お相手宮田くんの原作沿い連載です
長編
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08 帰り道
駅で切符を買う時にあたしと宮田くんは同じ駅で
あたしの部屋からちょうどバイト先のコンビニを挟んだ向こう側に
宮田くんの家があることが分かった。
帰宅ラッシュを少し過ぎた時間ではあったが
それでも電車はかなりの混み具合で
揺れる度にフラつくあたしを
宮田くんはさり気なくドア付近に押しやり庇うように立ってくれた。
「混んでるね」
「あぁ。いつもの事だけどウンザリするぜ」
「いつも?」
「試合の帰りは大抵この時間になるんですよ」
「へぇ」
向かい合って立っているので
すぐ目の前には宮田くんの胸があって。
意識しないよう話しかけてはみたものの、
宮田くんが話すたび、あたしの前髪に吐息がかかり
それは返って逆効果になっていた。
見上げれば、触れてしまいそうな距離。
あたしはだんだん無口になり
宮田くんも何も言わずにただ黙っていた。
時折何の前触れもなく電車が大きく揺れると
その度にあたしの身体を支えては、すぐに離れる手。
宮田くんが触れる度にあたしの鼓動は高鳴り、
気付かれはしないかと気が気でなかった。
ようやく駅に到着し、混雑から解放された。
色んな意味で息が詰まりそうになってたあたしは
改札を出た途端、必要以上に大きく息をついた。
「そんなに苦しかったですか?」
「だってあんなに混んだ電車、ほとんど乗ったことないもん」
原因はそれだけじゃないけどね、と心の中で呟いてから
あたしは宮田くんの隣を歩いた。
「それより、今日はおめでとう」
宮田くんを待ち伏せしていたのは
この一言を言いたかったからなのに。
小さなハプニングが重なって
おかげで他にも聞いてみたいことが沢山あったけれど
今は何より、この言葉を伝えたかった。
「それはどーも」
「あ、何その可愛げのない言い方。せっかく応援したのに」
「言う割に全然声が聞こえませんでしたけど?」
「・・・あたしがしなくてもすごかったじゃん。
そんな言うなら次行った時に“キャーー!宮田くぅぅぅん!!顔打たれないでねーーーー!!!”って言ってあげようか?」
会場の黄色い声を真似て言うと
宮田くんはこの上なく迷惑そうな顔をした。
「冗談。言うわけないじゃん、そんなの」
アハハ、と笑ってあたしはその笑顔をすぐに消した。
「・・・ホントはね、ちょっとびっくりしちゃって、声が出なかったんだ」
歩幅を合わせて歩いてくれている宮田くんが
あたしの方を見たのがわかった。
「試合観に行かせろって強引にお願いしたクセに
あたしボクシングの試合って初めてだったんだ。
考えたら、殴り合いだもんね。ちょっと、怖くなっちゃってさ・・・・」
宮田くんは何も言わないけれど
じっとあたしの話を聞いている。
ふう、と小さく溜息をついてから、
でもね、と俯いていた視線を上げ、隣を見ると
すぐに目が合った。
「でもね、あそこまで見せ付けられると目を伏せてなんていられなかった。
圧倒的で、誰が見ても理解できる強さ。
勝つっていう、自分の信念に向かって迷いなく立ち向かう強さ。
そんなの見せ付けられたら、惹かれずにはいられないよ」
試合を見て、思った事をそのまま口に出してみた。
すると宮田くんはちょっとびっくりしたような顔をして
それから一言
「変なヤツ」
とだけ言った。
またもう何をー!とすぐさま言ってやろうと思ったけど
宮田くんがちょっとだけ、初対面の時だったら絶対に分からない位に
ちょっとだけ嬉しそうな顔をして
あたしもそれがなんだか無償に嬉しかったから、今日は許してあげる事にした。
2009/01/16 PCUP
+++++atogaki+++++
宮田くんと満員電車に乗ったら絶対守ってくれると思います!
