6 変わる気持ち
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
数日後。
仕事帰りの道、ふと人混みの中で見覚えのある背の高いシルエットが目に入った。
白いシャツの袖を無造作に折り、スマホを見ながら歩いている天童くん。
一瞬見間違いかと思ったけれど、こちらに気づいた彼がひらひらと手を振った。
「○○さん〜、偶然だねぇ」
「……ほんとに偶然?」
「ん〜、偶然半分、狙ってた半分かな」
悪びれもなく笑うその調子に、呆れつつも心臓が跳ねる。
「駅まで送るよ〜。ついでに少し歩こ」
断りきれず、並んで歩き出す。
夕方の街は柔らかい光に包まれて、人の流れも穏やかだった。
「この前のカフェ、楽しかったね。また行きたいなぁ」
「……天童くんは、ほんとに変わらないね」
「そうかな? 俺は結構、変わったつもりなんだけど」
足を止めて振り返る彼の瞳は、冗談めかした口調と違い真剣だった。
一歩、距離を詰められる。
「俺ね、あの日バーで言ったこと、本気なんだ。長くずっと想ってきたこと。○○さんがどう逃げても、冗談じゃないって言い切れるよ」
思わず息を呑む。
前回の"揺れ"が再び胸に蘇り、言葉を失った。
「……でも、私は」
「俺が年下だから?」
彼は優しく首をかしげ、少し笑う。
「そういうのって、俺にとってはただの"条件"にしかならないんだよね。○○さんの笑い方とか、話すときの癖とか──そういうのに惹かれてるんだから」
淡々とした言葉なのに、胸の奥にじんわり沁みていく。
必死に理屈を探しても、もう彼の眼差しからは逃げられなかった。
「……ほんとに、それでいいの?」
ようやく搾り出した問いに、彼はふっと微笑んだ。
「いいに決まってるでしょ〜。俺がいいって言ってるんだから」
軽い調子のまま、でも確信をもって。
気がつけば、手を取られていた。
その温もりが拒めなくて、心がゆっくり溶けていく。
「……わかった。少しだけ……信じてみる」
その言葉を聞いた瞬間、彼は声を上げて笑った。
「"少しだけ"で十分だよ〜。俺がそれをちゃんと大きくするから」
夕暮れの街で並んで歩きながら、もう彼を"弟の友達"とは思えなくなっている自分に気づく。
──この瞬間から、私たちは付き合い始めた。
仕事帰りの道、ふと人混みの中で見覚えのある背の高いシルエットが目に入った。
白いシャツの袖を無造作に折り、スマホを見ながら歩いている天童くん。
一瞬見間違いかと思ったけれど、こちらに気づいた彼がひらひらと手を振った。
「○○さん〜、偶然だねぇ」
「……ほんとに偶然?」
「ん〜、偶然半分、狙ってた半分かな」
悪びれもなく笑うその調子に、呆れつつも心臓が跳ねる。
「駅まで送るよ〜。ついでに少し歩こ」
断りきれず、並んで歩き出す。
夕方の街は柔らかい光に包まれて、人の流れも穏やかだった。
「この前のカフェ、楽しかったね。また行きたいなぁ」
「……天童くんは、ほんとに変わらないね」
「そうかな? 俺は結構、変わったつもりなんだけど」
足を止めて振り返る彼の瞳は、冗談めかした口調と違い真剣だった。
一歩、距離を詰められる。
「俺ね、あの日バーで言ったこと、本気なんだ。長くずっと想ってきたこと。○○さんがどう逃げても、冗談じゃないって言い切れるよ」
思わず息を呑む。
前回の"揺れ"が再び胸に蘇り、言葉を失った。
「……でも、私は」
「俺が年下だから?」
彼は優しく首をかしげ、少し笑う。
「そういうのって、俺にとってはただの"条件"にしかならないんだよね。○○さんの笑い方とか、話すときの癖とか──そういうのに惹かれてるんだから」
淡々とした言葉なのに、胸の奥にじんわり沁みていく。
必死に理屈を探しても、もう彼の眼差しからは逃げられなかった。
「……ほんとに、それでいいの?」
ようやく搾り出した問いに、彼はふっと微笑んだ。
「いいに決まってるでしょ〜。俺がいいって言ってるんだから」
軽い調子のまま、でも確信をもって。
気がつけば、手を取られていた。
その温もりが拒めなくて、心がゆっくり溶けていく。
「……わかった。少しだけ……信じてみる」
その言葉を聞いた瞬間、彼は声を上げて笑った。
「"少しだけ"で十分だよ〜。俺がそれをちゃんと大きくするから」
夕暮れの街で並んで歩きながら、もう彼を"弟の友達"とは思えなくなっている自分に気づく。
──この瞬間から、私たちは付き合い始めた。
