5 冬
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文化祭で日向くんに絡んできた人に連絡先なんて教えるはずもなく、その場はなんとなく笑って流した。
そのあとも日向くんと一緒に文化祭を回った。
気になってる人同士で消えていった友達とは違って、私たちはあぶれた二人組。
それでも楽しかった。
文化祭の準備期間、台詞合わせに付き合ってくれたり、練習中も気にかけてくれたり。
クラスメートから、ちゃんと友達になれた感じがして。
今までも日向くんとは話してはいた。
でもこんなに一対一で話したことはなかったから知らないことがいっぱいあった。
バレー部だって知ってた。
でも日向くんは部活が好きっていうより、バレーが好きなんだって話してるとわかる。
文化祭を回ってる時も楽しそうだったけど、バレーの話をしてる時が一番キラキラしてた。
好きっていう気持ちの原動力ってすごい。
「バレー好きなんだね」そう言ったら、
「うん!」って、迷いなく返ってきた。
なんかその返事が眩しかった。
だから日向くんがバレーしてるところ見てみたいって思った。
日向くんと私の身長はそんなに変わらない。
「試合とか出てるの?」
「レギュラーだよ!」
「えっ?」
「春高出るから見て!」とまで言われた。
春高って、私でも知ってる。
全国大会だ。
すごい。
少し前、ホームルームで「男子バレー部、春高出場します」って先生が話してたけど、まさかクラスメートがレギュラーだなんて思わなくて普通に流して聞いてた。
文化祭が終わって、季節は冬。
どんどん寒くなる。
ソフトボール部は雪でグラウンドが使えなくなって、体育館練習が増えた。そのせいでバレー部の練習を見る機会も増えた。
そこでわかった。
——バレー部は本気だ。
熱量が違う。
声。空気。練習の密度。
全国に行く部活って、こうなんだ。
ある日、部活終わりに自主練で残ってるバレー部が気になって、なんとなく体育館の近くに残った。
別に理由なんてない。
……いや、あるけど。
その時。
「日向オープン!」
目線を向けた瞬間、日向くんが飛んだ。
本当に飛んだ。
身長なんて関係ないみたいに、高いブロックの上から叩き込むみたいに。
──羽ある?
って、本気で思った。
ジャンプっていうより、空中にいた。
息をするのを忘れるくらい、目を奪われた。
練習が終わって帰ろうとすると、「見てたよね?」って日向くんが走ってきた。
「なんか今日、いつもより飛べた気がした!」
汗だくで、でもすごく嬉しそうで。
見てたことがちょっと恥ずかしかった。
でも。
「……すごかった」
それだけはちゃんと伝えたかった。
その日は一緒に帰った。
春高。
本当は現地で見たかった。
でも大会場所が東京だから家でテレビ観戦。
試合前に送った「頑張って」のメール。
返ってきたのは。
『観ててくれるってわかったら頑張れる』だった。
嬉しい。
でも悔しい。
私、声大きいのに。
絶対会場いたら応援届いたのに。
試合はどんどん進んで、テレビでも話題になって、近所の人もママも、「すごかったね!」って言う。
でも、私は同じテンションで喜べなかった。
大事な場面で、日向くんがコートを抜けたから。
あのままいたら違ったかもしれない。
でも体調なんてどうにもならない。
一番悔しいのは、ずっと頑張ってきた本人だ。
だから何を言えばいいかわからなかった。
試合前と試合後は「頑張ってね」「おめでとう」そういうメールは送れてた。
でも、負けてから。
途中退場してから。
そのあとだけ、送れなかった。
そんな時、届いたメール。
『また次頑張るから、また応援してほしい』
その文章を見て、胸がぎゅっとなった。
私から何か言いたかったのに送れなかった。
送られて来たメールに何を打っても違う気がして、気づけば画面を閉じてしまった。
三学期。
教室に入ると、日向くんの周りには人だかりができていた。
「テレビ見た!」
「すごかったね!」
