2 高校生編
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
年末年始。
アラサーになった身で実家に居座るのも気まずくて、大晦日と元旦だけ顔を出して東京に戻った。
正月休みの中で足を運んだ春高の会場は、想像以上に熱気を帯びていた。
テレビカメラや在校生の応援団もいて、人波に呑まれる。けれど──約束したから。直接、頑張っている姿を目に焼き付けたいと思った。
試合開始前。スマホが何度も鳴った。
「来てくれた?どこ?試合はまだだしアップもまだだから会ってくれる?俺、今ここ!」
矢継ぎ早に飛び込んでくる声に、苦笑しながら指示された場所へ向かう。
赤い髪はやっぱり目立っていた。
私を見つけると、少年らしい勢いそのままに駆け寄ってくる。
「応援来たよ」
声をかけると、目線がまた上にあることに気づいた。
「……身長、伸びたの?」
「ふふ〜ん、187!もう完全に晴斗超えたでしょ。……でも、もう伸びないかもな〜」
胸を張って言うその顔は得意げで、でもまだどこか子供っぽい。
思わず、弟にしてきたように頭に手を伸ばす。
けれど──躊躇した。弟ではない。赤くセットされた髪を乱すのもためらわれて、宙に止まった手をどうしようかと迷う。
すると天童くんが目を細め、屈んでくれた。
「……撫でてくれるの?」
仕方ない、と小さく笑って、そっと頭に触れる。整えられた髪を崩さないように、軽く。
すると彼はぱっと表情を明るくして、子供みたいに言った。
「元気でた! もう少ししたら試合だからさ、絶対応援してね」
嬉しそうに戻っていく背を見送りながら、胸の奥に、温かさとほんの少しのざわめきが残った。
白鳥沢の試合は圧巻だった。牛島くんの存在感は言うまでもなく、チーム全体のまとまりと力強さに会場が揺れる。その中で、天童くんがコートに立つ瞬間が訪れる。
伸びやかな腕のスパイク。独特の間合いで繰り出されるブロック。
彼がコートに立つたび、私の視線は自然とそこに吸い寄せられていた。
試合が終わり、応援団や在校生たちでごった返す会場の外。ほんの少しの時間を縫うように、天童くんは私を見つけて駆け寄った。
「○○さん、見てた?俺、どうだった〜?」
「……すごかった。ちゃんとレギュラーだね」
そう答えると、天童くんは子供みたいに笑って、少し照れたように目を逸らした。
──まだ高校生。けれど、もうただの"弟の元チームメイト"ではなくなっている。
私はそのことを、否応なく実感してしまっていた。
アラサーになった身で実家に居座るのも気まずくて、大晦日と元旦だけ顔を出して東京に戻った。
正月休みの中で足を運んだ春高の会場は、想像以上に熱気を帯びていた。
テレビカメラや在校生の応援団もいて、人波に呑まれる。けれど──約束したから。直接、頑張っている姿を目に焼き付けたいと思った。
試合開始前。スマホが何度も鳴った。
「来てくれた?どこ?試合はまだだしアップもまだだから会ってくれる?俺、今ここ!」
矢継ぎ早に飛び込んでくる声に、苦笑しながら指示された場所へ向かう。
赤い髪はやっぱり目立っていた。
私を見つけると、少年らしい勢いそのままに駆け寄ってくる。
「応援来たよ」
声をかけると、目線がまた上にあることに気づいた。
「……身長、伸びたの?」
「ふふ〜ん、187!もう完全に晴斗超えたでしょ。……でも、もう伸びないかもな〜」
胸を張って言うその顔は得意げで、でもまだどこか子供っぽい。
思わず、弟にしてきたように頭に手を伸ばす。
けれど──躊躇した。弟ではない。赤くセットされた髪を乱すのもためらわれて、宙に止まった手をどうしようかと迷う。
すると天童くんが目を細め、屈んでくれた。
「……撫でてくれるの?」
仕方ない、と小さく笑って、そっと頭に触れる。整えられた髪を崩さないように、軽く。
すると彼はぱっと表情を明るくして、子供みたいに言った。
「元気でた! もう少ししたら試合だからさ、絶対応援してね」
嬉しそうに戻っていく背を見送りながら、胸の奥に、温かさとほんの少しのざわめきが残った。
白鳥沢の試合は圧巻だった。牛島くんの存在感は言うまでもなく、チーム全体のまとまりと力強さに会場が揺れる。その中で、天童くんがコートに立つ瞬間が訪れる。
伸びやかな腕のスパイク。独特の間合いで繰り出されるブロック。
彼がコートに立つたび、私の視線は自然とそこに吸い寄せられていた。
試合が終わり、応援団や在校生たちでごった返す会場の外。ほんの少しの時間を縫うように、天童くんは私を見つけて駆け寄った。
「○○さん、見てた?俺、どうだった〜?」
「……すごかった。ちゃんとレギュラーだね」
そう答えると、天童くんは子供みたいに笑って、少し照れたように目を逸らした。
──まだ高校生。けれど、もうただの"弟の元チームメイト"ではなくなっている。
私はそのことを、否応なく実感してしまっていた。
