西谷 高校生編 色々
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今日はいつもより早く部活が終わった。
夜まで体育館に響くボールの音も、今日はまだ明るいうちに止んでいる。
外の空気は冷たくて、息が白い。
このまま夕と一緒に帰れる――それだけで胸が少し弾んだ。
「このあと、どっか寄る?」
そう聞くと、夕は「顔出したいバレーサークルあるんだ」と言った。
時計を見て逆算すれば、一緒にいられるのは1時間ほど。
思っていたより短いけれど、それでも「一緒に帰れる」が嬉しくて、
それだけで今日が特別に感じた。
お腹も空いていたから、途中のコンビニで肉まんと、
"とにかく大きくて安い"を売りにしてるパン、
それから缶のコーンポタージュを買って、公園へ向かった。
冬の空気に包まれた大きな公園。
いつもなら通り過ぎるだけの場所に、今日はふたり並んで座るベンチがあった。
袋を広げて、湯気を立てる肉まんを見つめる。
彼の前ではあまりガツガツ食べたくないけど、
一緒にいられる時間が短いのに、
お腹が鳴るのはもっと嫌で。
彼の視線が逸れたタイミングを狙って、
思い切って肉まんにかぶりついた。
「……っつ!」
熱さに足がバタバタと動く。
その様子に気づいた夕が、鞄からスポドリを取り出して差し出してくれた。
ゴクゴクと喉を鳴らして飲むと、夕が笑いながら覗き込む。
「そんなに一気に頬張るからだろ」
「見てたの?」
「視界は大きいからな!」
「視界は"大きい"じゃなくて"広い"って言うんだよ」
キョトンとした彼の顔に、思わず笑いがこぼれる。
笑って、見つめ合って、また笑って。
その空気の中で、ふと彼の瞳の中に映る自分が近づいてくるのがわかった。
(……キス、されるかも)
そう思って、目を閉じた。
でも、次に感じたのは唇の温度じゃなく、
頭を包み込むような手と、ポンポンと叩かれる温もりだった。
「……?」
ゆっくり目を開けると、目の前で小さな子どもたちがこちらをガン見していた。
きょとんとしていた子たちに、夕が少し照れくさそうに笑って言う。
「見世物じゃねーからなぁ!」
そう言いながら、気づけば追いかけっこが始まっていた。
公園の広場を駆け回る夕と、キャッキャとはしゃぐ子どもたち。
私はベンチに座ったまま、笑いながら「頑張れー!」と声を上げた。
息を切らせて戻ってきた頃、
空にはオレンジ色が溶けて、遠くから『夕焼け小焼け』の音楽が流れた。
子どもたちは音に反応して、「もう帰るー!」と手を振って走っていった。
気づけばもう薄暗く、公園の街灯が灯り始めている。
夕は空を見上げて、「そろそろ帰るかっ!」と立ち上がった。
差し出された手を握る。
さっきまで走っていたせいか、手のひらがまだ熱い。
「一緒に走ればよかったな」って言うと、
夕は少しだけ眉を上げて、にやっと笑った。
「俺がいるのに、他のヤツ追うなよ」
あまりにも自然に言うから、
返事もできずに、ただ顔が熱くなった。
どうして冬の夕方って、こんなに早く暗くなるんだろう。
もう少し明るければ、このまま笑って歩けたのに。
街の灯りがぽつぽつと灯り始めて、
空気が夜に変わっていくたびに、離れるのが少しだけ寂しくなる。
「じゃあ、また明日なっ!」
繋いでいた手が離れる。
分かれ道で大きく手を振って、
それっきり振り向かずに帰っていく夕の背中。
その姿を見送りながら、
"もっと一緒にいたい"って言えなかった自分が少し情けなくて、
でも、彼の邪魔をしたくなくて。
ポケットの中で、夕からもらったピンクのストラップを握りしめた。
