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連絡が、途絶えた。
それだけの事実を、俺はスマホの通知欄に表示されない未読マークで確認する。
最後の既読から、もう何日目だっけ。
3日? いや、4日かな。
……まあ、どっちでもいいや。
俺の中に焦りはなかった。
むしろ、これは"想定の範囲内"。
だって彼女、すごく正直な人だったから。
最初の試作品の感想を送ってくれた日。
言葉選びに迷った痕跡が、何行もの"消して書き直した"メッセージににじんでいた。
直接言いたくなる性格なんだろうな、と思った。
文字にすることで誤解されたくないって不安も、ちらちらと見えてた。
だから、ある程度やり取りが続いたあとの沈黙は、
彼女なりの「距離の取り方」なんだと思ってる。
本当に嫌なら、最初から連絡なんてよこさない。
本当に興味がないなら、店に何度も来たりしない。
疲れた。迷った。ちょっと怖くなった。
そんなところだと思う。
(じゃあ、俺はどうするか)
考えるまでもなかった。
"こちらから追いかける"という選択肢は、最初から持っていない。
そんなの、彼女の中の違和感に火をつけるだけだから。
だから俺は、"偶然"を作る。
自然に、さりげなく、
彼女が「あ、いたんだ」って思う程度の接触。
それでいい。
場所の選定は簡単だった。
彼女の生活リズム、動線、歩き癖。
過去の来店時間や、ルート検索で滞在してたであろう場所の傾向──
たとえば、美術館。
たとえば、駅前の小さなコーヒースタンド。
それから、雑誌の特集でも取り上げられた街角のベンチ。
"何気ない場所"に彼女はよくいる。
その中のひとつに、今日、俺は立っていた。
あくまで、散歩の途中って顔で。
イヤホンをして、手にはコーヒー。
スマホは見てない。
呼び止める気配もない。
……彼女が先に気づくように、
"そこにいてしまっただけ"の存在として、配置されている。
(いた)
目が合った。
一瞬、足が止まる彼女。
迷うように、視線が揺れる。
それから、少しだけ遠慮がちに近づいてきて、
「……久しぶり」と小さく笑った。
ああ──かわいいな、って思った。
それは表情でも言葉でもなく、
"まだ俺のことを切り捨てきれていない"その心の動きが、何より愛おしかった。
「やっほ〜。散歩?」
「うん、ちょっと……」
「俺も〜。最近お店が忙しくてさ、空いてる時間、あんまなくて。タイミング合ったの、ラッキーだね」
自然な会話。
でもそこに、ちゃんと"鍵"を仕込む。
「タイミングが合った」
「偶然だった」
「引き寄せられたみたい」
そう彼女に思わせる言葉を、ポンポンと投げていく。
魔法みたいな言い回しじゃなくていい。
それが"たまたまの再会"を"何かあるのかも"に変えていく。
「……お店、また行くね。試作品、まだある?」
「もちろん。君のために、とってあるよ〜」
"君のために"。
本当は、その言葉すら"仕掛け"だと彼女は知らない。
"みんなに渡してるわけじゃない"という特別感。
"あなたの意見がほしい"という承認欲求の刺激。
でもそれを前面に出さず、
あくまで笑顔で柔らかく、彼女の中に"好意"だけを落とし込む。
帰り際、彼女がふとつぶやいた。
「なんか……会えて、安心したかも」
その言葉に、俺は少しだけ驚いて、そして──笑った。
「そっか。俺はね、"また会える気がしてた"よ」
彼女は"偶然"を信じた。
その一言で、"切れなかった理由"を正当化してくれた。
こっちから追わなくても、
"会ってしまえば戻ってくる"ことを、
彼女自身が証明してくれた。
(よし、次はもう少し踏み込める)
でも焦らない。
"一線を越えるのは、まだ後"。
今はまだ、「私の意思でここにいる」と思ってもらわなきゃいけない。
その"錯覚"を壊さずに、
"気づいたときには戻れない"距離まで連れていく。
ちゃんと順番を守って、
彼女の中の"俺"を、ゆっくり確実に染み込ませる。
次は、もう一歩だけ近づく。
名前を呼ぶ距離。
彼女の"生活"の話を聞く立場。
相談ごとを受け止める"器"としての顔。
恋人未満の特別、を装って。
