心理テスト Xmasプレゼント (青葉城西)
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《岩泉編》
部活終わり、吐く息が白い。
あと少しで冬休みになるってのに、やることは変わらない。コートの隅っこで全体メニューの反省をして、──いつもと何も変わらないはずだった。
なのに。
「ねぇ 一緒に帰ろ!」
その声が校庭に響いて、俺は思わず足を止めた。
部のみんなでラーメンでも行こうかって、ついさっきまで考えてたのに。
正直、"面倒くせぇ"と思った。
面識なんてほとんどない。クラスも違う。
─────────
制服が夏服に変わるぐらいの時期。
「岩泉くん!」
振り返ると、クラスも違う女子がこっちに走ってきて、息を整えながら立っていた。
名前は……正直よく知らない。
「ちょっとだけ、いい?」
急だ。
でも拒む理由もなくて、俺は立ち止まった。
彼女は深呼吸して、けれど目だけは逃げずに俺を見た。
「私、岩泉くんのこと好きになっちゃって……。でも、いきなり付き合ってって言うつもりはないんだ。岩泉くん、部活最優先なの知ってるし」
唐突すぎる。
だけど、言葉は妙に落ち着いてて、冗談には見えなかった。
「……悪いけど。好きとか言われても、俺、お前のこと知らねぇし。
部活あるし、そういうの無理だ」
できるだけ丁寧に断ったつもりだった。
でも彼女はうなずきながら、なぜか嬉しそうに息をついた。
「うん、知ってる。
でも……嫌いって言わなかったよね?」
一瞬返事に詰まった俺の反応を見逃さない。
「好きな人ができるまでの仮のポジションって言うと変だけどさ……
その場所、今空いてるよね?」
「……お前のこと知らねぇって言っただろ」
「じゃあ、知り合おうよ。友達だけど、私だけが一方的に好意持ってる状態ってことでさ。
岩泉くんは何もしなくていいの。
迷惑だけは絶対かけないから」
押しが強い、ってレベルじゃない。
ただ俺には、この手の話を器用に断る方法がない。
「……付き合うとか、そういうのはわからねぇし。部活が最優先なのは変わらねぇし」
「うん。それ! ちゃんと言ってくれてありがとう!
私が嫌なわけじゃないってことだよね?
どう? 知らない人から友達になる関係性も楽しいでしょ? ね? どう?」
「いや、そういう言い方……」
「まずは連絡先交換しよ。そこからでいいから!」
丸め込まれてる、完全に。
そう思いながらも、彼女のペースを乱されて、気づけばスマホを出していた。
決して嫌じゃない。
ただ、どうしても口では勝てない。
「ありがとう!無理に近づいたりしないし、岩泉くんの都合に合わせるから」
─────────
それからずっとあいつは、「今日もかっこいいね」とか、「メールしても返事いらないからね」なんて軽く言って、俺の隙間に入り込んでくる。
俺はただ、部活を最優先。
「みんなとラーメン食うから」
そう言うと、あいつはいつもみたいに笑って手を振った。
「そっか。じゃあまたね!また声かけるから」
深く考えてなさそうに見えるくせに、言葉の押しが強すぎて断り切れない。
俺はただ短く返した。
「岩ちゃんあれはないよー。待ってたんだし付き合えばいいのに〜」うるせぇ、及川。
「俺もファン欲しい」と花巻。
松川まで「しっかり振らないと相手も切り替えられないのにね」とか言ってくる。
ファンでもないし、恋人でもない。
俺はそういう関係じゃないって、ちゃんと言った。
……言ったはずなのに。
ラーメン屋の湯気の向こうで、みんなの声が遠くなる。
気づけば花巻が急にテーブルに突っ伏した。
「Xmasのネオンがキツイ!試合中も彼女から応援されたい!」
なんだそりゃ。
及川はすかさず恋愛指南を始めるし、松川は余裕の笑みで聞き役。
意味わかんねぇ。俺には関係ねぇだろ。
冬休みが始まっても部活は続いた。
ある日、校門に向かうと──またあいつがいた。
「今日はこれ渡すだけだから」
淡い色の紙袋を押しつけるみたいに渡してきて、
「じゃーまたねー!」
いつもの調子で走っていった。
「Xmasプレゼント?」
背後から部員の声。うるさい。
袋を開けると、タオルとメッセージカード。
《おつかれさま。風邪ひかないでね》
タオルは消耗品だし、そのうち使う。
