心理テスト いたずら(烏野と……まだ考え中)
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高校の入学式。
同じクラスにいた男の子は、中学にはいなかったタイプだった。
色素の薄い髪に、やわらかい笑顔。
こちらが見惚れていると、気づいたように微笑みかけてきて──
その瞬間、誰よりも輝いて見えた。
泣きぼくろが、やけに印象的で。
私はその時、本気で思った。
王子様って、本当にいるんだって。
……そう。
過去形だ。
彼──菅原は、王子様から残念イケメンへと進化していた。
三年になってクラスが違う今も、
彼は変わらず騒がしい。
仲がいいらしい同じクラスの男子に話しかけ、
腹を抱えて笑っている。
王子様はそんなふうにケラケラ笑わない。
語尾に「だべ」なんてつけない。
一年の時だけ同じクラスだった私とは、
特別親しいわけでもない。
たまに声をかけられて、適当に相槌を打つ程度。
共通の話題も特にない。
……はずなのに。
なぜか三年になってから、
菅原はやたらと私にいたずらをしてくる。
困らせるような反応に迷うような、微妙な距離感のやつ。
正直、反応に困る。
そこまで仲良くないはずなのに、
顔面が良い男子にちょっかいを出されると、普通の女の子なら勘違いするでしょ。
まぁ、王子キャラから残念イケメンになった菅原に、私は眼中になさすぎて勘違いもしないけど。
休み時間。
菅原はまた私のクラスに来て、男子と話していた。
でも、ふと目が合った瞬間、当然みたいにこちらへ向かってくる。
「数学の授業ある? 教科書忘れてさ。貸してほしいんだけど」
さっき話してた友達に借りればいいのに。
そう思ったけど、反論するのも面倒でバッグから教科書を出した。
「六限にあるから、早めに返してね」
「ありがとねー」
軽い返事。
王子様なら教科書は二冊以上持ってる。
なんなら執事が届けに来そうなのに。
脳内でどうでもいい妄想ツッコミをしながら、私は席に戻った。
現実にはいない王子様。
でも少女漫画が好きな私は、ずっとその"いない存在"に憧れていた。
だからこそ、彼を見た時にときめいてしまったのに……。
六限目の開始ギリギリで、菅原は教科書を返しに来た。
「教科書ありがと。助かったわ」
「別に大丈夫」
そのまま去ると思ったのに、彼は言った。
「……苗字も、落書きするんだね」
その一言で、心臓が跳ねた。
嫌いな数学の授業中、ノートじゃなくて教科書に落書きしてたっけ。
言い返そうとして、でも言葉が出てこなくて。
ワタワタしている間に、菅原はもう自分のクラスに戻っていた。
授業が始まっても、気分は沈んだまま。
落書き……何描いてたっけ。
そっと教科書を開く。
グラフの横、空いているスペースに描かれていたのは──王子様。
『X、Y。難しいですね。数学嫌いでも、頑張ってください』
……終わった。
泣きぼくろ付きの王子様。
どう見ても、菅原に似てる。
次に会ったら、絶対揶揄われる。
授業は、全然頭に入ってこない。
ページをめくると、私が書いてない落書きがあった。
可愛いお姫様みたいな絵。
その横に、彼の字で。
『このお姫様は数学苦手かな?
王子様が、いつでも教えるよ。』
思わず、教科書を閉じた。
心臓が、バクバクしている。
いたずらだって分かってる。
分かってるのに胸の奥がぎゅっと痛い。
ずっと「残念イケメン王子」ってレッテル貼って、意識しないようにしてきたのに、これは無理。
恥ずかしくて教科書をパラパラとめくった。
まだ授業でまだやったてない先のページ。
開いた教科書の端の方に、小さく。
『高1の時から、ずっと俺は意識してた』
──息が、止まった。
いたずらだよね?
困らせるための、揶揄いだよね?
