心理テスト 「寒い」と言ったら(烏野編)
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昇降口まで来て、ようやく夜の学校から出られると思ったら、張りつめていた気持ちがふっと緩んだ。
靴に履き替えようと顔を上げたとき、目の前に人影があって、心臓が跳ねる。
「苗字さん」
聞き覚えのある声に、思わず息を吐いた。
「なんだ……山口くんか……」
口に出してから少し砕けすぎたかも、と思ったけれど、彼は少し首を傾げただけだった。
自習していて、帰る前に忘れ物を思い出して教室まで戻ったこと。
夜の学校が怖くて、昇降口で山口くんを見つけて安心したこと。
そんな話をすると、彼は小さく笑った。
「苗字さんは、俺だと思ってるけど……実は全然違う人だったらどうする?」
「……なにそれ! 怖い!」
無い無い、と言いながら笑う山口くん。
いつも優しいのに、こんな冗談を言うんだ、と少し意外だった。
バス停まで一緒に歩く時間は、教室で話すよりずっと砕けていて、楽しい。
優しいだけじゃなくて、ちょっと意地悪な冗談も言うんだな、なんて思いながら。
バスを待つ間、夜風が冷たくて、思わず両手をさすった。
「寒い……」
独り言のつもりだったのに。
「寒い? 大丈夫?」
急に慌てた声で、山口くんがこちらを見る。
「マフラー使う? あ、苗字さんも持ってるよね……えっと、ホッカイロ……あ、もう冷たいか」
マフラーを外そうとしたり、ポケットを探ったり。
さっきまで冗談を言っていた人とは思えないほど、真剣だ。
「寒いけど、山口くんも寒いでしょ?」
そう言うと、彼は頷いたけど、まだ探るような視線を向けてくる。
私はバッグからジャージを出そうとして、自然に彼にバッグを預けた。
ジャージを羽織って、コートを重ねる。
バッグを返してもらって「ちょっと暖かい」と言うと、なぜか山口くんは少し不満そうだった。
「……これも使って」
自分のマフラーがあるのに、山口くんのマフラーを首に巻かれる。
「これじゃ、モコモコすぎるよ」
笑って返そうとするけど、彼は首を振る。
「バスが来るまで、使ってよ。」
外そうとするたびに、巻き直される。
その攻防の途中で、彼の手が冷たいことに気づいた。
私はそっとマフラーを外して、彼の手に巻きつける。
ついでに、自分の手も一緒に。
「これなら……二人分の手が暖かくなるけど。バスが来るまでで、いい?」
「……うん」
バス停に人が増えるたび、冗談の延長線みたいにつないだ手が、だんだん恥ずかしくなってくる。
さっきまであんなに話していたのに、急に言葉が減って。
バスが来て、マフラーを外したあとも、どこかぎこちない。
(あれ……なんで、こんなに意識してるんだろ)
駅前で二人一緒にバスを降りる。
「じゃ、また明日」
「うん。明日」
それだけなのに、帰り道が妙に落ち着かない。
冬の冷たい夜風に当たりながら、胸の奥に残った違和感の正体が分からないまま、家へ向かった。
〈山口視点〉
部活が終わって、今日はそのまま帰ろうと思っていた。
でも、視界の端に苗字さんの姿が見えて、足が止まる。
気になって、気づいたら昇降口まで行っていた。
「なんだ、山口くんか……」
その言い方に、一瞬だけ、誰かを待っていたのかと思った。
でも、夜の学校が怖かっただけだと聞いて、胸の奥がゆるむ。
……可愛い、なんて思ってしまって。
同時に、少しだけからかいたくなった。
優しいだけじゃないところも、見せたいのに。
そういう気持ちがあるのに、どう出せばいいのか分からない。
冗談を言ったら、ちゃんと怖がってくれて、笑ってくれた。
それだけで、嬉しくなる自分がいる。
バス停で、苗字さんが「寒い」と呟いたとき、心臓が跳ねた。
「寒い? 大丈夫?」
そう聞いたのに、その先が出てこない。
マフラーはある。
ポケットにはホッカイロもある。
でも、どれも一瞬で差し出せるほど、スマートじゃなかった。
ホッカイロは、触ってみたらもう冷たくて。
余計に焦る。
結局、苗字さんは自分のジャージを着込んで、コートまで重ねていた。
……こういうとき、自然に動ける人が、モテる男なんだろうな。
何もできないままなのが悔しくて、
せめてと思ってマフラーを外し、苗字さんの首に巻こうとした。
でも、抵抗されて。
気づいたら、俺のマフラーは、俺と苗字さんの手をまとめる形になっていた。
手は繋いでいない。
でも、マフラー越しに、確かに触れている。
それだけで、意識しないでいろって方が無理だった。
バスが来て、定期を出すためにマフラーを外した。
なのに……
また、二人の手に巻きたい、なんて思ってしまう自分がいる。
変だよな。
そう思えば思うほど、会話はぎこちなくなった。
駅前で別れ際に言葉を交わしたあとも、普段どおりに振る舞えなかった。