彼女自身に「気づかぬうちに選ばされていた」と思わせずに。
それだけの事実を、俺はスマホの通知欄に表示されない未読マークで確認する。
最後の既読から、もう何日目だっけ。
3日? いや、4日かな。
……まあ、どっちでもいいや。
俺の中に焦りはなかった。
むしろ、これは"想定の範囲内"。
だって彼女、すごく正直な人だったから。
最初の試作品の感想を送ってくれた日。
言葉選びに迷った痕跡が、何行もの"消して書き直した"メッセージににじんでいた。
直接言いたくなる性格なんだろうな、と思った。
文字にすることで誤解されたくないって不安も、ちらちらと見えてた。
だから、ある程度やり取りが続いたあとの沈黙は、
彼女なりの「距離の取り方」なんだと思ってる。
本当に嫌なら、最初から連絡なんてよこさない。
本当に興味がないなら、店に何度も来たりしない。
疲れた。迷った。ちょっと怖くなった。
そんなところだと思う。
(じゃあ、俺はどうするか)
考えるまでもなかった。
"こちらから追いかける"という選択肢は、最初から持っていない。
そんなの、彼女の中の違和感に火をつけるだけだから。
だから俺は、"偶然"を作る。
自然に、さりげなく、
彼女が「あ、いたんだ」って思う程度の接触。
それでいい。
場所の選定は簡単だった。
彼女の生活リズム、動線、歩き癖。
過去の来店時間や、ルート検索で滞在してたであろう場所の傾向──
たとえば、美術館。
たとえば、駅前の小さなコーヒースタンド。
それから、雑誌の特集でも取り上げられた街角のベンチ。
"何気ない場所"に彼女はよくいる。
その中のひとつに、今日、俺は立っていた。
あくまで、散歩の途中って顔で。
イヤホンをして、手にはコーヒー。
スマホは見てない。
呼び止める気配もない。
……彼女が先に気づくように、
"そこにいてしまっただけ"の存在として、配置されている。
(いた)
目が合った。
一瞬、足が止まる彼女。
迷うように、視線が揺れる。
それから、少しだけ遠慮がちに近づいてきて、
「……久しぶり」と小さく笑った。
ああ──かわいいな、って思った。
それは表情でも言葉でもなく、
"まだ俺のことを切り捨てきれていない"その心の動きが、何より愛おしかった。
「やっほ〜。散歩?」
「うん、ちょっと……」
「俺も〜。最近お店が忙しくてさ、空いてる時間、あんまなくて。タイミング合ったの、ラッキーだね」
自然な会話。
でもそこに、ちゃんと"鍵"を仕込む。
「タイミングが合った」
「偶然だった」
「引き寄せられたみたい」
そう彼女に思わせる言葉を、ポンポンと投げていく。
魔法みたいな言い回しじゃなくていい。
それが"たまたまの再会"を"何かあるのかも"に変えていく。
「……お店、また行くね。試作品、まだある?」
「もちろん。君のために、とってあるよ〜」
"君のために"。
本当は、その言葉すら"仕掛け"だと彼女は知らない。
"みんなに渡してるわけじゃない"という特別感。
"あなたの意見がほしい"という承認欲求の刺激。
でもそれを前面に出さず、
あくまで笑顔で柔らかく、彼女の中に"好意"だけを落とし込む。
帰り際、彼女がふとつぶやいた。
「なんか……会えて、安心したかも」
その言葉に、俺は少しだけ驚いて、そして──笑った。
「そっか。俺はね、"また会える気がしてた"よ」
彼女は"偶然"を信じた。
その一言で、"切れなかった理由"を正当化してくれた。
こっちから追わなくても、
"会ってしまえば戻ってくる"ことを、
彼女自身が証明してくれた。
(よし、次はもう少し踏み込める)
でも焦らない。
"一線を越えるのは、まだ後"。
今はまだ、「私の意思でここにいる」と思ってもらわなきゃいけない。
その"錯覚"を壊さずに、
"気づいたときには戻れない"距離まで連れていく。
ちゃんと順番を守って、
彼女の中の"俺"を、ゆっくり確実に染み込ませる。
次は、もう一歩だけ近づく。
名前を呼ぶ距離。
彼女の"生活"の話を聞く立場。
相談ごとを受け止める"器"としての顔。
恋人未満の特別、を装って。
彼女自身に「気づかぬうちに選ばされていた」と思わせずに。