でも、教科書の中に残された彼の言葉は、
ずるいくらい、まっすぐで。
王子様なんて、いないと思ってたのに。
残念イケメンだと頑張って思いこもうとしてた。
その彼が、こんな言葉を書くなんて。
※※※※※※※※※
(菅原視点)
高校入学。
春とはいえ、まだ空気は冷たくて、
でも胸の奥はやたら熱かった。
バレーの強豪校。
公立だから部員は多すぎない。
──頑張れば、二年からでもレギュラーになれる。
ここから、俺はもっと強くなる。
そう思って教室に入った。
同じ中学の知っている顔。
初めて見る顔。
環境が変わると、不思議とやる気も湧いてくる。
知らない人と話すのも、思っていたより楽しかった。
そんな中、不意に視線を向けられた気がして、そちらを見る。
目が合ったのは、知らない女の子だった。
でも──
なぜだろう。
この子とは、仲良くなれる気がした。
────────
クラスにだいぶ打ち解けてきた頃、
あの時目が合った子に話しかけてみた。
……けど、あの時の印象とは少し違った。
仲良くなれそうだと思ったのに、どこか距離がある。
見られている気はするのに、話しかけると、なんだか少し楽しそうじゃない。
それが、妙に悔しかった。
周りと話している時は、あんなに楽しそうなのに。
俺が話題を振ると、反応がワンテンポ遅れる。
嫌われているわけじゃないと思う。
でもこの距離感のままじゃ、仲良くもなれない。
二年になって、クラスが変わった。
挨拶くらいはするけど、共通の友達もいなくなって、結局それ以上話せないまま過ごした。
三年になって、隣のクラス。
二年で仲良くなった友達がいたから、
用事を作って、頻繁に顔を出すようになった。
話せないけど、近くにいたくて。
一年の時は同じクラスで、話もしてた。
でも今は、共通の話題もない。
……話したい。
どう声をかけようか迷っていた時、
かがんでいる苗字のそばを通りながら、
頭の上にそっと手をかざして、
立ち上がるタイミングで、ぶつかるようにした。
頭に当たった手に、ムッとしたの苗字視線が俺を見る。
それだけで、自然と笑って、声をかけられた。
それが、嬉しかった。
一度そんなことをすると、
次は何をしようか、なんて考えてしまう。
話しかけられないジレンマと、
苗字の、いつもとは違う反応が見たくて。
そんなことが、何度か続いた。
朝練終わりの部室。
話題の中でもたつきながら着替えている旭を揶揄いつつ、ふと思って聞いてみた。
「旭ってさ、好きな子にいたずらとかしないの?」
旭は案の定ワタワタ考えるし、大地は「なんでそんなことを」って反応をする。
……俺の恋心なんて、分かんないよね。
次は苗字に、何のいたずらをしようかな。
いたずら、っていうより……
構ってほしいだけなんだけど。
忘れたふりをして、借りた教科書に落書きでもしてみようか。
そう思って教科書を借りた。
開いた彼女の教科書には、公式に引かれた線。
小さく書かれた「覚えられない」の文字。
そこには、苗字の考えていることがそのまま残っていて、見ているだけで、なんだか嬉しくなった。
ページをめくる。
落書き。
自分を鼓舞する言葉。
カボチャパンツの、王子様みたいな絵。
泣きぼくろがあって、
……どことなく、俺の似顔絵みたいで。
思わず、口元が緩んだ。
空いているスペースに、苗字の似顔絵を書く。
『数学が苦手なら、教えたい』
そう書いて、消す。
もう少し、揶揄うくらいの方がいいかな。
『このお姫様は数学苦手かな?
