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夢小説設定
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厨房のガラス窓越し、席に座る○○ちゃんを見た瞬間、
──わかっちゃったんだよね。
この一週間くらい。
店には来なかったのに、連絡もくれなかったのに。
そのくせ、来た瞬間に見せた表情。
なんて顔してんのって、言いたくなるくらいの──
覚悟。
そう、"覚悟のにおい"がした。
無意識に握った手が震えてたのも、
声がいつもより小さかったのも、
俺の顔を見る目が、ほんの一瞬だけ強かったのも。
全部、気づいてるよ。
気づいて、嬉しくて、震えるほど愛しくなって。
でも、表に出すのはそれじゃない。
俺はただ、いつも通りの手際でカカオの配合を調整して、
カウンターの端まで歩いていく。
何気ない仕草みたいに、
彼女の座る前のテーブルに、小さな箱を置く。
「今日の試作。名前、まだ決めてないんだよね。
一番最初に食べてもらいたいのは── ○○ちゃんだから」
言葉に感情は込めない。
込めなくても、伝わるように仕向ける。
彼女は、箱を見つめて、
次に、俺の手元に視線を落とす。
……また、目が手を追ってる。
フォークを握る俺の手。
小さなトングで取り出す指。
何か言いたげに見つめてるその目が、今日は、違う意味を帯びてる。
この間までの、"憧れ"でも"好奇心"でもない。
──"欲"が混じってる。
それはね、俺にとって、最高のご褒美みたいなもんなんだよ。
「……ねぇ、○○ちゃん。
"今日"はさ、ゆっくりしていかない?」
言いながら、彼女の右手の近く、自分の手を滑らせる。
指先が、ほんの少しだけ触れる距離。
逃げない。
視線も、逸らさない。
「厨房、今日はスタッフに任せてあるから。
……君と話したかったんだ」
"君"って言い方にしたのは、ちょっとしたテスト。
いつも"○○ちゃん"と呼ぶところを、あえて少しだけよそよそしく。
彼女は、気づいた。
気づいて──少し、寂しそうな顔をした。
……いいね、そういうの。
「俺ばっかり、○○ちゃんって呼んでるのも不公平かなって思ってさ〜」
そう言って、わざと笑ってみせる。
それがまた、
彼女のなかの"言わなきゃ"って焦りを煽る。
でも、今すぐ言わせるつもりはない。
今日の"仕掛け"は、あくまで"引き出す"ことじゃない。
踏ませる手前まで、連れていくこと。
「名前は呼ばなくていいよ。
でも、そんな顔されたら……俺、気づいちゃうじゃん?」
彼女は少し目を見開いて──
気づかれたことに、顔を赤らめた。
その表情。
その目。
俺の一番見たかった、"越える前の顔"。
──うん、今日の君は、素晴らしい。
──わかっちゃったんだよね。
この一週間くらい。
店には来なかったのに、連絡もくれなかったのに。
そのくせ、来た瞬間に見せた表情。
なんて顔してんのって、言いたくなるくらいの──
覚悟。
そう、"覚悟のにおい"がした。
無意識に握った手が震えてたのも、
声がいつもより小さかったのも、
俺の顔を見る目が、ほんの一瞬だけ強かったのも。
全部、気づいてるよ。
気づいて、嬉しくて、震えるほど愛しくなって。
でも、表に出すのはそれじゃない。
俺はただ、いつも通りの手際でカカオの配合を調整して、
カウンターの端まで歩いていく。
何気ない仕草みたいに、
彼女の座る前のテーブルに、小さな箱を置く。
「今日の試作。名前、まだ決めてないんだよね。
一番最初に食べてもらいたいのは── ○○ちゃんだから」
言葉に感情は込めない。
込めなくても、伝わるように仕向ける。
彼女は、箱を見つめて、
次に、俺の手元に視線を落とす。
……また、目が手を追ってる。
フォークを握る俺の手。
小さなトングで取り出す指。
何か言いたげに見つめてるその目が、今日は、違う意味を帯びてる。
この間までの、"憧れ"でも"好奇心"でもない。
──"欲"が混じってる。
それはね、俺にとって、最高のご褒美みたいなもんなんだよ。
「……ねぇ、○○ちゃん。
"今日"はさ、ゆっくりしていかない?」
言いながら、彼女の右手の近く、自分の手を滑らせる。
指先が、ほんの少しだけ触れる距離。
逃げない。
視線も、逸らさない。
「厨房、今日はスタッフに任せてあるから。
……君と話したかったんだ」
"君"って言い方にしたのは、ちょっとしたテスト。
いつも"○○ちゃん"と呼ぶところを、あえて少しだけよそよそしく。
彼女は、気づいた。
気づいて──少し、寂しそうな顔をした。
……いいね、そういうの。
「俺ばっかり、○○ちゃんって呼んでるのも不公平かなって思ってさ〜」
そう言って、わざと笑ってみせる。
それがまた、
彼女のなかの"言わなきゃ"って焦りを煽る。
でも、今すぐ言わせるつもりはない。
今日の"仕掛け"は、あくまで"引き出す"ことじゃない。
踏ませる手前まで、連れていくこと。
「名前は呼ばなくていいよ。
でも、そんな顔されたら……俺、気づいちゃうじゃん?」
彼女は少し目を見開いて──
気づかれたことに、顔を赤らめた。
その表情。
その目。
俺の一番見たかった、"越える前の顔"。
──うん、今日の君は、素晴らしい。
