心理テスト 「寒い」と言ったら(烏野編)
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ガラガラ、と教室のドアが勢いよく開いた。
「苗字! やっぱりいた!」
大きな声が夜の教室に響く。
さっきまであんなに怖かったはずなのに、西谷が来た瞬間、空気が一気に明るくなった気がした。
「忘れ物して取りに来たの。西谷は?」
「俺? 苗字が歩いてるの見えたから、ダッシュで来た! 忘れ物かー。今まで何してた? 部活じゃないよな?」
図書室で勉強していたことを話しながら、廊下を歩いて昇降口へ向かう。
一人のときは怖くて長く感じた廊下も、階段も、西谷がいると全然怖くない。
……この人の前には、幽霊も出てこなさそう。
外に出ると、肌を刺すような夜風に思わず肩がすくむ。
隣を見ると、西谷は相変わらずニコニコして話している。
体温、高いのかな。
部活終わりだから?
校門を出て、下り坂を歩く。
それでもやっぱり寒くて、冷たくなったホッカイロをポケットに戻し、両手を口元に持っていって息を吹きかける。
少しだけ、まし。
でも手をさすらずにはいられない。
「寒いね。」
会話の流れで言っただけなのに、急に西谷が黙った。
気づくと、大きな目でじっと私の手を見ている。
どうしていいか分からずにいると──
急に、西谷が私の手を両手で包み込んだ。
「……っ」
咄嗟のことで、足が止まる。
「俺、体温高いみたいなんだけど。これで温まる?」
善意なのは分かる。
分かるけど……こんなことされたら、意識しない方が無理だ。
二人とも立ち止まったまま。
手を握られて、どうしていいか分からない。
「顔は赤いけど、まだ手は冷たいんだよなー。」
そう言って、私の手に息までかけてくる。
じっと手を見つめる西谷。
これは優しさ。
意識するな、意識するな……って頭では思ってるのに、全然言うことを聞かない。
「あの……西谷……」
「?」
「歩けない」
「あっ! 悪りぃ!」
慌てて両手を離してくれた、と思ったのに。
今度は片手で、自然に私の手を握って歩き出す。
……嫌じゃない。
嫌じゃないけど、心臓が忙しすぎる。
距離感、バグってませんか?
「西谷って……他の人にも、こんなことするの?」
思わず聞くと、西谷は二カッと笑った。
「苗字だけ!」
即答だった。
それだけで、心臓がもたない。
どういう意味なのか、聞きたいのに、聞けなくて。
一緒に歩いているのに、彼の顔をまともに見られないまま、私は帰り道を進んだ。
〈西谷視点〉
部活終わり。
さっさと帰ろうと思ってたのに、廊下を歩く苗字が目に入った。
一緒に帰れる。
そう思った瞬間、もう体が動いてた。
「ノヤさん、どこ行く? 帰らねーの?」
後ろから龍の声が聞こえて、走りながら返す。
「先帰れ! 俺はこれから教室行く!」
教室に着くと、苗字がびっくりした顔でこっちを見る。
その顔が、なんか可愛い。
この時間まで図書室で勉強してたって聞いて、すげーなって思った。
勉強苦手な俺からしたら、素直に尊敬だ。
普段あんまり話せないから、こうやって一緒に歩くのが楽しくて。
でも途中で苗字が手をさすりながら「寒い」って言った瞬間、視線がそっちに行く。
……俺は楽しかったけど。
苗字は本当は、寒かったんだ。
気づいたら、じっと見つめてた。
こんな近くで顔を見るの、初めてかもしれない。
目の中に、俺が映ってる。
──俺が俺を見てる。
思わず両手を握ったら、冷たさが伝わってきた。
こんなに寒かったんだ。
もっと暖かくしたくて、手を見つめる。
顔は赤いのに、手は全然冷たいまま。
声をかけられて、これじゃ歩けないって今さら気づく。
慌てて片手だけ握って、歩き出す。
……触りすぎないようにはしてるけど。
正直、もっと触りたい。
「他の人にも、こんなことするの?」
不意に聞かれて、考えるより先に答えてた。
「苗字だけ」
即答だった。
龍にもしないし、そもそも男にするのはキツい。
女子でも、こんなことするのは苗字だけだ。
歩きながら、ふと思う。
……そういえば。
「俺、苗字のこと好きだ。言うの忘れてた」
自分でも、タイミングとか考えてなかった。
思ったから言った、それだけ。
苗字の目が大きくなって、握ってた手が強張る。
その手を、逃げないようにぎゅっと握る。
「苗字。これから名前で呼びたいけど、嫌か?」
首を振るのを見て、自然と笑った。
「じゃ、○○! また学校でな!」
もう少し手を握っていたかったけど、離して歩き出す。
今日はいい日だった。
一緒に帰れたし、手も繋げた。
○○は寒いって言ってたけど、俺にはこのくらい寒い方がいいかもしれない。
腹は減ってる。今日の夕飯なんだろ。
走れば家まで二十分くらいだ。
……って思ったのに。
少し歩いて、やっぱり戻りたくなって、追いかけるみたいに走った。
「メアド教えて! 家着いたら連絡くれ! 暗いし心配だし。
あと、今日みたいに帰り遅いなら、一緒に帰ろうな!」
携帯を持つ○○の手が震えてる。
まだ寒いのかと思って、抱きしめたくなったけど。
……付き合ってないしな。
そう思って、ぐっと我慢した。
「苗字! やっぱりいた!」
大きな声が夜の教室に響く。
さっきまであんなに怖かったはずなのに、西谷が来た瞬間、空気が一気に明るくなった気がした。
「忘れ物して取りに来たの。西谷は?」
「俺? 苗字が歩いてるの見えたから、ダッシュで来た! 忘れ物かー。今まで何してた? 部活じゃないよな?」
図書室で勉強していたことを話しながら、廊下を歩いて昇降口へ向かう。
一人のときは怖くて長く感じた廊下も、階段も、西谷がいると全然怖くない。
……この人の前には、幽霊も出てこなさそう。
外に出ると、肌を刺すような夜風に思わず肩がすくむ。
隣を見ると、西谷は相変わらずニコニコして話している。
体温、高いのかな。
部活終わりだから?
