4 弟の結婚式
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弟の晴れ舞台。
十歳も離れた姉である自分は、どう振る舞えばいいのか朝から迷っていた。
結局選んだのは、黒のシンプルなドレス。派手でもなく、かといって色を差すほど若くもない。
「特に何もしなくていいから」そう言われた手前、親族に混ざるのも気が重くて、自然とホールの隅に足が向いた。
誰もいない喫煙所のドアを閉めて一息。
結婚していない自分に向けられる言葉を想像すると、胸の奥がざらつく。
──と、不意に外からざわめきが響いた。
「……?」
扉をそっと開けて覗いた瞬間、視界に入ったのは背の高い坊主頭の青年だった。
どこか人垣ができてざわついている。
その中心で、屈託のない笑顔を浮かべていたのは──
「……天童、くん……」
驚きで声も出ない。
彼はこちらを見つけると、まるで昔のままの調子で声をかけてきた。
「タバコ吸う不良のお姉さん、発見〜」
懐かしい響きに、思わず「久しぶり」の言葉も出なかった。
「……なんか擦れてない?」
冗談めかす声。
彼の頭に自然と手が伸びた。
坊主になった髪がシャリシャリと手のひらに心地いい。
高校生の頃、いつも整えていた髪がもうここにはない。
「世界でも、頑張ってるね」
そう言うと、彼は少し目を細めた。
「……撫でられるより、抱きしめてほしいな〜」
くすっと笑って首を振る。
「それは、違うんじゃない?」
けれど天童くんは私の手を掴み、しっかりと握る。
「俺、一人の女性に抱きしめてもらうためだけに頑張ったんだよ。頭を撫でられるだけじゃ……足りないな」
十二歳も年下。
人生の速度も、時間軸も違う。
それでも、彼がまだ自分を異性として見てくれているのかと思うと、笑いが込み上げる。
弟を相手にするように腕を回し、軽くポンポンと背中を叩いた。
「……」
天童くんの顔は、明らかに不満げだった。
次の瞬間。
彼はその手を取ったまま片膝をつき、見上げてきた。
「高校の時から、ずっと好きでした。会えない日も、ずっと考えてた」
言葉を失う。
周囲にいた人たちがざわつき、拍手や歓声が上がった。
「えっ、いやいや違うし!」慌てて首を振るが、場の空気はもう止められない。
「……ノリで受け入れちゃったほうがいいよ〜」
困惑する私を柔らかく笑いながら抱き寄せる。
人々の祝福の声に包まれながら、天童くんの腕の温かさが胸に広がっていった。
十歳も離れた姉である自分は、どう振る舞えばいいのか朝から迷っていた。
結局選んだのは、黒のシンプルなドレス。派手でもなく、かといって色を差すほど若くもない。
「特に何もしなくていいから」そう言われた手前、親族に混ざるのも気が重くて、自然とホールの隅に足が向いた。
誰もいない喫煙所のドアを閉めて一息。
結婚していない自分に向けられる言葉を想像すると、胸の奥がざらつく。
──と、不意に外からざわめきが響いた。
「……?」
扉をそっと開けて覗いた瞬間、視界に入ったのは背の高い坊主頭の青年だった。
どこか人垣ができてざわついている。
その中心で、屈託のない笑顔を浮かべていたのは──
「……天童、くん……」
驚きで声も出ない。
彼はこちらを見つけると、まるで昔のままの調子で声をかけてきた。
「タバコ吸う不良のお姉さん、発見〜」
懐かしい響きに、思わず「久しぶり」の言葉も出なかった。
「……なんか擦れてない?」
冗談めかす声。
彼の頭に自然と手が伸びた。
坊主になった髪がシャリシャリと手のひらに心地いい。
高校生の頃、いつも整えていた髪がもうここにはない。
「世界でも、頑張ってるね」
そう言うと、彼は少し目を細めた。
「……撫でられるより、抱きしめてほしいな〜」
くすっと笑って首を振る。
「それは、違うんじゃない?」
けれど天童くんは私の手を掴み、しっかりと握る。
「俺、一人の女性に抱きしめてもらうためだけに頑張ったんだよ。頭を撫でられるだけじゃ……足りないな」
十二歳も年下。
人生の速度も、時間軸も違う。
それでも、彼がまだ自分を異性として見てくれているのかと思うと、笑いが込み上げる。
弟を相手にするように腕を回し、軽くポンポンと背中を叩いた。
「……」
天童くんの顔は、明らかに不満げだった。
次の瞬間。
彼はその手を取ったまま片膝をつき、見上げてきた。
「高校の時から、ずっと好きでした。会えない日も、ずっと考えてた」
言葉を失う。
周囲にいた人たちがざわつき、拍手や歓声が上がった。
「えっ、いやいや違うし!」慌てて首を振るが、場の空気はもう止められない。
「……ノリで受け入れちゃったほうがいいよ〜」
困惑する私を柔らかく笑いながら抱き寄せる。
人々の祝福の声に包まれながら、天童くんの腕の温かさが胸に広がっていった。
