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来ないな、と思ったのは、
たった7日目のことだった。
週に何度も顔を見てたわけじゃない。
来る時間が決まっていたわけでもない。
なのに──不思議と、空気のどこかに"彼女の気配"があったのに、
今週は、それがピタリと消えた。
スタッフに「また例の方は来てるんですか?」なんて聞かれるたび、
俺は「ううん、最近はね〜」と曖昧に笑った。
心のどこかで、彼女が"逃げた"んだと、すぐにわかってた。
でも、それを咎めようなんて、少しも思わない。
逃げるってことは、
怖がる理由があるってことで──
俺に、気づいてるってことだから。
別に、何もしてないよ。
手も繋いでないし、口づけだってしてない。
ただ、指先を少しだけ差し出して、
"こっちって思う方を選んで"って、名前を呼ばせたくらい。
なのに来ないってことは──
もう、触れられてもいないのに、
触れられたような気になってるってこと。
それはきっと、
自分で思ってるより、ずっと深く、
俺に触れられてるってこと。
焦ることなんて、何もない。
むしろ、今は"あっち"の番。
こっちが追うよりも、彼女自身が"戻ってくる理由"を作り直す方が確実だ。
だから俺は、次の一手を──あくまで「偶然」のふりをして、選ぶ。
焼き菓子の納品先で、近くの美術館に行く用事があるふりをして、その帰りにあの道を通る。
花の咲く季節。
彼女の好きそうな、静かな並木通り。
目が合ったとき、驚いて目をそらす様子に確信が持てた。
ああ、これは"逃げてる"んじゃない。
"自分の目が変わったことに気づいてる"だけだ。
そんな自分を、俺に見られたくない。
だって、欲しがってるのは、向こうだから。
「……久しぶりだね〜。チョコ、飽きちゃった?」
わざと冗談みたいに聞く。
「忙しかったのかな?」とも言わない。
"理由"を問わず、"非を咎めない"。
むしろ、戻ってきたこと自体を歓迎する空気だけを与える。
それが、"帰ってきてもいい場所だ"って、錯覚させる仕掛け。
そして、ふと顔を覗き込むようにして、目を見て言う。
「でも……顔色、ちょっと悪いかも。寝れてる?」
たったそれだけで、
彼女の表情が、瞬間的に"砕ける"のがわかる。
図星だろうな。
寝れてない理由?
……俺のせいでしょ。
彼女の指が小さく動く。
前は、もっと無防備に置かれていたのに。
今は、どこか"気にしてる"動き。
彼女自身が、その指で何をしたのか、
何を思い出してるのか──
まるで知っているように見つめてやれば、
きっと、自分の中にある"欲望"に気づかずにいられなくなる。
そう。
もう、彼女の欲は俺に紐づいている。
「○○ちゃん。新作、ちょっと意見もらってもいい?」
「すぐ終わるよ〜、ほら、ここで」
「……うん、そこ、俺の席。今日は"隣"空けといた」
他の客がいない時間を選んでおいたのは、もちろん偶然じゃない。
"特別扱い"ってのは、言葉じゃなくて空気でやるのがいちばん効く。
そして、その空気が彼女の"心と身体"を、俺のものにする。
自然に、静かに。気づかせないまま。
それでもまだ、俺は触れない。
今触ったら、"行為"になるから。
でも、彼女の方から「触れてほしい」って思ってるのをわかったうえで、
こっちからは絶対に触れない。
その温度差が、彼女の理性をじわじわと壊す。
そうやって、
俺の目の前で、○○ちゃんは少しずつ──
崩れていく。
たった7日目のことだった。
週に何度も顔を見てたわけじゃない。
来る時間が決まっていたわけでもない。
なのに──不思議と、空気のどこかに"彼女の気配"があったのに、
今週は、それがピタリと消えた。
スタッフに「また例の方は来てるんですか?」なんて聞かれるたび、
俺は「ううん、最近はね〜」と曖昧に笑った。
心のどこかで、彼女が"逃げた"んだと、すぐにわかってた。
でも、それを咎めようなんて、少しも思わない。
逃げるってことは、
怖がる理由があるってことで──
俺に、気づいてるってことだから。
別に、何もしてないよ。
手も繋いでないし、口づけだってしてない。
ただ、指先を少しだけ差し出して、
"こっちって思う方を選んで"って、名前を呼ばせたくらい。
なのに来ないってことは──
もう、触れられてもいないのに、
触れられたような気になってるってこと。
それはきっと、
自分で思ってるより、ずっと深く、
俺に触れられてるってこと。
焦ることなんて、何もない。
むしろ、今は"あっち"の番。
こっちが追うよりも、彼女自身が"戻ってくる理由"を作り直す方が確実だ。
だから俺は、次の一手を──あくまで「偶然」のふりをして、選ぶ。
焼き菓子の納品先で、近くの美術館に行く用事があるふりをして、その帰りにあの道を通る。
花の咲く季節。
彼女の好きそうな、静かな並木通り。
目が合ったとき、驚いて目をそらす様子に確信が持てた。
ああ、これは"逃げてる"んじゃない。
"自分の目が変わったことに気づいてる"だけだ。
そんな自分を、俺に見られたくない。
だって、欲しがってるのは、向こうだから。
「……久しぶりだね〜。チョコ、飽きちゃった?」
わざと冗談みたいに聞く。
「忙しかったのかな?」とも言わない。
"理由"を問わず、"非を咎めない"。
むしろ、戻ってきたこと自体を歓迎する空気だけを与える。
それが、"帰ってきてもいい場所だ"って、錯覚させる仕掛け。
そして、ふと顔を覗き込むようにして、目を見て言う。
「でも……顔色、ちょっと悪いかも。寝れてる?」
たったそれだけで、
彼女の表情が、瞬間的に"砕ける"のがわかる。
図星だろうな。
寝れてない理由?
……俺のせいでしょ。
彼女の指が小さく動く。
前は、もっと無防備に置かれていたのに。
今は、どこか"気にしてる"動き。
彼女自身が、その指で何をしたのか、
何を思い出してるのか──
まるで知っているように見つめてやれば、
きっと、自分の中にある"欲望"に気づかずにいられなくなる。
そう。
もう、彼女の欲は俺に紐づいている。
「○○ちゃん。新作、ちょっと意見もらってもいい?」
「すぐ終わるよ〜、ほら、ここで」
「……うん、そこ、俺の席。今日は"隣"空けといた」
他の客がいない時間を選んでおいたのは、もちろん偶然じゃない。
"特別扱い"ってのは、言葉じゃなくて空気でやるのがいちばん効く。
そして、その空気が彼女の"心と身体"を、俺のものにする。
自然に、静かに。気づかせないまま。
それでもまだ、俺は触れない。
今触ったら、"行為"になるから。
でも、彼女の方から「触れてほしい」って思ってるのをわかったうえで、
こっちからは絶対に触れない。
その温度差が、彼女の理性をじわじわと壊す。
そうやって、
俺の目の前で、○○ちゃんは少しずつ──
崩れていく。
