鬼滅 義勇さん
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任務は続く。
隠の中でも戦えると見られ、避難住民の先導を任されるようになっていた。
鬼の情報を受け、近隣の村へ急ぐ。
駆けつけた先で、悲鳴が夜気を裂いた。
──遅かった! 助けたい一心ではやる思考を抑え、まずは現状を見極める。
下弦の鬼が出たと聞く。
水柱もこちらに向かっていると知らされ、わずかに安堵する。
だが同時に、村人をどう逃がすかを考えねばならない。
早く……早く…… 鬼の犠牲は、誰一人として出さない!
鬼の姿を見つけ駆け出し標的とされてる子供達抱きしめ庇う。
鬼の咆哮が止む。
子供を庇いながら目を閉じたその瞬間、鋭い斬撃音と共に、頭上を覆っていた影が断ち切られた。
振り返れば、水柱・冨岡義勇が立っていた。
淡々と刀を構え、鬼を斬り伏せる彼の姿に、張り詰めていたものがほどけていく。
胸の奥から、絶対的な安心感が広がった。
「……もう、大丈夫だよ」 抱きしめた子供たちに微笑みかけると、彼らは涙をこらえきれずにしがみついてきた。
鬼が灰となって崩れ落ちる。
静寂が戻った途端、冨岡が近づいてきて、低く呟いた。
「……お前は、馬鹿か」
冷たい声音に一瞬、心が凍る。
子供達を守ったはずなのに、なぜ彼はそんなことを言うのか。
理解できずに彼を見上げると、その表情は怒りと哀しみが混じっていた。
冨岡は膝をつき、こちらの右手を掴んだ。
「っ……!」
走る痛みに思わず息を呑む。
彼の指先が必死に地面を探り、血に濡れた何かを拾い上げた。
それは、己の指だった。
「……っ」
現実を理解した瞬間、胸が大きく波打った。
二本の指を犠牲にして、子供たちを守った。
確かに命は救えたのに──彼は顔を歪めていた。
「子供を助けたのに……どうしてそんな顔を」
震える声で問いかけると、彼は唇を噛んだまま応えない。
けれど、その手は止血を続けていた。力強く、けれど乱暴ではない。
やがて彼は、ようやく言葉を吐き出した。
「……俺が、もっと早く来ていれば……お前が、こんなことをする必要はなかった」
──あの日、剣を教わった時に聞こえた言葉と同じ。 「俺がもっと」と、あの時も微かに呟いていた。
胸の奥が熱くなる。
彼は冷たくも無関心でもなかった。
ただ、不器用に抱え込み、自分を責めていたのだ。
「私は……後悔していません」
痛みで震える声を押し出し、笑ってみせる。
「指二本で……子供ふたりの命を救えたんですから」
彼はじっと見つめてきた。
その目の奥に、深い影と、揺らぐ光が見えた。 そして、誰にも見せたことのないような小さな吐息がこぼれる。
「……どうして……そんなふうに笑えるんだ」
彼の声は、まるで自分自身に問いかけるようだった。
血に染まった手を強く握りしめるその感触に、確かなものを感じる。
たとえ「隠」という裏方であっても、戦えない者であっても──自分は、彼と同じ方向を見ているのだ。
夜風が吹き抜ける中、彼は最後まで止血の手を離さなかった。 その温もりは、冷たいはずの水柱が抱える優しさそのものだった。
隠の中でも戦えると見られ、避難住民の先導を任されるようになっていた。
鬼の情報を受け、近隣の村へ急ぐ。
駆けつけた先で、悲鳴が夜気を裂いた。
──遅かった! 助けたい一心ではやる思考を抑え、まずは現状を見極める。
下弦の鬼が出たと聞く。
水柱もこちらに向かっていると知らされ、わずかに安堵する。
だが同時に、村人をどう逃がすかを考えねばならない。
早く……早く…… 鬼の犠牲は、誰一人として出さない!
鬼の姿を見つけ駆け出し標的とされてる子供達抱きしめ庇う。
鬼の咆哮が止む。
子供を庇いながら目を閉じたその瞬間、鋭い斬撃音と共に、頭上を覆っていた影が断ち切られた。
振り返れば、水柱・冨岡義勇が立っていた。
淡々と刀を構え、鬼を斬り伏せる彼の姿に、張り詰めていたものがほどけていく。
胸の奥から、絶対的な安心感が広がった。
「……もう、大丈夫だよ」 抱きしめた子供たちに微笑みかけると、彼らは涙をこらえきれずにしがみついてきた。
鬼が灰となって崩れ落ちる。
静寂が戻った途端、冨岡が近づいてきて、低く呟いた。
「……お前は、馬鹿か」
冷たい声音に一瞬、心が凍る。
子供達を守ったはずなのに、なぜ彼はそんなことを言うのか。
理解できずに彼を見上げると、その表情は怒りと哀しみが混じっていた。
冨岡は膝をつき、こちらの右手を掴んだ。
「っ……!」
走る痛みに思わず息を呑む。
彼の指先が必死に地面を探り、血に濡れた何かを拾い上げた。
それは、己の指だった。
「……っ」
現実を理解した瞬間、胸が大きく波打った。
二本の指を犠牲にして、子供たちを守った。
確かに命は救えたのに──彼は顔を歪めていた。
「子供を助けたのに……どうしてそんな顔を」
震える声で問いかけると、彼は唇を噛んだまま応えない。
けれど、その手は止血を続けていた。力強く、けれど乱暴ではない。
やがて彼は、ようやく言葉を吐き出した。
「……俺が、もっと早く来ていれば……お前が、こんなことをする必要はなかった」
──あの日、剣を教わった時に聞こえた言葉と同じ。 「俺がもっと」と、あの時も微かに呟いていた。
胸の奥が熱くなる。
彼は冷たくも無関心でもなかった。
ただ、不器用に抱え込み、自分を責めていたのだ。
「私は……後悔していません」
痛みで震える声を押し出し、笑ってみせる。
「指二本で……子供ふたりの命を救えたんですから」
彼はじっと見つめてきた。
その目の奥に、深い影と、揺らぐ光が見えた。 そして、誰にも見せたことのないような小さな吐息がこぼれる。
「……どうして……そんなふうに笑えるんだ」
彼の声は、まるで自分自身に問いかけるようだった。
血に染まった手を強く握りしめるその感触に、確かなものを感じる。
たとえ「隠」という裏方であっても、戦えない者であっても──自分は、彼と同じ方向を見ているのだ。
夜風が吹き抜ける中、彼は最後まで止血の手を離さなかった。 その温もりは、冷たいはずの水柱が抱える優しさそのものだった。