9 一緒にいたい
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フランスに戻っていった彼とは、毎日のように電話が繋がった。
画面越しでも変わらない、いやむしろ距離を埋めるためか、彼の声はますます甘く私を絡め取ってくる。
「ねぇ、もう一緒に住めるように動いてるからね〜。家具も新しくしたいし、○○さんが使いやすいように全部揃えるよ」
「ちょっと待って、そんな簡単に言うけど……」
「簡単だよ。俺の店、フランスにあるんだから。日本にも店出す予定にしたら、永住じゃないし気軽に戻れるでしょ?」
あまりにも当然のように告げられて、思わず言葉を詰まらせた。
「……でも、お店出すなんて簡単じゃないでしょ」
「そんなの余裕だよ。だって、○○さんが来てくれるなら、どんな苦労も大したことないもん」
さらりとそう言い切る覚の声は軽いのに、揺るぎない熱を秘めていて、胸の奥が熱くなる。
ベッドの上で、彼の熱に押されて思わず「わかった」と言ってしまったあの夜。
それがただの勢いだったはずなのに、彼は逃さない。甘さの裏で、抜け目なく外堀を埋めていく。
この年齢で日本の仕事を手放し、異国の地に飛び込むなんて──怖くないわけがない。
けれど、彼の声を聞くたび、笑顔を思い浮かべるたび、迷いよりも覚と一緒にいたい気持ちが勝っていくのを感じる。
「……覚、本当にやるんだね」
「もちろん。もう止められないよ。俺、○○さんを捕まえるためなら何でもやるから」
電話越しに囁かれるその言葉は甘いのに、どこか狡猾で、抗えない力を持っていた。
後戻りはできないと、心のどこかで理解しながら、私は少しずつ腹を決めていく。
彼はフランスでの仕事に加え、日本にも出店の準備を進めるようになった。
忙しいはずなのに、必ず電話やメールをくれる。
「おやすみ」や「おはよう」の短い言葉だけの日もあるけれど、それだけで胸が満たされてしまう。
そして、出張や準備で日本に来るたびに、ほんの短い時間でも直接会うことができた。
相変わらずエスコートは完璧で、周囲には自然に振る舞うのに、ふとした瞬間には指を絡め、耳元に甘い声を落としてくる。
彼の忙しさを間近に感じるたび、同時に彼の中で自分がどれほど大きな存在になってしまったのかを思い知らされる。
──もう、逃げられない。
その実感が、怖さよりも甘い熱として胸に染み込んでいった。
画面越しでも変わらない、いやむしろ距離を埋めるためか、彼の声はますます甘く私を絡め取ってくる。
「ねぇ、もう一緒に住めるように動いてるからね〜。家具も新しくしたいし、○○さんが使いやすいように全部揃えるよ」
「ちょっと待って、そんな簡単に言うけど……」
「簡単だよ。俺の店、フランスにあるんだから。日本にも店出す予定にしたら、永住じゃないし気軽に戻れるでしょ?」
あまりにも当然のように告げられて、思わず言葉を詰まらせた。
「……でも、お店出すなんて簡単じゃないでしょ」
「そんなの余裕だよ。だって、○○さんが来てくれるなら、どんな苦労も大したことないもん」
さらりとそう言い切る覚の声は軽いのに、揺るぎない熱を秘めていて、胸の奥が熱くなる。
ベッドの上で、彼の熱に押されて思わず「わかった」と言ってしまったあの夜。
それがただの勢いだったはずなのに、彼は逃さない。甘さの裏で、抜け目なく外堀を埋めていく。
この年齢で日本の仕事を手放し、異国の地に飛び込むなんて──怖くないわけがない。
けれど、彼の声を聞くたび、笑顔を思い浮かべるたび、迷いよりも覚と一緒にいたい気持ちが勝っていくのを感じる。
「……覚、本当にやるんだね」
「もちろん。もう止められないよ。俺、○○さんを捕まえるためなら何でもやるから」
電話越しに囁かれるその言葉は甘いのに、どこか狡猾で、抗えない力を持っていた。
後戻りはできないと、心のどこかで理解しながら、私は少しずつ腹を決めていく。
彼はフランスでの仕事に加え、日本にも出店の準備を進めるようになった。
忙しいはずなのに、必ず電話やメールをくれる。
「おやすみ」や「おはよう」の短い言葉だけの日もあるけれど、それだけで胸が満たされてしまう。
そして、出張や準備で日本に来るたびに、ほんの短い時間でも直接会うことができた。
相変わらずエスコートは完璧で、周囲には自然に振る舞うのに、ふとした瞬間には指を絡め、耳元に甘い声を落としてくる。
彼の忙しさを間近に感じるたび、同時に彼の中で自分がどれほど大きな存在になってしまったのかを思い知らされる。
──もう、逃げられない。
その実感が、怖さよりも甘い熱として胸に染み込んでいった。