俺の気持ち、バレてたらどうしよう。
そんなことばかり考えながら、
家までの道を歩いた。
靴に履き替えようと顔を上げたとき、目の前に人影があって、心臓が跳ねる。
「苗字さん」
聞き覚えのある声に、思わず息を吐いた。
「なんだ……山口くんか……」
口に出してから少し砕けすぎたかも、と思ったけれど、彼は少し首を傾げただけだった。
自習していて、帰る前に忘れ物を思い出して教室まで戻ったこと。
夜の学校が怖くて、昇降口で山口くんを見つけて安心したこと。
そんな話をすると、彼は小さく笑った。
「苗字さんは、俺だと思ってるけど……実は全然違う人だったらどうする?」
「……なにそれ! 怖い!」
無い無い、と言いながら笑う山口くん。
いつも優しいのに、こんな冗談を言うんだ、と少し意外だった。
バス停まで一緒に歩く時間は、教室で話すよりずっと砕けていて、楽しい。
優しいだけじゃなくて、ちょっと意地悪な冗談も言うんだな、なんて思いながら。
バスを待つ間、夜風が冷たくて、思わず両手をさすった。
「寒い……」
独り言のつもりだったのに。
「寒い? 大丈夫?」
急に慌てた声で、山口くんがこちらを見る。
「マフラー使う? あ、苗字さんも持ってるよね……えっと、ホッカイロ……あ、もう冷たいか」
マフラーを外そうとしたり、ポケットを探ったり。
さっきまで冗談を言っていた人とは思えないほど、真剣だ。
「寒いけど、山口くんも寒いでしょ?」
そう言うと、彼は頷いたけど、まだ探るような視線を向けてくる。
私はバッグからジャージを出そうとして、自然に彼にバッグを預けた。
ジャージを羽織って、コートを重ねる。
バッグを返してもらって「ちょっと暖かい」と言うと、なぜか山口くんは少し不満そうだった。
「……これも使って」
自分のマフラーがあるのに、山口くんのマフラーを首に巻かれる。
「これじゃ、モコモコすぎるよ」
笑って返そうとするけど、彼は首を振る。
「バスが来るまで、使ってよ。」
外そうとするたびに、巻き直される。
その攻防の途中で、彼の手が冷たいことに気づいた。
私はそっとマフラーを外して、彼の手に巻きつける。
ついでに、自分の手も一緒に。
「これなら……二人分の手が暖かくなるけど。バスが来るまでで、いい?」
「……うん」
バス停に人が増えるたび、冗談の延長線みたいにつないだ手が、だんだん恥ずかしくなってくる。
さっきまであんなに話していたのに、急に言葉が減って。
バスが来て、マフラーを外したあとも、どこかぎこちない。
(あれ……なんで、こんなに意識してるんだろ)
駅前で二人一緒にバスを降りる。
「じゃ、また明日」
「うん。明日」
それだけなのに、帰り道が妙に落ち着かない。
冬の冷たい夜風に当たりながら、胸の奥に残った違和感の正体が分からないまま、家へ向かった。
〈山口視点〉
部活が終わって、今日はそのまま帰ろうと思っていた。
でも、視界の端に苗字さんの姿が見えて、足が止まる。
気になって、気づいたら昇降口まで行っていた。
「なんだ、山口くんか……」
その言い方に、一瞬だけ、誰かを待っていたのかと思った。
でも、夜の学校が怖かっただけだと聞いて、胸の奥がゆるむ。
……可愛い、なんて思ってしまって。
同時に、少しだけからかいたくなった。
優しいだけじゃないところも、見せたいのに。
そういう気持ちがあるのに、どう出せばいいのか分からない。
冗談を言ったら、ちゃんと怖がってくれて、笑ってくれた。
それだけで、嬉しくなる自分がいる。
バス停で、苗字さんが「寒い」と呟いたとき、心臓が跳ねた。
「寒い? 大丈夫?」
そう聞いたのに、その先が出てこない。
マフラーはある。
ポケットにはホッカイロもある。
でも、どれも一瞬で差し出せるほど、スマートじゃなかった。
ホッカイロは、触ってみたらもう冷たくて。
余計に焦る。
結局、苗字さんは自分のジャージを着込んで、コートまで重ねていた。
……こういうとき、自然に動ける人が、モテる男なんだろうな。
何もできないままなのが悔しくて、
せめてと思ってマフラーを外し、苗字さんの首に巻こうとした。
でも、抵抗されて。
気づいたら、俺のマフラーは、俺と苗字さんの手をまとめる形になっていた。
手は繋いでいない。
でも、マフラー越しに、確かに触れている。
それだけで、意識しないでいろって方が無理だった。
バスが来て、定期を出すためにマフラーを外した。
なのに……
また、二人の手に巻きたい、なんて思ってしまう自分がいる。
変だよな。
そう思えば思うほど、会話はぎこちなくなった。
駅前で別れ際に言葉を交わしたあとも、普段どおりに振る舞えなかった。
俺の気持ち、バレてたらどうしよう。
そんなことばかり考えながら、
家までの道を歩いた。