気負うような贈り物じゃなかったのに……。
「岩ちゃんのお返しは?」
及川の声に固まった。
「はぁ? お返し?」
「そっからか〜」
そうか。受け取ったら返すものなのか。
そんなルール知らねぇよ。
でも、あいつが寒い中毎回立ってたのを思い出した。
俺はただ、突き放すこともできなかっただけなのに。
だから、気づけばデパートにいた。
及川に引きずられて。
「マフラーとかいいんじゃない?」
その言葉で、ふと浮かんだ。
あいつの手。
赤い指先。
「お疲れ様!今日も寒いね」と笑う口元。
校門でひとり立ってる姿。
……やけに気になってた理由を、今さら自覚するのが腹立たしい。
悩んだ結果──
なんとなくピンクを選んだ。
女はピンクが好きだろ、って雑な理由を盾にして。
年末、最後の練習。
俺が校門へ向かうと、やっぱりあいつはいた。
「これ……」
鞄からくしゃくしゃになった袋を出す。
何故か5日置きで来る苗字にいつでも渡せるように突っ込んでた袋。
なのに、あいつは袋を見つめて動かない。
「……Xmasプレゼントのお返し?」
「嬉しいー!!!」
次の瞬間、苗字の目からぽたぽた涙が落ちた。
笑ってるのに、泣いてる。
どうしていいかわかんなくて、雑にジャージの袖で顔を拭いた。
「痛っ……痛いってば、岩泉くん……!」
それでも笑ってて、
泣きやませられない自分が情けなくて、
なんで泣いてんだか理由がわかんなくて。
背後から部員の声が聞こえる。
「女の子泣かせてる〜!」
「うっわ……アオハル……」
「ジャージで顔拭くのゴリラかよ」
全部無視した。
「……一緒に帰るか」
「いいの?」
「ああ」
そっと渡した袋を開ける音がした。
ピンクのマフラー。
ふわふわしてて、似合うと思ったのに。
「これ…私に? ……選んでくれたの?」
「女はピンク好きだろ」
「……ピンクより青が好きだけど…」
「……悪ぃ。……似合いそうだったから」
「……似合いそう?」
「あー…明るい感じとか」
それだけ言うのに、なんでこんなに胸がざわつくんだか。
帰り道、あいつはマフラーを首に巻いて、
何度も指先で触っていた。
それがなんか──変に嬉しくて。
帰り道、一方的に話す苗字の隣で相変わらず短い返事を繰り返すしかできなかった。
部活終わり、吐く息が白い。
あと少しで冬休みになるってのに、やることは変わらない。コートの隅っこで全体メニューの反省をして、──いつもと何も変わらないはずだった。
なのに。
「ねぇ 一緒に帰ろ!」
その声が校庭に響いて、俺は思わず足を止めた。
部のみんなでラーメンでも行こうかって、ついさっきまで考えてたのに。
正直、"面倒くせぇ"と思った。
面識なんてほとんどない。クラスも違う。
─────────
制服が夏服に変わるぐらいの時期。
「岩泉くん!」
振り返ると、クラスも違う女子がこっちに走ってきて、息を整えながら立っていた。
名前は……正直よく知らない。
「ちょっとだけ、いい?」
急だ。
でも拒む理由もなくて、俺は立ち止まった。
彼女は深呼吸して、けれど目だけは逃げずに俺を見た。
「私、岩泉くんのこと好きになっちゃって……。でも、いきなり付き合ってって言うつもりはないんだ。岩泉くん、部活最優先なの知ってるし」
唐突すぎる。
だけど、言葉は妙に落ち着いてて、冗談には見えなかった。
「……悪いけど。好きとか言われても、俺、お前のこと知らねぇし。
部活あるし、そういうの無理だ」
できるだけ丁寧に断ったつもりだった。
でも彼女はうなずきながら、なぜか嬉しそうに息をついた。
「うん、知ってる。
でも……嫌いって言わなかったよね?」
一瞬返事に詰まった俺の反応を見逃さない。
「好きな人ができるまでの仮のポジションって言うと変だけどさ……
その場所、今空いてるよね?」
「……お前のこと知らねぇって言っただろ」
「じゃあ、知り合おうよ。友達だけど、私だけが一方的に好意持ってる状態ってことでさ。
岩泉くんは何もしなくていいの。
迷惑だけは絶対かけないから」
押しが強い、ってレベルじゃない。
ただ俺には、この手の話を器用に断る方法がない。
「……付き合うとか、そういうのはわからねぇし。部活が最優先なのは変わらねぇし」
「うん。それ! ちゃんと言ってくれてありがとう!
私が嫌なわけじゃないってことだよね?