王子様が、いつでも教えるよ。』
……うん。
このくらいなら、苗字も「冗談やめてよ」って言うかな。
そう思って、少しだけにやけた。
でも……。
もう少しだけ。
ほんの少しだけでいいから、意識してほしい。
教科書の半分くらい進んだページの端に、
小さく書き添える。
『高1から、ずっと俺は意識してた』
今日じゃなくていい。
気づいた時でいい。
その時、
苗字が俺を意識してくれたら……。
同じクラスにいた男の子は、中学にはいなかったタイプだった。
色素の薄い髪に、やわらかい笑顔。
こちらが見惚れていると、気づいたように微笑みかけてきて──
その瞬間、誰よりも輝いて見えた。
泣きぼくろが、やけに印象的で。
私はその時、本気で思った。
王子様って、本当にいるんだって。
……そう。
過去形だ。
彼──菅原は、王子様から残念イケメンへと進化していた。
三年になってクラスが違う今も、
彼は変わらず騒がしい。
仲がいいらしい同じクラスの男子に話しかけ、
腹を抱えて笑っている。
王子様はそんなふうにケラケラ笑わない。
語尾に「だべ」なんてつけない。
一年の時だけ同じクラスだった私とは、
特別親しいわけでもない。
たまに声をかけられて、適当に相槌を打つ程度。
共通の話題も特にない。
……はずなのに。
なぜか三年になってから、
菅原はやたらと私にいたずらをしてくる。
困らせるような反応に迷うような、微妙な距離感のやつ。
正直、反応に困る。
そこまで仲良くないはずなのに、
顔面が良い男子にちょっかいを出されると、普通の女の子なら勘違いするでしょ。
まぁ、王子キャラから残念イケメンになった菅原に、私は眼中になさすぎて勘違いもしないけど。
休み時間。
菅原はまた私のクラスに来て、男子と話していた。
でも、ふと目が合った瞬間、当然みたいにこちらへ向かってくる。
「数学の授業ある? 教科書忘れてさ。貸してほしいんだけど」
さっき話してた友達に借りればいいのに。
そう思ったけど、反論するのも面倒でバッグから教科書を出した。
「六限にあるから、早めに返してね」
「ありがとねー」
軽い返事。
王子様なら教科書は二冊以上持ってる。
なんなら執事が届けに来そうなのに。
脳内でどうでもいい妄想ツッコミをしながら、私は席に戻った。
現実にはいない王子様。
でも少女漫画が好きな私は、ずっとその"いない存在"に憧れていた。
だからこそ、彼を見た時にときめいてしまったのに……。
六限目の開始ギリギリで、菅原は教科書を返しに来た。
「教科書ありがと。助かったわ」
「別に大丈夫」
そのまま去ると思ったのに、彼は言った。
「……苗字も、落書きするんだね」
その一言で、心臓が跳ねた。
嫌いな数学の授業中、ノートじゃなくて教科書に落書きしてたっけ。
言い返そうとして、でも言葉が出てこなくて。
ワタワタしている間に、菅原はもう自分のクラスに戻っていた。
授業が始まっても、気分は沈んだまま。
落書き……何描いてたっけ。
そっと教科書を開く。
グラフの横、空いているスペースに描かれていたのは──王子様。
『X、Y。難しいですね。数学嫌いでも、頑張ってください』
……終わった。
泣きぼくろ付きの王子様。
どう見ても、菅原に似てる。
次に会ったら、絶対揶揄われる。
授業は、全然頭に入ってこない。
ページをめくると、私が書いてない落書きがあった。
可愛いお姫様みたいな絵。
その横に、彼の字で。
『このお姫様は数学苦手かな?
王子様が、いつでも教えるよ。』
思わず、教科書を閉じた。
心臓が、バクバクしている。
いたずらだって分かってる。
分かってるのに胸の奥がぎゅっと痛い。
ずっと「残念イケメン王子」ってレッテル貼って、意識しないようにしてきたのに、これは無理。
恥ずかしくて教科書をパラパラとめくった。
まだ授業でまだやったてない先のページ。
開いた教科書の端の方に、小さく。
『高1の時から、ずっと俺は意識してた』
──息が、止まった。
いたずらだよね?
困らせるための、揶揄いだよね?
