西谷 高校生編 色々
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春高を目前に控えた冬。
部活の練習は追い込みの時期で、どの部も熱気に包まれていた。
クリスマスといっても、会える時間はほんの少し。
それでも彼に会いたくて、プレゼントだけはちゃんと選んでおいた。
女子バレー部は今日は早めに終わり。
部室の鍵を預かって、夕からの連絡を待つ。
『終わった! 今どこ?』
『部室☺ これから校門に行くから慌てないでね』
メッセージを送り、鍵をかけようとしたところで背後から声がした。
「待った?」
振り返ると、額にうっすら汗を残した夕が息を弾ませていた。
急いで来てくれたのが分かって、思わずバッグからタオルを出す。
「お疲れ。まだ使ってない綺麗なタオルだから」
「使ってても気にしねえけど、ありがとな」
拭いた後のタオルをしまおうとした手を、ふいに握られる。
彼の手があたたかくて、思わず笑ってしまう。
「手、冷た!」
「夕の手が暖かいんだよ」
まだ学校の敷地内。
手をつなぐには少し勇気がいったけど、彼の自然な笑顔に照れずにいられた。
***
「寄り道したいんだけど、時間ある?」
頷くと、繋いだ手を大きく振って歩き出す夕。
いつもは寄らないコンビニに入り、「待ってろ」と言い残して店内へ。
少しして戻ってきた彼の手には、小さな袋がいくつも。
「何か買いたかったの?」
「まあな。あとでわかる!」
笑って答えをはぐらかすその顔が、少しだけ子どもみたいだった。
公園に着くと、いつもの場所ではなく屋根付きの東屋へ。
「寒いだろ」と言って、ベンチにタオルを敷いてくれる。
そんなさりげない優しさが、心の奥まであたためていく。
「チキンもケーキもラスイチだったから一個ずつ! でも肉まんは二個な!」
テーブルに並べられたコンビニ袋の中身は、チキン、ケーキ、肉まん、そしてコーラ。
「クリスマスっぽい! ありがとう、嬉しい!」
「あと、これ」
そう言って、白いマフラーを私の首にふわりとかけてくれた。
慌ててカバンを探り、用意していたイヤーマフを差し出す。
「耳あったけー!」
(帽子と迷ったけど、夕の髪型隠したくなかったから)
心の中でそう呟くけど、言葉にはできなかった。
「メリークリスマス!」
二人でコーラを掲げて、乾杯した。
***
チキンをどう分ければいいのか分からず戸惑っていると、夕が差し出してくる。
「はい」
「……私、先に食べていいの?」
「いいよ」
恐る恐る一口かじると、彼は手を引かないままにこちらを見る。
「夕も食べて」と言うと、彼は少し不満そうに齧りつき、そのまままた差し出してきた。
どちらからともなく笑いあって、
「うまい?」
「美味しい」
「一個しか買えなくてごめん」
「気にしないよ」
そう言って、もう一口。
あたたかい肉まんの湯気と、彼の手の温もりが一緒に伝わってくる。
「うまかったー。でも、まだ足んねぇな」
「家に帰ったらごちそうが待ってるでしょ?」
「今はまだ、一緒にいたい」
その言葉に頷くと、彼はそっと手を引き寄せて抱きしめた。
首に触れる彼の髪がくすぐったくて、でも嬉しい。
「夕の髪、チクチクしてこそばゆい」
「これなら、くすぐったくねぇかな?」
そう言って彼は立ち上がり、今度は後ろから抱きしめてくる。
顔が見えない分だけ、甘えたくなって、彼の腕にしがみついた。
「○○の髪、やわらかいな」
そう言いながら、髪を梳く手が優しい。
おでこに落ちた唇の感触が、胸の奥まで響いた。
それはほんの一瞬の出来事で、
冷たい夜気の中で感じたあたたかさと、