「スタメンだったね!」
色んな声が飛び交ってる。
その輪に入れなくて、私はそっと自分の席に座った。
なんて声をかければいいかわからなかった。
朝のHRが終わって、授業の準備をしていると。
「苗字さん」
顔を上げる。
日向くんが、私の席の前に立っていた。
「応援ありがとう」
その瞬間、目の前が滲んだ。
やばい。
泣きたくない。
なのに涙が勝手に出る。
「日向くん頑張ってたのに……っ」
言葉がぐちゃぐちゃになる。
「応援、行きたかったのに……」
自分でも何言ってるかわからない。
悔しいのは日向くんなのに。
なんで私が泣いてるんだろう。
「うん。メール嬉しかった。」
「悔しいの、日向くんなのに……」
「これからもっと頑張る」
困ったみたいに笑って、「ごめん。ハンカチない」って言うから、涙を拭きながら、「……大丈夫」って返した。
袖口で涙を拭って、やっと。
「お疲れ」
そう言うと、日向くんが少しだけ複雑そうな顔をした。
その瞬間。
周りから。
「日向が泣かしたー!!」 って声が飛ぶ。
「違っ!!」
慌てる日向くん。
なんか気まずそう。
ホームルーム始まるぞーって声がして、日向くんは慌てて席に戻っていった。
教室はお祝いムードだったのに、泣いてしまった恥ずかしさで、「もう勝手に泣いてごめん!」
鼻をかみながら言うと、周りのみんなが笑ってくれた。
その空気が、少しだけ優しかった。
3学期。
雪でグラウンドが使えなくなって、ソフト部は体育館で筋トレと走り込みが中心になった。
放課後、一緒に帰っていた部活の子たちも最近は別行動が増えた。
理由は簡単。
「ごめん今日、彼氏と帰る〜!」
青春だなー。
羨ましい。
……いや、別にいいけど。
そんな感じで、一人で帰る日が増えた。
でもその代わりみたいに、下校時間が合う日は日向くんと一緒に帰るようになった。
方向が途中まで同じだからって理由。
だけど、なんとなくその時間が楽しみになっていた。
日向くんは自転車なのに、私と話す時は押して歩いてくれる。
「乗る?」
ある日、当たり前みたいに後ろを軽く叩かれる。
「え?」
「二人乗り。途中までとか。」
少し得意げな顔。
「いいの?」
「筋トレになるし!」
「私が漕ぐつもりだったのに。」
「えっ!?」
「日向くん軽そうだし。」
「俺、軽いとか言われるの複雑なんだけど!?」
笑いながら後ろに乗る。
自転車が動き出した瞬間、思ったよりスピードが出て思わず声が漏れる。
「速っ!」
「でしょ!」
風が冷たいのに、なんか楽しい。
カーブで揺れて、落ちそうになって。
慌てて腰を掴むと、日向くんがびくっと肩を跳ねさせた。
「ちょ、くすぐった!」
「落ちたくないんだけど!?」
「落とさないって!」
そう言いながら、さらにスピードが上がる。
「ちょっと待って速い速い!!」
笑い声が冬の道に響く。
気がつけば、いつもの分かれ道。
「早かったね!」
自転車から降りながら言うと、日向くんが少しだけ残念そうに笑った。
「また明日!」
「うん、ありがとう!」
手を振って別れる。
その背中を見送りながら、ふと思う。
──明日も、こうして帰れるのかな。
なんて。
少しだけ期待してる自分がいた。
3学期は本当にあっという間だった。
中間テストもないし、気づけばもう卒業式の空気。夏まで一緒だった先輩たちも卒業していく。
そして二年生からは文系理系でクラス替え。
文化祭でやっと仲良くなれたクラスなのに。
また離れちゃうんだなって思うと少し寂しい。
でも。
高校は同じ。
きっとこれからも話せるよね。
そんな風に思っていた。
修了式の日。
朝のホームルーム前。
教室に入った瞬間、日向くんがこっちに来た。
「今日、部活ある?」
「あるよ?」
「……昼前、ちょっと話したいんだけどいい?」
少しだけ真面目な顔。
「いいよ。何?」
「あとで!」
それだけ言って、自分の席に戻っていく。
……なんだろう。
最近、一緒に帰ることも増えてたし。
二年になったら部活忙しくなるとか?
