に閉じ込められた身体が、彼の熱でとろけていく。
「俺を嫌いになってもいいよ。でも、俺が君を好きなことは、やめられないから」
言葉を返せないまま、胸の奥で小さく脈打つ音だけが、彼の言葉に答えていた。
〈終〉
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