それもさり気なく。
あからさまなやさしさは見せない。それが宮田流(笑)
駅で切符を買う時にあたしと宮田くんは同じ駅で
あたしの部屋からちょうどバイト先のコンビニを挟んだ向こう側に
宮田くんの家があることが分かった。
帰宅ラッシュを少し過ぎた時間ではあったが
それでも電車はかなりの混み具合で
揺れる度にフラつくあたしを
宮田くんはさり気なくドア付近に押しやり庇うように立ってくれた。
「混んでるね」
「あぁ。いつもの事だけどウンザリするぜ」
「いつも?」
「試合の帰りは大抵この時間になるんですよ」
「へぇ」
向かい合って立っているので
すぐ目の前には宮田くんの胸があって。
意識しないよう話しかけてはみたものの、
宮田くんが話すたび、あたしの前髪に吐息がかかり
それは返って逆効果になっていた。
見上げれば、触れてしまいそうな距離。
あたしはだんだん無口になり
宮田くんも何も言わずにただ黙っていた。
時折何の前触れもなく電車が大きく揺れると
その度にあたしの身体を支えては、すぐに離れる手。
宮田くんが触れる度にあたしの鼓動は高鳴り、
気付かれはしないかと気が気でなかった。
ようやく駅に到着し、混雑から解放された。
色んな意味で息が詰まりそうになってたあたしは
改札を出た途端、必要以上に大きく息をついた。
「そんなに苦しかったですか?」
「だってあんなに混んだ電車、ほとんど乗ったことないもん」
原因はそれだけじゃないけどね、と心の中で呟いてから
あたしは宮田くんの隣を歩いた。
「それより、今日はおめでとう」
宮田くんを待ち伏せしていたのは
この一言を言いたかったからなのに。
小さなハプニングが重なって
おかげで他にも聞いてみたいことが沢山あったけれど
今は何より、この言葉を伝えたかった。
「それはどーも」
「あ、何その可愛げのない言い方。せっかく応援したのに」
「言う割に全然声が聞こえませんでしたけど?」
「・・・あたしがしなくてもすごかったじゃん。
そんな言うなら次行った時に“キャーー!宮田くぅぅぅん!!顔打たれないでねーーーー!!!”って言ってあげようか?」
会場の黄色い声を真似て言うと
宮田くんはこの上なく迷惑そうな顔をした。
「冗談。言うわけないじゃん、そんなの」
アハハ、と笑ってあたしはその笑顔をすぐに消した。
「・・・ホントはね、ちょっとびっくりしちゃって、声が出なかったんだ」
歩幅を合わせて歩いてくれている宮田くんが
あたしの方を見たのがわかった。
「試合観に行かせろって強引にお願いしたクセに
あたしボクシングの試合って初めてだったんだ。
考えたら、殴り合いだもんね。ちょっと、怖くなっちゃってさ・・・・」
宮田くんは何も言わないけれど
じっとあたしの話を聞いている。
ふう、と小さく溜息をついてから、
でもね、と俯いていた視線を上げ、隣を見ると
すぐに目が合った。
「でもね、あそこまで見せ付けられると目を伏せてなんていられなかった。
圧倒的で、誰が見ても理解できる強さ。
勝つっていう、自分の信念に向かって迷いなく立ち向かう強さ。
そんなの見せ付けられたら、惹かれずにはいられないよ」
試合を見て、思った事をそのまま口に出してみた。
すると宮田くんはちょっとびっくりしたような顔をして
それから一言
「変なヤツ」
とだけ言った。
またもう何をー!とすぐさま言ってやろうと思ったけど
宮田くんがちょっとだけ、初対面の時だったら絶対に分からない位に
ちょっとだけ嬉しそうな顔をして
あたしもそれがなんだか無償に嬉しかったから、今日は許してあげる事にした。
2009/01/16 PCUP
+++++atogaki+++++
宮田くんと満員電車に乗ったら絶対守ってくれると思います!
それもさり気なく。
あからさまなやさしさは見せない。それが宮田流(笑)