8 フランスに戻る彼
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「今、日本にいるんだ〜。少しだけ時間あるよ」
そう連絡が来たのは、フランスに戻ってからまだ数ヶ月しか経っていない頃だった。
思わず胸が跳ねる。
遠距離になったとたん、余計に彼の存在が大きくなったのを実感していた。
声や文字だけじゃ足りない──そんな気持ちを、きっと彼も同じように抱えていたのだろう。
待ち合わせの小さなカフェで、ガラス越しに彼を見つける。一瞬で視線が合い、ふっと笑って手を振る天童くん。
けれど近づいた瞬間、柔らかい笑顔の奥に隠れた熱が揺れているのを見て、心臓が強く打った。
「○○さん〜」
「……おかえり」
「ただいま。会えてよかった〜」
軽い調子で言いながらも、指先がそっと手を取ってくる。
店内の明かりよりも、その体温の方がずっと鮮やかだった。
カフェでは他愛ない話ばかり。
フランスでの仕事のこと、街角で見かけた面白い出来事。
彼は楽しそうに語り、私はその声に耳を傾ける。
それだけで、不思議と空白の時間は埋まっていった。
ただ──ふと目が合うたびに、彼の瞳が真っ直ぐで、息が詰まりそうになる。
以前よりも大人びた空気を纏っているのに、時折見せる拗ねたような笑顔は変わらない。
そのギャップに、また惹かれてしまう。
店を出ると夜風が冷たくて、思わず肩をすくめた。
「寒い?」
気づいた天童くんが自然に手を繋ぐ。
「……大丈夫」
「でも俺は繋ぎたいから〜」
からかうように笑う声が、胸をくすぐった。
家の近くまで送る道すがら、彼がふと立ち止まる。
「○○さん、俺……やっぱり我慢できなかった。どうしても顔見たくて帰ってきちゃった」
その言葉に、胸がきゅっと締めつけられる。
「遠距離でも、俺たちはちゃんと"恋人"だよね?」
まるで確認するように。
でもその瞳は、答えを知っているみたいに強かった。
「……当たり前でしょ」
小さく返すと、彼は嬉しそうに笑い、繋いだ手をぎゅっと強めた。
玄関の前で別れ際。
「またすぐ帰ってくるね。……それまで俺のこと忘れないでね〜?」
「忘れるわけないでしょ」
そう返した瞬間、彼は一歩近づいて抱きしめてきた。
「そっか。じゃあ安心だね」
耳元に落とされた声は甘くて、離れるのが惜しくなる。
けれど彼はあえて、深くは求めず笑ってタクシーに乗り込む。
去っていく背中を見送りながら、彼の存在がますます大きくなるのを感じた。
そう連絡が来たのは、フランスに戻ってからまだ数ヶ月しか経っていない頃だった。
思わず胸が跳ねる。
遠距離になったとたん、余計に彼の存在が大きくなったのを実感していた。
声や文字だけじゃ足りない──そんな気持ちを、きっと彼も同じように抱えていたのだろう。
待ち合わせの小さなカフェで、ガラス越しに彼を見つける。一瞬で視線が合い、ふっと笑って手を振る天童くん。
けれど近づいた瞬間、柔らかい笑顔の奥に隠れた熱が揺れているのを見て、心臓が強く打った。
「○○さん〜」
「……おかえり」
「ただいま。会えてよかった〜」
軽い調子で言いながらも、指先がそっと手を取ってくる。
店内の明かりよりも、その体温の方がずっと鮮やかだった。
カフェでは他愛ない話ばかり。
フランスでの仕事のこと、街角で見かけた面白い出来事。
彼は楽しそうに語り、私はその声に耳を傾ける。
それだけで、不思議と空白の時間は埋まっていった。
ただ──ふと目が合うたびに、彼の瞳が真っ直ぐで、息が詰まりそうになる。
以前よりも大人びた空気を纏っているのに、時折見せる拗ねたような笑顔は変わらない。
そのギャップに、また惹かれてしまう。
店を出ると夜風が冷たくて、思わず肩をすくめた。
「寒い?」
気づいた天童くんが自然に手を繋ぐ。
「……大丈夫」
「でも俺は繋ぎたいから〜」
からかうように笑う声が、胸をくすぐった。
家の近くまで送る道すがら、彼がふと立ち止まる。
「○○さん、俺……やっぱり我慢できなかった。どうしても顔見たくて帰ってきちゃった」
その言葉に、胸がきゅっと締めつけられる。
「遠距離でも、俺たちはちゃんと"恋人"だよね?」
まるで確認するように。
でもその瞳は、答えを知っているみたいに強かった。
「……当たり前でしょ」
小さく返すと、彼は嬉しそうに笑い、繋いだ手をぎゅっと強めた。
玄関の前で別れ際。
「またすぐ帰ってくるね。……それまで俺のこと忘れないでね〜?」
「忘れるわけないでしょ」
そう返した瞬間、彼は一歩近づいて抱きしめてきた。
「そっか。じゃあ安心だね」
耳元に落とされた声は甘くて、離れるのが惜しくなる。
けれど彼はあえて、深くは求めず笑ってタクシーに乗り込む。
去っていく背中を見送りながら、彼の存在がますます大きくなるのを感じた。