でも、教科書の中に残された彼の言葉は、
ずるいくらい、まっすぐで。
王子様なんて、いないと思ってたのに。
残念イケメンだと頑張って思いこもうとしてた。
その彼が、こんな言葉を書くなんて。
※※※※※※※※※
(菅原視点)
高校入学。
春とはいえ、まだ空気は冷たくて、
でも胸の奥はやたら熱かった。
バレーの強豪校。
公立だから部員は多すぎない。
──頑張れば、二年からでもレギュラーになれる。
ここから、俺はもっと強くなる。
そう思って教室に入った。
同じ中学の知っている顔。
初めて見る顔。
環境が変わると、不思議とやる気も湧いてくる。
知らない人と話すのも、思っていたより楽しかった。
そんな中、不意に視線を向けられた気がして、そちらを見る。
目が合ったのは、知らない女の子だった。
でも──
なぜだろう。
この子とは、仲良くなれる気がした。
────────
クラスにだいぶ打ち解けてきた頃、
あの時目が合った子に話しかけてみた。
……けど、あの時の印象とは少し違った。
仲良くなれそうだと思ったのに、どこか距離がある。
見られている気はするのに、話しかけると、なんだか少し楽しそうじゃない。
それが、妙に悔しかった。
周りと話している時は、あんなに楽しそうなのに。
俺が話題を振ると、反応がワンテンポ遅れる。
嫌われているわけじゃないと思う。
でもこの距離感のままじゃ、仲良くもなれない。
二年になって、クラスが変わった。
挨拶くらいはするけど、共通の友達もいなくなって、結局それ以上話せないまま過ごした。
三年になって、隣のクラス。
二年で仲良くなった友達がいたから、
用事を作って、頻繁に顔を出すようになった。
話せないけど、近くにいたくて。
一年の時は同じクラスで、話もしてた。
でも今は、共通の話題もない。
……話したい。
どう声をかけようか迷っていた時、
かがんでいる苗字のそばを通りながら、
頭の上にそっと手をかざして、
立ち上がるタイミングで、ぶつかるようにした。
頭に当たった手に、ムッとしたの苗字視線が俺を見る。
それだけで、自然と笑って、声をかけられた。
それが、嬉しかった。
一度そんなことをすると、
次は何をしようか、なんて考えてしまう。
話しかけられないジレンマと、
苗字の、いつもとは違う反応が見たくて。
そんなことが、何度か続いた。
朝練終わりの部室。
話題の中でもたつきながら着替えている旭を揶揄いつつ、ふと思って聞いてみた。
「旭ってさ、好きな子にいたずらとかしないの?」
旭は案の定ワタワタ考えるし、大地は「なんでそんなことを」って反応をする。
……俺の恋心なんて、分かんないよね。
次は苗字に、何のいたずらをしようかな。
いたずら、っていうより……
構ってほしいだけなんだけど。
忘れたふりをして、借りた教科書に落書きでもしてみようか。
そう思って教科書を借りた。
開いた彼女の教科書には、公式に引かれた線。
小さく書かれた「覚えられない」の文字。
そこには、苗字の考えていることがそのまま残っていて、見ているだけで、なんだか嬉しくなった。
ページをめくる。
落書き。
自分を鼓舞する言葉。
カボチャパンツの、王子様みたいな絵。
泣きぼくろがあって、
……どことなく、俺の似顔絵みたいで。
思わず、口元が緩んだ。
空いているスペースに、苗字の似顔絵を書く。
『数学が苦手なら、教えたい』
そう書いて、消す。
もう少し、揶揄うくらいの方がいいかな。
『このお姫様は数学苦手かな?
王子様が、いつでも教えるよ。』
……うん。
このくらいなら、苗字も「冗談やめてよ」って言うかな。
そう思って、少しだけにやけた。
でも……。
もう少しだけ。
ほんの少しだけでいいから、意識してほしい。
教科書の半分くらい進んだページの端に、
小さく書き添える。
『高1から、ずっと俺は意識してた』
今日じゃなくていい。
気づいた時でいい。
その時、
苗字が俺を意識してくれたら……。