どう? 知らない人から友達になる関係性も楽しいでしょ? ね? どう?」
「いや、そういう言い方……」
「まずは連絡先交換しよ。そこからでいいから!」
丸め込まれてる、完全に。
そう思いながらも、彼女のペースを乱されて、気づけばスマホを出していた。
決して嫌じゃない。
ただ、どうしても口では勝てない。
「ありがとう!無理に近づいたりしないし、岩泉くんの都合に合わせるから」
─────────
それからずっとあいつは、「今日もかっこいいね」とか、「メールしても返事いらないからね」なんて軽く言って、俺の隙間に入り込んでくる。
俺はただ、部活を最優先。
「みんなとラーメン食うから」
そう言うと、あいつはいつもみたいに笑って手を振った。
「そっか。じゃあまたね!また声かけるから」
深く考えてなさそうに見えるくせに、言葉の押しが強すぎて断り切れない。
俺はただ短く返した。
「岩ちゃんあれはないよー。待ってたんだし付き合えばいいのに〜」うるせぇ、及川。
「俺もファン欲しい」と花巻。
松川まで「しっかり振らないと相手も切り替えられないのにね」とか言ってくる。
ファンでもないし、恋人でもない。
俺はそういう関係じゃないって、ちゃんと言った。
……言ったはずなのに。
ラーメン屋の湯気の向こうで、みんなの声が遠くなる。
気づけば花巻が急にテーブルに突っ伏した。
「Xmasのネオンがキツイ!試合中も彼女から応援されたい!」
なんだそりゃ。
及川はすかさず恋愛指南を始めるし、松川は余裕の笑みで聞き役。
意味わかんねぇ。俺には関係ねぇだろ。
冬休みが始まっても部活は続いた。
ある日、校門に向かうと──またあいつがいた。
「今日はこれ渡すだけだから」
淡い色の紙袋を押しつけるみたいに渡してきて、
「じゃーまたねー!」
いつもの調子で走っていった。
「Xmasプレゼント?」
背後から部員の声。うるさい。
袋を開けると、タオルとメッセージカード。
《おつかれさま。風邪ひかないでね》
タオルは消耗品だし、そのうち使う。
気負うような贈り物じゃなかったのに……。
「岩ちゃんのお返しは?」
及川の声に固まった。
「はぁ? お返し?」
「そっからか〜」
そうか。受け取ったら返すものなのか。
そんなルール知らねぇよ。
でも、あいつが寒い中毎回立ってたのを思い出した。
俺はただ、突き放すこともできなかっただけなのに。
だから、気づけばデパートにいた。
及川に引きずられて。
「マフラーとかいいんじゃない?」
その言葉で、ふと浮かんだ。
あいつの手。
赤い指先。
「お疲れ様!今日も寒いね」と笑う口元。
校門でひとり立ってる姿。
……やけに気になってた理由を、今さら自覚するのが腹立たしい。
悩んだ結果──
なんとなくピンクを選んだ。
女はピンクが好きだろ、って雑な理由を盾にして。
年末、最後の練習。
俺が校門へ向かうと、やっぱりあいつはいた。
「これ……」
鞄からくしゃくしゃになった袋を出す。
何故か5日置きで来る苗字にいつでも渡せるように突っ込んでた袋。
なのに、あいつは袋を見つめて動かない。
「……Xmasプレゼントのお返し?」
「嬉しいー!!!」
次の瞬間、苗字の目からぽたぽた涙が落ちた。
笑ってるのに、泣いてる。
どうしていいかわかんなくて、雑にジャージの袖で顔を拭いた。
「痛っ……痛いってば、岩泉くん……!」
それでも笑ってて、
泣きやませられない自分が情けなくて、
なんで泣いてんだか理由がわかんなくて。
背後から部員の声が聞こえる。
「女の子泣かせてる〜!」
「うっわ……アオハル……」
「ジャージで顔拭くのゴリラかよ」
全部無視した。
「……一緒に帰るか」
「いいの?」
「ああ」
そっと渡した袋を開ける音がした。
ピンクのマフラー。
ふわふわしてて、似合うと思ったのに。
「これ…私に? ……選んでくれたの?」
「女はピンク好きだろ」
「……ピンクより青が好きだけど…」
「……悪ぃ。……似合いそうだったから」
「……似合いそう?」
「あー…明るい感じとか」
それだけ言うのに、なんでこんなに胸がざわつくんだか。
帰り道、あいつはマフラーを首に巻いて、
何度も指先で触っていた。
それがなんか──変に嬉しくて。
帰り道、一方的に話す苗字の隣で相変わらず短い返事を繰り返すしかできなかった。