それとも彼女でも出来た?
そんなことをぼんやり考えながら、指定された体育館裏へ向かう。
着くと、日向くんはもう来ていた。
「ごめん!待った?」
「いや!」
でも……
そこからなかなか話し始めない。
そわそわしてる。
落ち着かない感じ。
「……二年になったら忙しくなるとか?」
「違う。」
「え、彼女できた?」
「違う!!」
即答。
──あ。
空気が変わる。
もしかして。
いやでも……。
まさか。
変に茶化しちゃダメな気がして黙って待つ。
沈黙。
下校する人達の声が遠くなはずなのにやけに大きく聞こえる気がする。
やっと目が合ったと思ったら、日向くんがぎゅっと拳を握った。
「あのっ……!」
声が裏返ってる。
「バレーが好きなんだ!」
「……うん、知ってる。」
思わず頷く。
「うん。ありがとう。……苗字さん試合応援してくれたよね。」
真っ直ぐな視線に目を逸らせたくなる。
「すげぇ嬉しかった。色んな人が応援してくれたけど、苗字さんからの応援が一番嬉しかった。」
心臓が跳ねる。
「みんながTVみたとか言ってくれたけど、苗字さんは悔しくて泣いてくれたて……俺が泣かせたみたいだったのに嬉しくて。」
顔が熱い。
日向くんも真っ赤だった。
「一緒に帰る時間も楽しくて。 バレーはワクワクするんだけど、苗字さんといる時は……なんか胸がぎゅってなる。」
少し息を吸って私の目をジッと見つめる。
「もっと一緒にいたいって思う。」
「好きです!」
誤魔化しも、照れ隠しもなくて。
ちゃんと全部ぶつけてくるみたいな告白。
初めてだった。
こんな風に真正面から気持ちを向けられるの。
ドキドキで頭が真っ白になる。
でも。
ちゃんと答えなきゃって思った。
私にとって、日向くんは──。
【選択して下さい】
・好きだと返事をする →その後7、①へ
・わからないと返事をする→その後7、②へ
そのあとも日向くんと一緒に文化祭を回った。
気になってる人同士で消えていった友達とは違って、私たちはあぶれた二人組。
それでも楽しかった。
文化祭の準備期間、台詞合わせに付き合ってくれたり、練習中も気にかけてくれたり。
クラスメートから、ちゃんと友達になれた感じがして。
今までも日向くんとは話してはいた。
でもこんなに一対一で話したことはなかったから知らないことがいっぱいあった。
バレー部だって知ってた。
でも日向くんは部活が好きっていうより、バレーが好きなんだって話してるとわかる。
文化祭を回ってる時も楽しそうだったけど、バレーの話をしてる時が一番キラキラしてた。
好きっていう気持ちの原動力ってすごい。
「バレー好きなんだね」そう言ったら、
「うん!」って、迷いなく返ってきた。
なんかその返事が眩しかった。
だから日向くんがバレーしてるところ見てみたいって思った。
日向くんと私の身長はそんなに変わらない。
「試合とか出てるの?」
「レギュラーだよ!」
「えっ?」
「春高出るから見て!」とまで言われた。
春高って、私でも知ってる。
全国大会だ。
すごい。
少し前、ホームルームで「男子バレー部、春高出場します」って先生が話してたけど、まさかクラスメートがレギュラーだなんて思わなくて普通に流して聞いてた。
文化祭が終わって、季節は冬。
どんどん寒くなる。
ソフトボール部は雪でグラウンドが使えなくなって、体育館練習が増えた。そのせいでバレー部の練習を見る機会も増えた。
そこでわかった。
——バレー部は本気だ。
熱量が違う。
声。空気。練習の密度。
全国に行く部活って、こうなんだ。
ある日、部活終わりに自主練で残ってるバレー部が気になって、なんとなく体育館の近くに残った。
別に理由なんてない。
……いや、あるけど。
その時。
「日向オープン!」
目線を向けた瞬間、日向くんが飛んだ。
本当に飛んだ。
身長なんて関係ないみたいに、高いブロックの上から叩き込むみたいに。
──羽ある?