掌に残るその温もりが、
今日いちばん近かった"彼"みたいに思えて、
胸の奥が静かに痛んだ。
夜まで体育館に響くボールの音も、今日はまだ明るいうちに止んでいる。
外の空気は冷たくて、息が白い。
このまま夕と一緒に帰れる――それだけで胸が少し弾んだ。
「このあと、どっか寄る?」
そう聞くと、夕は「顔出したいバレーサークルあるんだ」と言った。
時計を見て逆算すれば、一緒にいられるのは1時間ほど。
思っていたより短いけれど、それでも「一緒に帰れる」が嬉しくて、
それだけで今日が特別に感じた。
お腹も空いていたから、途中のコンビニで肉まんと、
"とにかく大きくて安い"を売りにしてるパン、
それから缶のコーンポタージュを買って、公園へ向かった。
冬の空気に包まれた大きな公園。
いつもなら通り過ぎるだけの場所に、今日はふたり並んで座るベンチがあった。
袋を広げて、湯気を立てる肉まんを見つめる。
彼の前ではあまりガツガツ食べたくないけど、
一緒にいられる時間が短いのに、
お腹が鳴るのはもっと嫌で。
彼の視線が逸れたタイミングを狙って、
思い切って肉まんにかぶりついた。
「……っつ!」
熱さに足がバタバタと動く。
その様子に気づいた夕が、鞄からスポドリを取り出して差し出してくれた。
ゴクゴクと喉を鳴らして飲むと、夕が笑いながら覗き込む。
「そんなに一気に頬張るからだろ」
「見てたの?」
「視界は大きいからな!」
「視界は"大きい"じゃなくて"広い"って言うんだよ」
キョトンとした彼の顔に、思わず笑いがこぼれる。
笑って、見つめ合って、また笑って。
その空気の中で、ふと彼の瞳の中に映る自分が近づいてくるのがわかった。
(……キス、されるかも)
そう思って、目を閉じた。
でも、次に感じたのは唇の温度じゃなく、
頭を包み込むような手と、ポンポンと叩かれる温もりだった。
「……?」
ゆっくり目を開けると、目の前で小さな子どもたちがこちらをガン見していた。
きょとんとしていた子たちに、夕が少し照れくさそうに笑って言う。
「見世物じゃねーからなぁ!」
そう言いながら、気づけば追いかけっこが始まっていた。
公園の広場を駆け回る夕と、キャッキャとはしゃぐ子どもたち。
私はベンチに座ったまま、笑いながら「頑張れー!」と声を上げた。
息を切らせて戻ってきた頃、
空にはオレンジ色が溶けて、遠くから『夕焼け小焼け』の音楽が流れた。
子どもたちは音に反応して、「もう帰るー!」と手を振って走っていった。
気づけばもう薄暗く、公園の街灯が灯り始めている。
夕は空を見上げて、「そろそろ帰るかっ!」と立ち上がった。
差し出された手を握る。
さっきまで走っていたせいか、手のひらがまだ熱い。
「一緒に走ればよかったな」って言うと、
夕は少しだけ眉を上げて、にやっと笑った。
「俺がいるのに、他のヤツ追うなよ」
あまりにも自然に言うから、
返事もできずに、ただ顔が熱くなった。
どうして冬の夕方って、こんなに早く暗くなるんだろう。
もう少し明るければ、このまま笑って歩けたのに。
街の灯りがぽつぽつと灯り始めて、
空気が夜に変わっていくたびに、離れるのが少しだけ寂しくなる。
「じゃあ、また明日なっ!」
繋いでいた手が離れる。
分かれ道で大きく手を振って、
それっきり振り向かずに帰っていく夕の背中。
その姿を見送りながら、
"もっと一緒にいたい"って言えなかった自分が少し情けなくて、
でも、彼の邪魔をしたくなくて。
ポケットの中で、夕からもらったピンクのストラップを握りしめた。
掌に残るその温もりが、
今日いちばん近かった"彼"みたいに思えて、
胸の奥が静かに痛んだ。
