1 出会い
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「お母さんが携帯持たせてるって言ってたな……」
そう思い出して、私は弟にメールを送った。
『インターハイ、沖縄なんだよね。やっぱり応援は行けないかも。でも、もし行けたら行きたいな』
普段ならしばらくしてメールの返信が来るだけなのに、その日はすぐに着信音が鳴った。
──電話。弟から。
「珍しい」と思いながらすぐに出る。
「……もしもし?」
『あ、俺。晴斗』
「どうしたの?電話なんて」
『いや……今、寮の自由時間だから。メールより早いし』
そっけない声の裏に、どこか照れが混じっている気がして笑ってしまう。
「沖縄、流石に遠いからね。応援に行きたいけど、仕事もあるし……」
『だから言っただろ。金もかかるし、忙しいんだから来るなよ』
ぶっきらぼうな言葉のあと、受話口の向こうで別の声が混じった。
『──え〜?来てくれないの〜?』
思わず固まる。
この声、聞き覚えがある。
「……天童くん?」
『はーい!いつ応援に来てくれるの〜?』
『おい、返せ!』
突然、受話器の向こうでガサガサと音がする。どうやら携帯を取り合っているらしい。
「……携帯の取り合いでもしてるの?」
『……また今度メールする!』
結局、弟の声がそれを遮って、プツンと電話は切られてしまった。
***
それからしばらく音沙汰がなく、私も仕事に追われて忘れかけていた頃。
再び携帯が鳴った。画面に映った番号は、また弟のもの。
「もしもし?……晴斗?」
『ちがうよ〜、俺!』
耳に飛び込んできたのは、明るい天童くんの声だった。
「……ちょっと待って。それ、弟の電話だよね?」
『うん!晴斗くんとブロック勝負して勝ったから、俺が使ってるの〜』
あっけらかんとした言葉に、思わず吹き出す。
「え、レギュラーの晴斗に勝てたの?すごいね」
『そこじゃないんだけどなぁ〜。俺が勝ったことより、お姉さんと話せてるのがポイント!』
にこにこと言っている姿が目に浮かぶようで、返す言葉に困る。
それから天童くんは、練習のこと、寮のこと、些細な出来事まで一方的に話し続けた。
私はほとんど相槌を打つだけで、時計を見ればもう十分近く経っていた。
『──10分!』
急に背後から弟の声が割り込む。どうやら時間を区切られていたらしい。
『ねぇねぇ、名前教えてよ〜』
「え?」
そう問い返した瞬間、受話口の向こうで「いってぇ!」という声が響き、次の瞬間には通話が切られてしまった。
そう思い出して、私は弟にメールを送った。
『インターハイ、沖縄なんだよね。やっぱり応援は行けないかも。でも、もし行けたら行きたいな』
普段ならしばらくしてメールの返信が来るだけなのに、その日はすぐに着信音が鳴った。
──電話。弟から。
「珍しい」と思いながらすぐに出る。
「……もしもし?」
『あ、俺。晴斗』
「どうしたの?電話なんて」
『いや……今、寮の自由時間だから。メールより早いし』
そっけない声の裏に、どこか照れが混じっている気がして笑ってしまう。
「沖縄、流石に遠いからね。応援に行きたいけど、仕事もあるし……」
『だから言っただろ。金もかかるし、忙しいんだから来るなよ』
ぶっきらぼうな言葉のあと、受話口の向こうで別の声が混じった。
『──え〜?来てくれないの〜?』
思わず固まる。
この声、聞き覚えがある。
「……天童くん?」
『はーい!いつ応援に来てくれるの〜?』
『おい、返せ!』
突然、受話器の向こうでガサガサと音がする。どうやら携帯を取り合っているらしい。
「……携帯の取り合いでもしてるの?」
『……また今度メールする!』
結局、弟の声がそれを遮って、プツンと電話は切られてしまった。
***
それからしばらく音沙汰がなく、私も仕事に追われて忘れかけていた頃。
再び携帯が鳴った。画面に映った番号は、また弟のもの。
「もしもし?……晴斗?」
『ちがうよ〜、俺!』
耳に飛び込んできたのは、明るい天童くんの声だった。
「……ちょっと待って。それ、弟の電話だよね?」
『うん!晴斗くんとブロック勝負して勝ったから、俺が使ってるの〜』
あっけらかんとした言葉に、思わず吹き出す。
「え、レギュラーの晴斗に勝てたの?すごいね」
『そこじゃないんだけどなぁ〜。俺が勝ったことより、お姉さんと話せてるのがポイント!』
にこにこと言っている姿が目に浮かぶようで、返す言葉に困る。
それから天童くんは、練習のこと、寮のこと、些細な出来事まで一方的に話し続けた。
私はほとんど相槌を打つだけで、時計を見ればもう十分近く経っていた。
『──10分!』
急に背後から弟の声が割り込む。どうやら時間を区切られていたらしい。
『ねぇねぇ、名前教えてよ〜』
「え?」
そう問い返した瞬間、受話口の向こうで「いってぇ!」という声が響き、次の瞬間には通話が切られてしまった。