校門を出て、下り坂を歩く。
それでもやっぱり寒くて、冷たくなったホッカイロをポケットに戻し、両手を口元に持っていって息を吹きかける。
少しだけ、まし。
でも手をさすらずにはいられない。
「寒いね。」
会話の流れで言っただけなのに、急に西谷が黙った。
気づくと、大きな目でじっと私の手を見ている。
どうしていいか分からずにいると──
急に、西谷が私の手を両手で包み込んだ。
「……っ」
咄嗟のことで、足が止まる。
「俺、体温高いみたいなんだけど。これで温まる?」
善意なのは分かる。
分かるけど……こんなことされたら、意識しない方が無理だ。
二人とも立ち止まったまま。
手を握られて、どうしていいか分からない。
「顔は赤いけど、まだ手は冷たいんだよなー。」
そう言って、私の手に息までかけてくる。
じっと手を見つめる西谷。
これは優しさ。
意識するな、意識するな……って頭では思ってるのに、全然言うことを聞かない。
「あの……西谷……」
「?」
「歩けない」
「あっ! 悪りぃ!」
慌てて両手を離してくれた、と思ったのに。
今度は片手で、自然に私の手を握って歩き出す。
……嫌じゃない。
嫌じゃないけど、心臓が忙しすぎる。
距離感、バグってませんか?
「西谷って……他の人にも、こんなことするの?」
思わず聞くと、西谷は二カッと笑った。
「苗字だけ!」
即答だった。
それだけで、心臓がもたない。
どういう意味なのか、聞きたいのに、聞けなくて。
一緒に歩いているのに、彼の顔をまともに見られないまま、私は帰り道を進んだ。
〈西谷視点〉
部活終わり。
さっさと帰ろうと思ってたのに、廊下を歩く苗字が目に入った。
一緒に帰れる。
そう思った瞬間、もう体が動いてた。
「ノヤさん、どこ行く? 帰らねーの?」
後ろから龍の声が聞こえて、走りながら返す。
「先帰れ! 俺はこれから教室行く!」
教室に着くと、苗字がびっくりした顔でこっちを見る。
その顔が、なんか可愛い。
この時間まで図書室で勉強してたって聞いて、すげーなって思った。
勉強苦手な俺からしたら、素直に尊敬だ。
普段あんまり話せないから、こうやって一緒に歩くのが楽しくて。
でも途中で苗字が手をさすりながら「寒い」って言った瞬間、視線がそっちに行く。
……俺は楽しかったけど。
苗字は本当は、寒かったんだ。
気づいたら、じっと見つめてた。
こんな近くで顔を見るの、初めてかもしれない。
目の中に、俺が映ってる。
──俺が俺を見てる。
思わず両手を握ったら、冷たさが伝わってきた。
こんなに寒かったんだ。
もっと暖かくしたくて、手を見つめる。
顔は赤いのに、手は全然冷たいまま。
声をかけられて、これじゃ歩けないって今さら気づく。
慌てて片手だけ握って、歩き出す。
……触りすぎないようにはしてるけど。
正直、もっと触りたい。
「他の人にも、こんなことするの?」
不意に聞かれて、考えるより先に答えてた。
「苗字だけ」
即答だった。
龍にもしないし、そもそも男にするのはキツい。
女子でも、こんなことするのは苗字だけだ。
歩きながら、ふと思う。
……そういえば。
「俺、苗字のこと好きだ。言うの忘れてた」
自分でも、タイミングとか考えてなかった。
思ったから言った、それだけ。
苗字の目が大きくなって、握ってた手が強張る。
その手を、逃げないようにぎゅっと握る。
「苗字。これから名前で呼びたいけど、嫌か?」
首を振るのを見て、自然と笑った。
「じゃ、○○! また学校でな!」
もう少し手を握っていたかったけど、離して歩き出す。
今日はいい日だった。
一緒に帰れたし、手も繋げた。
○○は寒いって言ってたけど、俺にはこのくらい寒い方がいいかもしれない。
腹は減ってる。今日の夕飯なんだろ。
走れば家まで二十分くらいだ。
……って思ったのに。
少し歩いて、やっぱり戻りたくなって、追いかけるみたいに走った。
「メアド教えて! 家着いたら連絡くれ! 暗いし心配だし。
あと、今日みたいに帰り遅いなら、一緒に帰ろうな!」
携帯を持つ○○の手が震えてる。
まだ寒いのかと思って、抱きしめたくなったけど。
……付き合ってないしな。
そう思って、ぐっと我慢した。