って、本気で思った。
ジャンプっていうより、空中にいた。
息をするのを忘れるくらい、目を奪われた。
練習が終わって帰ろうとすると、「見てたよね?」って日向くんが走ってきた。
「なんか今日、いつもより飛べた気がした!」
汗だくで、でもすごく嬉しそうで。
見てたことがちょっと恥ずかしかった。
でも。
「……すごかった」
それだけはちゃんと伝えたかった。
その日は一緒に帰った。
春高。
本当は現地で見たかった。
でも大会場所が東京だから家でテレビ観戦。
試合前に送った「頑張って」のメール。
返ってきたのは。
『観ててくれるってわかったら頑張れる』だった。
嬉しい。
でも悔しい。
私、声大きいのに。
絶対会場いたら応援届いたのに。
試合はどんどん進んで、テレビでも話題になって、近所の人もママも、「すごかったね!」って言う。
でも、私は同じテンションで喜べなかった。
大事な場面で、日向くんがコートを抜けたから。
あのままいたら違ったかもしれない。
でも体調なんてどうにもならない。
一番悔しいのは、ずっと頑張ってきた本人だ。
だから何を言えばいいかわからなかった。
試合前と試合後は「頑張ってね」「おめでとう」そういうメールは送れてた。
でも、負けてから。
途中退場してから。
そのあとだけ、送れなかった。
そんな時、届いたメール。
『また次頑張るから、また応援してほしい』
その文章を見て、胸がぎゅっとなった。
私から何か言いたかったのに送れなかった。
送られて来たメールに何を打っても違う気がして、気づけば画面を閉じてしまった。
三学期。
教室に入ると、日向くんの周りには人だかりができていた。
「テレビ見た!」
「すごかったね!」
「スタメンだったね!」
色んな声が飛び交ってる。
その輪に入れなくて、私はそっと自分の席に座った。
なんて声をかければいいかわからなかった。
朝のHRが終わって、授業の準備をしていると。
「苗字さん」
顔を上げる。
日向くんが、私の席の前に立っていた。
「応援ありがとう」
その瞬間、目の前が滲んだ。
やばい。
泣きたくない。
なのに涙が勝手に出る。
「日向くん頑張ってたのに……っ」
言葉がぐちゃぐちゃになる。
「応援、行きたかったのに……」
自分でも何言ってるかわからない。
悔しいのは日向くんなのに。
なんで私が泣いてるんだろう。
「うん。メール嬉しかった。」
「悔しいの、日向くんなのに……」
「これからもっと頑張る」
困ったみたいに笑って、「ごめん。ハンカチない」って言うから、涙を拭きながら、「……大丈夫」って返した。
袖口で涙を拭って、やっと。
「お疲れ」
そう言うと、日向くんが少しだけ複雑そうな顔をした。
その瞬間。
周りから。
「日向が泣かしたー!!」 って声が飛ぶ。
「違っ!!」
慌てる日向くん。
なんか気まずそう。
ホームルーム始まるぞーって声がして、日向くんは慌てて席に戻っていった。
教室はお祝いムードだったのに、泣いてしまった恥ずかしさで、「もう勝手に泣いてごめん!」
鼻をかみながら言うと、周りのみんなが笑ってくれた。
その空気が、少しだけ優しかった。
3学期。
雪でグラウンドが使えなくなって、ソフト部は体育館で筋トレと走り込みが中心になった。
放課後、一緒に帰っていた部活の子たちも最近は別行動が増えた。
理由は簡単。
「ごめん今日、彼氏と帰る〜!」
青春だなー。
羨ましい。
……いや、別にいいけど。
そんな感じで、一人で帰る日が増えた。
でもその代わりみたいに、下校時間が合う日は日向くんと一緒に帰るようになった。
方向が途中まで同じだからって理由。
だけど、なんとなくその時間が楽しみになっていた。
日向くんは自転車なのに、私と話す時は押して歩いてくれる。
「乗る?」
ある日、当たり前みたいに後ろを軽く叩かれる。
「え?」