甘いケーキの味が混ざって、
高2のクリスマスは静かに、忘れられない夜になった。
部活の練習は追い込みの時期で、どの部も熱気に包まれていた。
クリスマスといっても、会える時間はほんの少し。
それでも彼に会いたくて、プレゼントだけはちゃんと選んでおいた。
女子バレー部は今日は早めに終わり。
部室の鍵を預かって、夕からの連絡を待つ。
『終わった! 今どこ?』
『部室☺ これから校門に行くから慌てないでね』
メッセージを送り、鍵をかけようとしたところで背後から声がした。
「待った?」
振り返ると、額にうっすら汗を残した夕が息を弾ませていた。
急いで来てくれたのが分かって、思わずバッグからタオルを出す。
「お疲れ。まだ使ってない綺麗なタオルだから」
「使ってても気にしねえけど、ありがとな」
拭いた後のタオルをしまおうとした手を、ふいに握られる。
彼の手があたたかくて、思わず笑ってしまう。
「手、冷た!」
「夕の手が暖かいんだよ」
まだ学校の敷地内。
手をつなぐには少し勇気がいったけど、彼の自然な笑顔に照れずにいられた。
***
「寄り道したいんだけど、時間ある?」
頷くと、繋いだ手を大きく振って歩き出す夕。
いつもは寄らないコンビニに入り、「待ってろ」と言い残して店内へ。
少しして戻ってきた彼の手には、小さな袋がいくつも。
「何か買いたかったの?」
「まあな。あとでわかる!」
笑って答えをはぐらかすその顔が、少しだけ子どもみたいだった。
公園に着くと、いつもの場所ではなく屋根付きの東屋へ。
「寒いだろ」と言って、ベンチにタオルを敷いてくれる。
そんなさりげない優しさが、心の奥まであたためていく。
「チキンもケーキもラスイチだったから一個ずつ! でも肉まんは二個な!」
テーブルに並べられたコンビニ袋の中身は、チキン、ケーキ、肉まん、そしてコーラ。
「クリスマスっぽい! ありがとう、嬉しい!」
「あと、これ」
そう言って、白いマフラーを私の首にふわりとかけてくれた。
慌ててカバンを探り、用意していたイヤーマフを差し出す。
「耳あったけー!」
(帽子と迷ったけど、夕の髪型隠したくなかったから)
心の中でそう呟くけど、言葉にはできなかった。
「メリークリスマス!」
二人でコーラを掲げて、乾杯した。
***
チキンをどう分ければいいのか分からず戸惑っていると、夕が差し出してくる。
「はい」
「……私、先に食べていいの?」
「いいよ」
恐る恐る一口かじると、彼は手を引かないままにこちらを見る。
「夕も食べて」と言うと、彼は少し不満そうに齧りつき、そのまままた差し出してきた。
どちらからともなく笑いあって、
「うまい?」
「美味しい」
「一個しか買えなくてごめん」
「気にしないよ」
そう言って、もう一口。
あたたかい肉まんの湯気と、彼の手の温もりが一緒に伝わってくる。
「うまかったー。でも、まだ足んねぇな」
「家に帰ったらごちそうが待ってるでしょ?」
「今はまだ、一緒にいたい」
その言葉に頷くと、彼はそっと手を引き寄せて抱きしめた。
首に触れる彼の髪がくすぐったくて、でも嬉しい。
「夕の髪、チクチクしてこそばゆい」
「これなら、くすぐったくねぇかな?」
そう言って彼は立ち上がり、今度は後ろから抱きしめてくる。
顔が見えない分だけ、甘えたくなって、彼の腕にしがみついた。
「○○の髪、やわらかいな」
そう言いながら、髪を梳く手が優しい。
おでこに落ちた唇の感触が、胸の奥まで響いた。
それはほんの一瞬の出来事で、
冷たい夜気の中で感じたあたたかさと、
甘いケーキの味が混ざって、
高2のクリスマスは静かに、忘れられない夜になった。
