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チョコを手渡した時の、彼女の指先──
僅かに揺れた。
ほんのわずか、触れるか触れないかの距離。
俺の指に触れないように、引くふりをして、けれど遅れる。
無意識の"ためらい"と"欲"が、そこに滲んでいた。
声には出さない。
視線にも出さない。
でも、手だけが嘘をつけない。
「ありがと」
彼女の口元に浮かぶ笑みは、わざとじゃない。
ただ、どこか気恥ずかしそうに伏せられた目が、
自分の欲望をまだ"隠していられる"と信じてるのが可笑しくて──
それが、俺にとっていちばんの証明だった。
チョコレートをひとかけ口に含んだ彼女が、
「ん」と、わずかに喉の奥で音を漏らす。
感想を言葉にする前の、その一瞬の反応だけを俺は拾う。
「……今の、絶対いい反応だったよね」
笑って、冗談みたいに口にする。
彼女が目を逸らして肩をすくめた瞬間、耳が赤いのを俺は見逃さない。
分かってるよ、○○ちゃん。
その"甘さ"を感じたのは、チョコのせいだけじゃない。
「ちょっと、そこに手を置いてもらっていい?」
客席とカウンターの境目。
ガラスケースの脇、商品が並ばないその隅っこに、彼女の手がそっと置かれる。
俺はそのちょうど対面、カウンター越しに同じように手を置いた。
指先が、わずかに揃う位置。
手は触れていない。
でも、彼女の視線が、ふいに俺の指先を見つめたのを逃さない。
「こうやって、"配置"を考える時ってね、目線だけじゃなくて指先の位置でも決めたりするんだ〜」
あくまで職人的なトーンで。けれど彼女の視線が自分の指先に吸い寄せられる様子に、心の中では確信している。
──もう、彼女の目は"触れること"を意識し始めている。
作業中だから、と無意識で許される距離。
でも、明らかにいつもより近い。
「ね、○○ちゃんの手って、やっぱり綺麗だよね〜」
そう言いながら、視線は手じゃなく、彼女の目を見て言う。
彼女の手を褒めながら、本当は"あなたの全部を見てる"って刷り込む。
偶然を装った小さな接触。
作業の合間、説明するとき、
ふいに腕が触れたり、肩が当たったり。
すべて、「作業だから」「偶然だから」という免罪符の中で、
彼女の感覚を少しずつ慣らしていく。
そして──
「触れられること」に慣れたら、
次に来るのは、「触れてほしい」という欲。
彼女の欲求に気づかないふりをするのは簡単だった。
むしろ、気づいてないふりこそが"支配"の要。
彼女がまだ自分の気持ちに気づいていないと信じているうちは、
"誰が先に落ちたのか"の境界が曖昧でいてくれる。
「……○○ちゃん」
名前を呼ぶだけで、彼女の呼吸が一瞬止まるのが分かる。
その変化すら、俺の中では完全に計算の内側だ。
「今日、来てくれて嬉しかったよ」
そんな当たり前の言葉を、低い声で、ふっと耳元に落とす。
意識してないふりの、偶然の距離。
でも、息が触れるほど近い声が、どれだけ彼女を刺激するかを、
俺だけが知ってる。
手に触れたわけでも、抱きしめたわけでもない。
ただ、感覚の輪郭を揺らしただけ。
それでも、彼女の心はもう、
"触れられていない"とは思えないほど、俺に染まり始めている。
彼女の欲しさ。
自分の手で触れられたいという願望。
でもそれが"自分から始まった"と思わせるために、
俺はまだ、追わない。
触れない。
焦らない。
だって──
"欲しい"と思わせることが、いちばん強い支配だから。
もう、彼女の中では
俺に抱かれることが、
ごく自然な未来の一部になりつつある。
そうやって、
少しずつ、心も身体も、全部を俺のものにする。
僅かに揺れた。
ほんのわずか、触れるか触れないかの距離。
俺の指に触れないように、引くふりをして、けれど遅れる。
無意識の"ためらい"と"欲"が、そこに滲んでいた。
声には出さない。
視線にも出さない。
でも、手だけが嘘をつけない。
「ありがと」
彼女の口元に浮かぶ笑みは、わざとじゃない。
ただ、どこか気恥ずかしそうに伏せられた目が、
自分の欲望をまだ"隠していられる"と信じてるのが可笑しくて──
それが、俺にとっていちばんの証明だった。
チョコレートをひとかけ口に含んだ彼女が、
「ん」と、わずかに喉の奥で音を漏らす。
感想を言葉にする前の、その一瞬の反応だけを俺は拾う。
「……今の、絶対いい反応だったよね」
笑って、冗談みたいに口にする。
彼女が目を逸らして肩をすくめた瞬間、耳が赤いのを俺は見逃さない。
分かってるよ、○○ちゃん。
その"甘さ"を感じたのは、チョコのせいだけじゃない。
「ちょっと、そこに手を置いてもらっていい?」
客席とカウンターの境目。
ガラスケースの脇、商品が並ばないその隅っこに、彼女の手がそっと置かれる。
俺はそのちょうど対面、カウンター越しに同じように手を置いた。
指先が、わずかに揃う位置。
手は触れていない。
でも、彼女の視線が、ふいに俺の指先を見つめたのを逃さない。
「こうやって、"配置"を考える時ってね、目線だけじゃなくて指先の位置でも決めたりするんだ〜」
あくまで職人的なトーンで。けれど彼女の視線が自分の指先に吸い寄せられる様子に、心の中では確信している。
──もう、彼女の目は"触れること"を意識し始めている。
作業中だから、と無意識で許される距離。
でも、明らかにいつもより近い。
「ね、○○ちゃんの手って、やっぱり綺麗だよね〜」
そう言いながら、視線は手じゃなく、彼女の目を見て言う。
彼女の手を褒めながら、本当は"あなたの全部を見てる"って刷り込む。
偶然を装った小さな接触。
作業の合間、説明するとき、
ふいに腕が触れたり、肩が当たったり。
すべて、「作業だから」「偶然だから」という免罪符の中で、
彼女の感覚を少しずつ慣らしていく。
そして──
「触れられること」に慣れたら、
次に来るのは、「触れてほしい」という欲。
彼女の欲求に気づかないふりをするのは簡単だった。
むしろ、気づいてないふりこそが"支配"の要。
彼女がまだ自分の気持ちに気づいていないと信じているうちは、
"誰が先に落ちたのか"の境界が曖昧でいてくれる。
「……○○ちゃん」
名前を呼ぶだけで、彼女の呼吸が一瞬止まるのが分かる。
その変化すら、俺の中では完全に計算の内側だ。
「今日、来てくれて嬉しかったよ」
そんな当たり前の言葉を、低い声で、ふっと耳元に落とす。
意識してないふりの、偶然の距離。
でも、息が触れるほど近い声が、どれだけ彼女を刺激するかを、
俺だけが知ってる。
手に触れたわけでも、抱きしめたわけでもない。
ただ、感覚の輪郭を揺らしただけ。
それでも、彼女の心はもう、
"触れられていない"とは思えないほど、俺に染まり始めている。
彼女の欲しさ。
自分の手で触れられたいという願望。
でもそれが"自分から始まった"と思わせるために、
俺はまだ、追わない。
触れない。
焦らない。
だって──
"欲しい"と思わせることが、いちばん強い支配だから。
もう、彼女の中では
俺に抱かれることが、
ごく自然な未来の一部になりつつある。
そうやって、
少しずつ、心も身体も、全部を俺のものにする。