「二人乗り。途中までとか。」
少し得意げな顔。
「いいの?」
「筋トレになるし!」
「私が漕ぐつもりだったのに。」
「えっ!?」
「日向くん軽そうだし。」
「俺、軽いとか言われるの複雑なんだけど!?」
笑いながら後ろに乗る。
自転車が動き出した瞬間、思ったよりスピードが出て思わず声が漏れる。
「速っ!」
「でしょ!」
風が冷たいのに、なんか楽しい。
カーブで揺れて、落ちそうになって。
慌てて腰を掴むと、日向くんがびくっと肩を跳ねさせた。
「ちょ、くすぐった!」
「落ちたくないんだけど!?」
「落とさないって!」
そう言いながら、さらにスピードが上がる。
「ちょっと待って速い速い!!」
笑い声が冬の道に響く。
気がつけば、いつもの分かれ道。
「早かったね!」
自転車から降りながら言うと、日向くんが少しだけ残念そうに笑った。
「また明日!」
「うん、ありがとう!」
手を振って別れる。
その背中を見送りながら、ふと思う。
──明日も、こうして帰れるのかな。
なんて。
少しだけ期待してる自分がいた。
3学期は本当にあっという間だった。
中間テストもないし、気づけばもう卒業式の空気。夏まで一緒だった先輩たちも卒業していく。
そして二年生からは文系理系でクラス替え。
文化祭でやっと仲良くなれたクラスなのに。
また離れちゃうんだなって思うと少し寂しい。
でも。
高校は同じ。
きっとこれからも話せるよね。
そんな風に思っていた。
修了式の日。
朝のホームルーム前。
教室に入った瞬間、日向くんがこっちに来た。
「今日、部活ある?」
「あるよ?」
「……昼前、ちょっと話したいんだけどいい?」
少しだけ真面目な顔。
「いいよ。何?」
「あとで!」
それだけ言って、自分の席に戻っていく。
……なんだろう。
最近、一緒に帰ることも増えてたし。
二年になったら部活忙しくなるとか?
それとも彼女でも出来た?
そんなことをぼんやり考えながら、指定された体育館裏へ向かう。
着くと、日向くんはもう来ていた。
「ごめん!待った?」
「いや!」
でも……
そこからなかなか話し始めない。
そわそわしてる。
落ち着かない感じ。
「……二年になったら忙しくなるとか?」
「違う。」
「え、彼女できた?」
「違う!!」
即答。
──あ。
空気が変わる。
もしかして。
いやでも……。
まさか。
変に茶化しちゃダメな気がして黙って待つ。
沈黙。
下校する人達の声が遠くなはずなのにやけに大きく聞こえる気がする。
やっと目が合ったと思ったら、日向くんがぎゅっと拳を握った。
「あのっ……!」
声が裏返ってる。
「バレーが好きなんだ!」
「……うん、知ってる。」
思わず頷く。
「うん。ありがとう。……苗字さん試合応援してくれたよね。」
真っ直ぐな視線に目を逸らせたくなる。
「すげぇ嬉しかった。色んな人が応援してくれたけど、苗字さんからの応援が一番嬉しかった。」
心臓が跳ねる。
「みんながTVみたとか言ってくれたけど、苗字さんは悔しくて泣いてくれたて……俺が泣かせたみたいだったのに嬉しくて。」
顔が熱い。
日向くんも真っ赤だった。
「一緒に帰る時間も楽しくて。 バレーはワクワクするんだけど、苗字さんといる時は……なんか胸がぎゅってなる。」
少し息を吸って私の目をジッと見つめる。
「もっと一緒にいたいって思う。」
「好きです!」
誤魔化しも、照れ隠しもなくて。
ちゃんと全部ぶつけてくるみたいな告白。
初めてだった。
こんな風に真正面から気持ちを向けられるの。
ドキドキで頭が真っ白になる。
でも。
ちゃんと答えなきゃって思った。
私にとって、日向くんは──。
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・好きだと返事をする →その後7、①へ
・わからないと返事をする→その後7、②へ
