4 弟の結婚式
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知らない番号から着信があった。
普段なら迷わず切ってしまうのに、なぜかそのときは表示が長く続いて……指が受話ボタンに触れていた。
「……」
声を出さずに耳に当てる。
相手も何も言わない。
「切りますよ」そう口にした瞬間、慌てたような声が飛び込んできた。
「待って」
息をのむ。
その声に──聞き覚えがあった。
耳を澄ますと、深く息を整える音。
やがて、ほっと笑うような声が響いた。
「……良かった。また声、聞けた」
胸の奥がざわめく。
「……天童くん?」
思わず確かめるように名前を呼ぶと、電話口から弾む笑い声がした。
「覚えててくれたんだ。嬉しいなあ〜」
懐かしい声に胸がほどける。
「……元気だった? 晴斗と連絡してるの? 晴斗ね、結婚するんだよ」
立て続けに言葉があふれ出ると、受話器越しに「知ってるよ」と落ち着いた声が返ってきた。
あぁ、やっぱり彼だ──その実感に頬が熱くなる。
「……○○さんは? 旦那さんと仲良くしてるの?」
「……え?」
唐突な問いに、疑問符が頭の中を埋める。
「もしもーし?」
冗談めかした声にハッとして、慌てて返す。
「……そんなこと聞くなんて、この歳でも結婚してないのを揶揄ってるんでしょう」
一瞬黙り込む。
やがて、少し戸惑った声が返ってきた。
「……晴斗が言ったんだ。お姉さんにはいい人がいるから構うな、連絡するなって……」
そこで言葉が途切れる。
彼がこんなふうに言いよどむのは珍しくて、思わず笑みが漏れた。
「……晴斗に揶揄われてる天童くんなんて、なんだか変な感じ」
「本当に腹立つ なんだよ、あいつ」
拗ねたような声に、笑いがこぼれる。
その笑い声がふっと消え、電話口に静寂が訪れる。
なんだか気まずくて、慌てて話題を探した。
「……テレビ、観たよ」
「えっ……観たの?」
「うん。かっこよかった」
「……なんか、恥ずかしいなあ」
少し照れたように笑う声。
画面の向こうでは堂々とインタビューを受けていたのに、声だけの彼は昔と変わらない。
「……晴斗、結婚するんだけど。日本に帰ってくるの?」
問いかけると、間を置かずに答えが返る。
「行くよ」
その即答が、胸に響く。
忙しいはずなのに、それでも迷いなく言ってくれたことが──嬉しかった。
普段なら迷わず切ってしまうのに、なぜかそのときは表示が長く続いて……指が受話ボタンに触れていた。
「……」
声を出さずに耳に当てる。
相手も何も言わない。
「切りますよ」そう口にした瞬間、慌てたような声が飛び込んできた。
「待って」
息をのむ。
その声に──聞き覚えがあった。
耳を澄ますと、深く息を整える音。
やがて、ほっと笑うような声が響いた。
「……良かった。また声、聞けた」
胸の奥がざわめく。
「……天童くん?」
思わず確かめるように名前を呼ぶと、電話口から弾む笑い声がした。
「覚えててくれたんだ。嬉しいなあ〜」
懐かしい声に胸がほどける。
「……元気だった? 晴斗と連絡してるの? 晴斗ね、結婚するんだよ」
立て続けに言葉があふれ出ると、受話器越しに「知ってるよ」と落ち着いた声が返ってきた。
あぁ、やっぱり彼だ──その実感に頬が熱くなる。
「……○○さんは? 旦那さんと仲良くしてるの?」
「……え?」
唐突な問いに、疑問符が頭の中を埋める。
「もしもーし?」
冗談めかした声にハッとして、慌てて返す。
「……そんなこと聞くなんて、この歳でも結婚してないのを揶揄ってるんでしょう」
一瞬黙り込む。
やがて、少し戸惑った声が返ってきた。
「……晴斗が言ったんだ。お姉さんにはいい人がいるから構うな、連絡するなって……」
そこで言葉が途切れる。
彼がこんなふうに言いよどむのは珍しくて、思わず笑みが漏れた。
「……晴斗に揶揄われてる天童くんなんて、なんだか変な感じ」
「本当に腹立つ なんだよ、あいつ」
拗ねたような声に、笑いがこぼれる。
その笑い声がふっと消え、電話口に静寂が訪れる。
なんだか気まずくて、慌てて話題を探した。
「……テレビ、観たよ」
「えっ……観たの?」
「うん。かっこよかった」
「……なんか、恥ずかしいなあ」
少し照れたように笑う声。
画面の向こうでは堂々とインタビューを受けていたのに、声だけの彼は昔と変わらない。
「……晴斗、結婚するんだけど。日本に帰ってくるの?」
問いかけると、間を置かずに答えが返る。
「行くよ」
その即答が、胸に響く。
忙しいはずなのに、それでも迷いなく言ってくれたことが──嬉しかった。
