鬼滅 義勇さん
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村の外れ、ようやく避難を終えて人々の安堵を見届けたころ。
血のにじむ手を布で押さえたまま歩こうとすると、横にいた彼がぴたりと足を止めた。
「……無理をするな」
その言葉と同時に、肩口に大きな手が添えられる。歩幅を合わせるように、彼は私の歩みをゆっくりとした。
「平気です。隠は……人を守るのが務めですから」
そう言っても、彼は納得しない。 私が右手で刀を持ち直すと、ためらいもなく残った左腕を取られた。
「……!」
驚く私をよそに、彼は視線を前に向けたまま言う。
「刀は、俺が持つ。……お前は俺の隣にいればいい」
その声音は命令のようで、けれど不思議な優しさを孕んでいた。
抗う気持ちはすぐに消えて、ただ温もりに胸が満たされる。
並んで歩くうちに、彼の指が自然と私の腕を包み込む。
庇うように、守るように。 普段は距離を置きがちな人のはずなのに──今はひどく近い。
「……冨岡さん」
呼びかけると、彼は少しだけ振り返った。
「……義勇でいい」
その低い声に、胸の奥が熱を帯びる。
「……義勇さん」 名前を呼ぶと、彼はほんの一瞬だけ瞳を細め、口元を和らげた。
「……二度と、あんな無茶はするな。お前が傷つくのは……嫌だ」
その言葉に、足が止まる。
振り返った義勇の瞳には、確かな想いが揺れていた。
心臓が跳ねる。指を二本失った痛みさえ、今は遠くに感じる。
「……私も、あなたがいてくれてよかった」
そう告げると、彼は不器用に視線を逸らしながらも、繋いだ腕の力を少しだけ強めた。
「……なら、これからも隣にいろ」
月明かりの下、その言葉は約束のように響く。 義勇の体温を確かめるように歩き出しながら、私はもう一度だけ心の中で彼の名を呼んだ。
──義勇さん、と。
血のにじむ手を布で押さえたまま歩こうとすると、横にいた彼がぴたりと足を止めた。
「……無理をするな」
その言葉と同時に、肩口に大きな手が添えられる。歩幅を合わせるように、彼は私の歩みをゆっくりとした。
「平気です。隠は……人を守るのが務めですから」
そう言っても、彼は納得しない。 私が右手で刀を持ち直すと、ためらいもなく残った左腕を取られた。
「……!」
驚く私をよそに、彼は視線を前に向けたまま言う。
「刀は、俺が持つ。……お前は俺の隣にいればいい」
その声音は命令のようで、けれど不思議な優しさを孕んでいた。
抗う気持ちはすぐに消えて、ただ温もりに胸が満たされる。
並んで歩くうちに、彼の指が自然と私の腕を包み込む。
庇うように、守るように。 普段は距離を置きがちな人のはずなのに──今はひどく近い。
「……冨岡さん」
呼びかけると、彼は少しだけ振り返った。
「……義勇でいい」
その低い声に、胸の奥が熱を帯びる。
「……義勇さん」 名前を呼ぶと、彼はほんの一瞬だけ瞳を細め、口元を和らげた。
「……二度と、あんな無茶はするな。お前が傷つくのは……嫌だ」
その言葉に、足が止まる。
振り返った義勇の瞳には、確かな想いが揺れていた。
心臓が跳ねる。指を二本失った痛みさえ、今は遠くに感じる。
「……私も、あなたがいてくれてよかった」
そう告げると、彼は不器用に視線を逸らしながらも、繋いだ腕の力を少しだけ強めた。
「……なら、これからも隣にいろ」
月明かりの下、その言葉は約束のように響く。 義勇の体温を確かめるように歩き出しながら、私はもう一度だけ心の中で彼の名を呼んだ。
──義勇さん、と。