13
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
「結婚式って……呼べる人、
ほとんどいないんだよ、私」
彼女がそう言ったのは、プロポーズの少しあとだった。
友達も少ないし、派遣だし、
親ともそんなに深くないし。
呼ばれてくれる人なんて……って、
少し恥ずかしそうに笑ってた。
でも俺は──そういう彼女が、
たまらなく愛しい。
「じゃあ俺だけでいいじゃん」
そう返したら、彼女はちょっと困った顔をしてた。
「……それって結婚式って言うの?」
「言うよ。"俺のためだけの君を見せる式"でしょ?」
彼女の手を取って、指先に口づける。
小さくなろうとするその心を、絡めとって、
逃がさない。
結局、
少人数の、静かであたたかな式を開いた。
俺の仕事関係と、ほんの数人の彼女の友人。
会場はレストランを貸し切って、
夜景の見える小さなフロア。
ウェディングドレスに身を包んだ彼女は──
自分が一番その姿を信じられないような顔をしてた。
「……ねぇ、なんで彼があんな子を選んだのか、不思議じゃない?」
披露宴の最中、グラスの音に紛れて聞こえてきたその声は、明らかに彼女を指していた。
一瞬、笑いそうになった。
"あんな子"って──誰のこと?
俺の"○○ちゃん"のこと?
式のために綺麗にしてもらった髪、
真っ白なドレス、
照れたように笑いながら、
俺の横に立っている彼女。
……それを、どこの誰か知らないヤツが、
勝手に測った"価値"で見てる。
──面白いね。
「ああいうのが好きなんだ?」なんて、
うわべだけの関心を装って詮索する目線。
下に見てるようで、本当は何も見えてない。
じゃあ、教えてあげようか?
俺が彼女を選んだ理由。
壊したくなるほど可愛いから。
誰の目にも止まらない場所で、
こっそり光ってるのを、
俺だけが見つけたから。
手に入れてしまえば、二度と逃がさないって、
最初から決めてたから。
"どうしてあんな子を?"なんて訊く前に、
自分の目がどれだけ節穴かを恥じるべきだよね?
俺が手に入れたものに、
他人の評価なんていらない。
君たちには一生わからない。
……だって、この人は、
俺にしか見つけられなかった、
"奇跡"なんだから。
グラスを傾けながら、
俺はそっと微笑んで、背後のその会話にだけ、言葉を落とした。
「──君たちには、一生手に入らないものだから」
聞こえなくていい。
でも、届けばいい。
だって○○ちゃんは、
俺の、俺だけの、永遠のものなんだから。
披露宴の終わりに、彼女がぽつりと聞いてきた。
「……ねぇ、覚くんは、どうして私だったの?」
まるで他人事みたいに聞くその声が、
あまりにも無防備で、可愛くて──
俺は答えを返す代わりに、
手を取って指先にキスを落とした。
「……それを知っても、幸せなままでいられるなら言ってあげる」
「……なにそれ、ちょっと怖いよ」
「でしょ〜? でも、俺は優しいから……
今夜も、ちゃんと優しくするよ」
彼女の目を見て、優しく抱きしめた。
ほとんどいないんだよ、私」
彼女がそう言ったのは、プロポーズの少しあとだった。
友達も少ないし、派遣だし、
親ともそんなに深くないし。
呼ばれてくれる人なんて……って、
少し恥ずかしそうに笑ってた。
でも俺は──そういう彼女が、
たまらなく愛しい。
「じゃあ俺だけでいいじゃん」
そう返したら、彼女はちょっと困った顔をしてた。
「……それって結婚式って言うの?」
「言うよ。"俺のためだけの君を見せる式"でしょ?」
彼女の手を取って、指先に口づける。
小さくなろうとするその心を、絡めとって、
逃がさない。
結局、
少人数の、静かであたたかな式を開いた。
俺の仕事関係と、ほんの数人の彼女の友人。
会場はレストランを貸し切って、
夜景の見える小さなフロア。
ウェディングドレスに身を包んだ彼女は──
自分が一番その姿を信じられないような顔をしてた。
「……ねぇ、なんで彼があんな子を選んだのか、不思議じゃない?」
披露宴の最中、グラスの音に紛れて聞こえてきたその声は、明らかに彼女を指していた。
一瞬、笑いそうになった。
"あんな子"って──誰のこと?
俺の"○○ちゃん"のこと?
式のために綺麗にしてもらった髪、
真っ白なドレス、
照れたように笑いながら、
俺の横に立っている彼女。
……それを、どこの誰か知らないヤツが、
勝手に測った"価値"で見てる。
──面白いね。
「ああいうのが好きなんだ?」なんて、
うわべだけの関心を装って詮索する目線。
下に見てるようで、本当は何も見えてない。
じゃあ、教えてあげようか?
俺が彼女を選んだ理由。
壊したくなるほど可愛いから。
誰の目にも止まらない場所で、
こっそり光ってるのを、
俺だけが見つけたから。
手に入れてしまえば、二度と逃がさないって、
最初から決めてたから。
"どうしてあんな子を?"なんて訊く前に、
自分の目がどれだけ節穴かを恥じるべきだよね?
俺が手に入れたものに、
他人の評価なんていらない。
君たちには一生わからない。
……だって、この人は、
俺にしか見つけられなかった、
"奇跡"なんだから。
グラスを傾けながら、
俺はそっと微笑んで、背後のその会話にだけ、言葉を落とした。
「──君たちには、一生手に入らないものだから」
聞こえなくていい。
でも、届けばいい。
だって○○ちゃんは、
俺の、俺だけの、永遠のものなんだから。
披露宴の終わりに、彼女がぽつりと聞いてきた。
「……ねぇ、覚くんは、どうして私だったの?」
まるで他人事みたいに聞くその声が、
あまりにも無防備で、可愛くて──
俺は答えを返す代わりに、
手を取って指先にキスを落とした。
「……それを知っても、幸せなままでいられるなら言ってあげる」
「……なにそれ、ちょっと怖いよ」
「でしょ〜? でも、俺は優しいから……
今夜も、ちゃんと優しくするよ」
彼女の目を見て、優しく抱きしめた。
