西谷 高校生編 色々
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放課後。
空はどんよりと重たく、予報より早く降り出した雨が地面を叩いていた。
鞄から折りたたみ傘を取り出すけれど、風が思ったより強い。
小さな傘じゃ、守りきれそうもない。
(折りたたみじゃない傘、持ってくればよかったな……)
部活帰りでジャージのままだし、多少濡れてもいいと思っていたけど、
風邪をひくのは困る。
そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いていたそのとき――
「おーい! ○○ーっ!!」
バシャバシャと水を蹴りながら、西谷が駆けてくる。
ジャージはもうびしょ濡れ。
その顔には、いつもの明るい笑顔。
「どうした?」
「どうしたって! 夕! 傘は?」
「んなもん持ってきてねぇよ!」
あっけらかんと笑うその姿に、呆れと同時に胸が温かくなる。
一緒に入って、なんて言いたいけど――
私の折りたたみ傘は、さっきの風で骨が曲がってしまって、もう役に立たない。
「そんなゆっくり歩いてないでさ、走って帰ろうぜ! 雨に濡れるのも、たまにはおもしれぇだろ!」
そう言って、西谷は私の手を取った。
そのまま走り出す。
雨粒が頬に当たって、服が肌に張りつく。
息が上がって、笑いながら走る。
ただの帰り道なのに、胸がドキドキして、なんだか楽しくて仕方ない。
けれど、雨脚がさらに強まって、近くのバス停へ駆け込んだ。
「うわ、濡れて服重ぇ! でも、なんか楽しいな!」
笑いながら髪をかき上げる西谷。
濡れた前髪が額にはりついて、
いつもの快活な雰囲気より少し幼く見えた。
格好いいよりも、かわいい。
そんなことを思いながら見つめていたら――
彼が、ふいにそっぽを向いた。
(……なにか、悪いことしたかな)
胸の奥がきゅっとなる。
沈黙の間、彼は鞄をゴソゴソと漁って、
タオルと自分のジャージを差し出してきた。
「髪、濡れてるし。拭いておけよ」
「……あと、それ。Tシャツ白いから、羽織っておけ」
言われてハッとした。
濡れた服は肌に張りつき、
下着の柄まで透けていた。
一気に頬が熱くなる。
「……ありがと」
彼のジャージを羽織ると、袖が少し短くて、腕まくりしてごまかす。
生地からほのかに香るエアーサロンパスの匂い。
汗と雨と、彼の匂いが混ざって、胸の鼓動が落ち着かない。
そんな私を見て、西谷が首を傾げる。
「おい、顔赤いけど……大丈夫か?」
真っ直ぐに覗き込んでくる瞳。
近い距離に、息が詰まる。
言葉が出ないまま、視線だけをそらした。
外では、まだ雨が降り続いていた。
バス停の屋根を叩く音が、ふたりの沈黙を包み込む。
けれどその静けさが、不思議と心地よかった。
空はどんよりと重たく、予報より早く降り出した雨が地面を叩いていた。
鞄から折りたたみ傘を取り出すけれど、風が思ったより強い。
小さな傘じゃ、守りきれそうもない。
(折りたたみじゃない傘、持ってくればよかったな……)
部活帰りでジャージのままだし、多少濡れてもいいと思っていたけど、
風邪をひくのは困る。
そんなことを考えながら、とぼとぼと歩いていたそのとき――
「おーい! ○○ーっ!!」
バシャバシャと水を蹴りながら、西谷が駆けてくる。
ジャージはもうびしょ濡れ。
その顔には、いつもの明るい笑顔。
「どうした?」
「どうしたって! 夕! 傘は?」
「んなもん持ってきてねぇよ!」
あっけらかんと笑うその姿に、呆れと同時に胸が温かくなる。
一緒に入って、なんて言いたいけど――
私の折りたたみ傘は、さっきの風で骨が曲がってしまって、もう役に立たない。
「そんなゆっくり歩いてないでさ、走って帰ろうぜ! 雨に濡れるのも、たまにはおもしれぇだろ!」
そう言って、西谷は私の手を取った。
そのまま走り出す。
雨粒が頬に当たって、服が肌に張りつく。
息が上がって、笑いながら走る。
ただの帰り道なのに、胸がドキドキして、なんだか楽しくて仕方ない。
けれど、雨脚がさらに強まって、近くのバス停へ駆け込んだ。
「うわ、濡れて服重ぇ! でも、なんか楽しいな!」
笑いながら髪をかき上げる西谷。
濡れた前髪が額にはりついて、
いつもの快活な雰囲気より少し幼く見えた。
格好いいよりも、かわいい。
そんなことを思いながら見つめていたら――
彼が、ふいにそっぽを向いた。
(……なにか、悪いことしたかな)
胸の奥がきゅっとなる。
沈黙の間、彼は鞄をゴソゴソと漁って、
タオルと自分のジャージを差し出してきた。
「髪、濡れてるし。拭いておけよ」
「……あと、それ。Tシャツ白いから、羽織っておけ」
言われてハッとした。
濡れた服は肌に張りつき、
下着の柄まで透けていた。
一気に頬が熱くなる。
「……ありがと」
彼のジャージを羽織ると、袖が少し短くて、腕まくりしてごまかす。
生地からほのかに香るエアーサロンパスの匂い。
汗と雨と、彼の匂いが混ざって、胸の鼓動が落ち着かない。
そんな私を見て、西谷が首を傾げる。
「おい、顔赤いけど……大丈夫か?」
真っ直ぐに覗き込んでくる瞳。
近い距離に、息が詰まる。
言葉が出ないまま、視線だけをそらした。
外では、まだ雨が降り続いていた。
バス停の屋根を叩く音が、ふたりの沈黙を包み込む。
けれどその静けさが、不思議と心地よかった。
